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771話 闇神城




 皆、狂ったように粛正をおこなう闇神を注視しており、逃げ支度にも忙しく、それどころじゃないとはいえ……ここは派閥支配領域の中心部。


 <ボッチ>の存在はすでに捕捉されており、どこへ行っても中級神の監視範囲に入ってしまう状況だ。



 しかしどの神も、<ボッチ>の存在に気付きはするが、きちんと目を向けることはなく、すぐに監視対象から外してスルーする。


 現在彼等が気にしているのは、「闇神の動向」と「逃げ支度が間に合うかどうか」のみ。



 外をほっつき歩いているキングデーモンなんて珍しくもないし、放置したところで己の神殿が被害を受けるほど、脅威的な存在でもないため……


 「監視するだけ時間のムダ」と思われ、見逃されているのだ。



 もちろん、ここで<ボッチ>が暴れて誰かの神殿に凸をかましたり、火事場泥棒をはたらけば、彼を"敵"認定した神々によって即座に始末されるだろう。


 しかし「ただ走っている」だけの<ボッチ>を、敵認定してリソースを割くほど、皆暇ではないため……


 <ボッチ>は十数名の神に存在を認知されながらも、手下すら派遣されることなく、闇神城を目視できる位置まで進むことができた。



「ハァ〜。私の実力ではなく、運……というか、私に実力がなかったからこそ、敵認定されず見逃された結果。全然喜ばしくない! とはいえ、成果は成果だ!」


 思うところは多々あるものの、<ボッチ>は割り切って赤外線カメラを取り出し、転移するのに良さそうな場所を撮影して、<ヒッキー>にデータを送った。


 そして赤外線カメラをONにしたまま、より多くのデータを送るべく闇神城周辺を練り歩き、「転移可能な地図データがある場所」を増やしていく。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ボッチちゃん、そこから先へ行ってはダメ!


距離は離れているっぽいけど、闇神がいる方角だから無闇に近寄らないで。


貴方が来た方から、闇神城により接近できる場所……欲を言えば、中へ入れるルートを探してちょうだい。


だけど、詰みそうなら躊躇わず撤退すること!



byアスタリア


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「了解です。たしかにコッチの方角は殺伐としている感じがするし、近寄らない方が良さそうだな。さすが、アスタリア様」


 アスタリアの忠告を受けて偵察範囲を絞った<ボッチ>は、より闇神城に接近するため、隙のありそうなルートを目視で探す。


 しかし主人不在とはいえ、ココは一応「上級神が建てた居城」……当然、門番や巡回兵くらいおり、侵入者を阻む結界も張られていた。



「(う〜ん。門番・巡回兵共に神見習いか。一対一なら勝てるかもしれないけど、こんな場所で戦ったら悪目立ちして他の連中も呼び寄せ、死亡確定。ダメだな)」


 警備兵から怪しまれない程度に目視で闇神城を調べ、意外と隙のない状況に気付いて、歯噛みする<ボッチ>。



 一方、彼に貼り付けていた式神を解き放ち、より高度な探索をしていたアスタリアは、堅牢なはずの結界に一点の"歪み"を見つけた。


『これは何? 結界の式は間違っていない。だけど実際に"歪み"は存在するわけで……もしかして、何者かが"歪み"を生んでいるの?』



 気になったアスタリアは、式神により多くのHPを喰わせて調査の精度を上げ、"歪み"についてさらに詳しく調べる。


 すると"歪み"がある場所には、「怨念に近いナニカ」が貼り付いていると判明し、式神に感覚を共有させたところ……


 その怨念は、闇神に陵辱され出産マシーン化された女神達の、思念であることが分かった。






『なるほどぉ、闇神……アンタ、メチャクチャ悍ましいことやってんじゃない。外からも内からも恨まれて御愁傷様だけど、それも自業自得よねぇ〜』


 式神を介してその怨念と感覚を共有し、闇神が何をやったか身体で感じとったアスタリアは、その所業に吐き気をおぼえ「死ねクズ」としか思えなくなった。



『下僕堕ちさせられた下級神と同じく、捕えられた女神達もまぁ……不義理をはたらいたんでしょう。だからといって、さすがにコレはダメよ。エグ過ぎる』


 元巫女ゆえの潔癖さからではない、女としての本能が「闇神の悍ましい所業」を嫌悪しているのだ。



『感覚共有しただけなのに、私まで陵辱されたような気分になっちゃった。気持ち悪い。帰ったら、<百色の泉>で半身浴して癒されましょう』


 地獄世界に来て、初めて大きなダメージを受けたアスタリアは、その悍ましさに鳥肌を立てて拒否反応を示し、心底「被害を受けた女神達」に同情。


 そして「帰ったら絶対に長湯して癒される!」と誓って精神を保ち、同情心だけ残した状態で、式神を"その怨念"と再接触させた。



『『『……憎いぃ…………殺したいぃ…………死ねっ! 死ねぇ…………アイツだけ……は…………』』』


『(うん。貴女達の気持ち、同じ女性としてよく分かるわ。ねぇ、私に力を貸してよ? 闇神が憎いんでしょ? 協力して立ち向かいましょう)』



 「闇神への恨み」のみで自我を形成しつつある、怨念との対話。


 聖属性のアスタリアにとって、この接触は己の精神を蝕む「諸刃の剣」だが……同時に、闇神を出し抜けるかもしれない魅力的なチャンスでもある。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
ボッチもアスタリア先輩も無茶するなぁw 効率面で言えば間違ってないんだけど、メグミ君が聞いたら卒倒するだろうな(笑)
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