表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
768/974

768話 千載一遇のチャンス




 アスタリアのストレスと、その発散で飛んでいくメグミのお金を、ガソリンとして、地獄世界探索班による「転移拠点開拓作戦」は進んでいく。


 指示に従って、1時間に一度は「遭遇リスクのある強敵」を避け、恐怖を感じることもなく、淡々と己の役目を果たす<ボッチ>は……


 すでに5回も「中級神の監視区域」を通り、その度に(アスタリアの小細工もあって)ザコ認定され、良くも悪くも開き直っていた。



「いいんだ。どうせ私をザコ扱いした奴等は、闇神に滅ぼされるか下級神のように下僕魔王堕ちさせられて、私以下の存在に成り下がる。もしくは……」


 メグミが金儲けを企んだときそっくりの笑顔を浮かべた<ボッチ>は、自分のいる場所が監視区域に近いことを思い出し、すぐ"欲"を抑えて真顔に戻る。



 <ボッチ>が先程思いついたアイデアが現実のものとなれば、彼をザコ扱いした中級神達は、"お客様"という名の"カモネギ"になり……


 主人であるメグミの財布にザクザクとリソースを注いでくれる、「ありがたい存在」に変わるのだ。


 メグミ大好き眷属である彼が、そのイメージを思い浮かべて、幸せな気持ちにならない訳がない!



 とはいえ……今そんな妄想に花を咲かせて欲を垂れ流し、その感情を「卓越した探知能力を持つ規格外の存在」に気取られれば……


 <ボッチ>は、夢のような光景を見ることもなく惨殺され、その尻拭いでメグミにも迷惑をかけてしまう。



 ゆえに大声を張りあげながら作業して、アスタリアに防音結界を張らせた、<ノルマ><タスク><カロウ><ガッツ><キアイ>と違い……


 彼は己を律して脳内妄想を止め、ただロボットのように役目をこなす状態に戻った。



 そういう配慮を1ミリでも"対人関係"に向けられるタイプなら、ボッチになる事などなかったのだが、そういう性質なのだから仕方ない。


 誘導用の式神に彼を監視させているアスタリアは、ため息を一つついて諦め、彼の任務成功率を上げるためにガイド役を続ける。






 そして<ボッチ>が危険地帯に突入してから2日……遂に彼は、作戦開始前に目標としていたエリアを突破して……


 3つ目の開拓地も赤外線カメラで撮影し、カルマの<コマンダー>による拠点化を果たす。



 拠点化できてしまえば、帰りは「そこから<コマンダー>で安全地帯へ転移させてもらう」だけなので、ボッチは作戦遂行完了と同時に帰還し……


 再度、アスタリアのいる「比較的安全な闇神派閥領域の外周部」へ飛び、彼女と今後のことについて話し合った。



「アスタリア様。相変わらず闇神は、粛正中の中級神と鬼ゴッコしているんですよね? まだ終わっていない感じですか?」


「探知圏内でピリついている中級神達の、監視の方向を見る限り……まだ続いているわね。よほど、その中級神の逃げ足が速いんでしょう」



 アスタリアの予測どおり、闇神<スティグマ>は未だ中級神<シュッセ>を追って、支配領域内を走り回っていた。


 スピードでは、「資産として貯めこんだリソースをジェット噴射しながら、命懸けで逃げている<シュッセ>」に軍配が上がるが……



 影響を与えられる範囲は闇神の方が圧倒的に広く、<シュッセ>が派閥領域を抜けようと外周部に接近する度、その付近の結界を強めて妨害しているのだ。


 また、"誰の犯行か"バレない程度に付近の神々が闇神の足を引っ張り<シュッセ>を助けているため、中々決着がつかず未だに鬼ゴッコは続いている。






 ここで重要なのが、<シュッセ>は人望によって助けられたのではなく……


 逃げ支度が間に合わず慌てた中級神達が、打算100%で時間稼ぎのために嫌々手を貸した、という点。



 ゆえにジェット噴射中のリソースが底をつくか、中級神達の逃げ支度が終えたとき、人望皆無な<シュッセ>と闇神の鬼ゴッコも終わり……


 全てを出し尽くして干からびた<シュッセ>は、闇神に捕縛されて破滅する。



 これは現時点でほぼ確定的な事項であり、闇神も彼を追いつつリソースの枯渇を待っているのだ。


「リソースを無駄に失うのは惜しいが、ここまでやって<シュッセ>を取り逃がすのは我慢ならない! 必ず我が手で仕留めて、ゴミのように殺してやる!」


 と……サンクコストに取り憑かれた闇神は、無意識のうちに子供のような事を考えている。



 そのおかげで……<ボッチ>が自分の足で踏み入れて撮影し、皆で力を合わせて開拓した3ヶ所の拠点は、神々にバレる事なく整えられ……


 闇神城の周囲も、闇神と<シュッセ>の鬼ゴッコがおこなわれていない方角に関しては、主人不在のため隙だらけ。


 <コマンダー>で転移可能な拠点をつくり闇神戦に備えるなら、今が絶対のタイミングなのだ!



 もちろん、その状況を直接目視したわけじゃないアスタリアや<ボッチ>は、ぼんやりとしか事態を把握できていないが……


 二人共頭が回るタイプなので、「闇神が中央の城にいないなら、千載一遇のチャンスじゃね?」という認識は持っていた。


 そして「チャンスタイムは永遠に続くわけではなく、いつ終わりをむかえてもおかしくない」事も、認識している。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ