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767話 プロの仕込み




 <ボッチ>が赤外線カメラで撮ったデータを<ヒッキー>に処理させ、カルマが<コマンダー>を使うことで開拓した拠点に、送られた眷属5体。


 <ノルマ><タスク><カロウ><ガッツ><キアイ>は、敵がいない安全な環境であるのをいいことに、気合を入れて元気モリモリ働き始めた。



「ここだ! この部分を拠点にして、10m間隔で護符を埋めこんでいく。<タスク><キアイ>は、位置がズレぬよう正確に長さを測れ!」


「「はい!」」



 アスタリアが彼等に渡した護符は、地図のとおり正確に埋めないと機能しない。


 だが一度埋め込んでしまえば、丁寧に調べない限り発見されないうえ、材料さえ揃えば5分で簡易拠点を造れる、基盤工事の役割まで果たすのだ。



「この緑の護符を埋め込んだ位置に、木材が引き寄せられて支柱となり、建築工事をしなくても勝手に建物ができあがる……と。とんでもない代物だな」


「モンティート様の配下である土属性・木属性の精霊達と協力して、その力を練りこんだ護符……と仰っていた。後方支援というには規格外すぎる」



 そう。


 アスタリアが今回渡した護符の束は、「いざという時、スピーディーに簡易拠点を自動建築して、そのうえ出来あがった拠点に結界まで張る」というもの。



 一度建ててしまうと解体できないうえ、仕込みにはそれなりに時間がかかり、図面から少しでもズレると効果を発揮しないという、欠点もあるが……


 一夜城ならぬ5分城を生み出し、「身を守りながら戦う」選択肢を増やせるという、チートすぎる後方支援アイテムなのだ。



 なお、この護符……拠点一つ分用意するだけでも、平凡な魔王のダンジョン100個分以上、リソースが必要なので……


 決して無駄打ちはできず、アスタリアが「命懸けの戦いになる」と判断した時のみ、その勝率を上げるために使われる。






「ふぅ〜。これで全てか? 念のため、もう一度ズレがないか確認しろ! 我々のミスでご主人様達に迷惑をかけるなど、あってはならん事だ!」


「「「「はい!」」」」



 大声を張りあげながら、3時間かけて「護符の埋め込み作業」を済ませた<ノルマ><タスク><カロウ><ガッツ><キアイ>は……


 1ミリのズレもないか、目を皿のようにして最終確認を済ませ、その様子を眺めていた式神に「完了報告」をして、次の現場へ向かった。



 「それだけギャーギャー騒いで、よく敵に見つからなかったね」という話だが、式神を通して彼等の様子を把握したアスタリアが、防音結界を張っていただけ。


 それがなければ、さすがに作業のかけ声が大きすぎて察知され……護符の存在諸共バレて、作戦は台無しになっている。



 だが、<ノルマ><タスク><カロウ><ガッツ><キアイ>を責める訳にもいかないのだ。


 「コミュニケーションとりたがり」の彼等が、ここまでずっと<駒つくりの筆>で下僕を量産して情報収集する、単独作業ばかりやってきて……


 久しぶりに皆で協力して働けたのだから、自然と声も大きくなるし、それを注意してモチベーションを下げてしまうと、かえって作業効率が落ちる。



『防音結界さえ張っておけば済む話だし、それでも察知されそうなときは、どのみち彼等を逃がさなきゃいけないパターンになるもの。諦めましょう』


 彼等とて、メグミから生まれた<ヒッキー>と<ボッチ>の兄弟分。


 "駒使い"の上手いアスタリアが、影でそう呟き式神に防音結界を張らせたことに気付く、「根っからの気遣い屋さん」などいなかった。






 そんな眷属5体が作業を終えて意気揚々と向かった先は、つい先ほど<ボッチ>が赤外線カメラで撮影し、カルマが<コマンダー>で拠点化した……


 現時点で、地獄世界で一番闇神城に近い場所。


 彼等が護符を埋め込んでいた間も、<ボッチ>は粛々と歩みを進めており、より内側に「保険用の拠点」を生み出す仕事をこなしていたのだ。



「さすが我等が弟分。気合が入っていて素晴らしい!」


「ですね。じぶんのノルマを淡々とこなし、それを誇るでもなくご主人様に尽くす、その姿勢……。我等も見習わなければなりません」



 嫉妬することなく弟分の成果を褒め、<ボッチ>の任務成功を祈った彼等は、再び気合を入れ直して元気モリモリ働き始めた。


 当然、その様子を式神から聞いたアスタリアはため息をつき、より強固な防音結界を張って、影から彼等をサポートする。



『ストレスで白髪増えそう。そういえばマサル君が、スタミナをつけるには"もつ鍋"が最高! とか言っていたわね。後で、メグミ君に奢ってもらいましょう』


 結果として、アスタリアのストレス発散目的で「帰還後、メグミが奢らされる金額」もジワジワ増えているのだが……


 メグミはお金持ちだし、「怖〜いお婆先輩」の機嫌を"奢り"程度でとれるなら、笑顔で呑みこむだろう。



 生まれたばかりの眷属達と違い、20年近く生きて酸いも甘いも嚙み分けたメグミは、「絶対に怒らせちゃいけない相手」をよく弁えているのだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
彼女に食われた酸っぱい思い出・・・・、彼女と毎晩のハッスルという甘い生活 とかなんか思い浮かんでしまった・・・・・・・・・・・・
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