765話 天災×天才
〜ボッチside〜
「式神の動きに変化なし。アスタリア先輩からの緊急メールも来ていないな。つまり、私は中級神の監視対象にはならなかった……と」
神見習いですらない私が、格上の中級神に目をつけられず任務を遂行できるのは、ラッキー以外の何ものでもない。
だけど喜ばしい一方で、覆りようがない格差を感じてしまい、惨めな気持ちにもなる。
「今は任務に集中しなきゃいけないけど、機会があったら奴等をギャフンと言わせて、ご主人様の餌にできるような仕掛けを組めたら……。絶対楽しいよね」
ご主人様は小心者なのでビビりそうだが、この程度の下剋上すら成せないようなら、闇神に片手間で葬られて全員終わってしまうもの。
そうなるくらいなら、上昇志向で多少なり野心を持つのも、悪い事じゃないと思うよ。
<−−− ブーッ! ブーッ! ブーッ! −−−>
「ん、メールね。ふむ、もう監視域を抜けたのか。"一番安全そうなルート"って言っていたし、監視域は最短で抜けられるようになっているんだろう」
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監視域を抜けたから、もう走るスピードは戻していいよ。
だけどバトルになると悪目立ちして、勘付かれちゃうリスクが上がるから、大人しく仕事をこなすこと!
あと5分ほど走ったところで、カルマ君の<コマンダー>の中継拠点をつくるから、その為の立地調査するつもりでいてね。
byアスタリア
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「5分ね……。了解です」
"同じ場所へ行く"のでも、式神はフラッと飛べばいいのに私は命懸けでマラソン。
そしてご主人様達は、<コマンダー>による転移がないと到着不可……難儀なことだ。
「あれ? そういえば中級神達も、闇神の間の手から逃れようと亡命の準備を進めているんだよね? その引越しを手伝ってやれば、稼げるんじゃない?」
もちろん、自分達の作戦遂行が第一な訳だが……
カルマ様の<コマンダー>は、Sランクになって制限が大幅解除されたことにより、チートが極まり、正直能力を持て余し気味。
だったら空いたキャパで副業をして、対価として「リソースの残渣」を稼ぐ方が、無駄がないんじゃないの?
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〜コマンダー(Sランク)〜
自分および自分の配下を、開拓済みのポイントへ転送できる。
また彼等と思考を共有することで、離れた場所にいながらリアルタイムで指示を伝えることも可能。
特定の配下を"代理"として立てることで、自分の代わりに配下の指揮および転送作業を任せ、自分は他の仕事をすることもできる。
一日に転送できる配下の上限は、ランクによって異なり、Sランクの場合は1000000が上限となる。
それに加えて、対価のマナを通常時の3倍取られるものの、自分の配下以外も一回につき100名までなら輸送可。
なお場所の詳細がわかるデータと、正確な地図データさえあれば、対価のマナを通常時の1万倍払うことで、未知の領域を"開拓"することも可能。
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「赤外線カメラで撮ったデータと併せて、<ヒッキー>にアイデアを伝えておこう。彼は僕に似て賢いから、たぶん理解していい感じに仕上げてくれるはず」
性格鬼畜の神見習いを命懸けで倒すより、win-winのビジネスで得た「中級神が出ていった神殿の抜け殻」から、リソースの残渣を吸わせてもらう方が……
元のリソース量がケタ違いな分、どう考えても効率良いいもん。
そう思って赤外線カメラの撮影データと共に、思いつきを簡単にまとめたメールを送ったら、10分で<ヒッキー>から報告が返ってきた。
ご主人様とカルマ様は相変わらずビビリなので、速攻で「無理に決まっているじゃん!」と叫び、白目を剥いたけど……
同じく報告を聞いたアスタリア様・サーシャ様・マサルさんは、「他派閥にも<コマンダー>の拠点をつくれれば〜」と、前向きに検討してくれているそうだ。
私は知らぬことだが、ご主人様達は以前「中級神の紹介状」をもらった事があるらしく、そこから芋づる式に顧客を取れれば……
「捨て置かれる資産」および「正確性が高い闇神派閥の情報」を、闇神に接収される前に奪い取れ、かつ闇神の予定を狂わせることも可能。
リスク山積みかつ、「他派閥の支配領域」をまだ開拓できていない現在の状況で、すぐ動ける話ではないが……
上手くいった場合のメリットが大きく、このまま直接闇神と戦っても負けるだけなので、「戦力増強の一打として、考える価値はある」と書かれていた。
「まぁ現場担当の私にできるのは、このままアスタリア様の式神を追って、赤外線カメラで適宜撮影することだけ。他の仕事は<ヒッキー>に任せよう」
一段落ついたら"引越しビジネス"に対する興味もなくなったし、赤外線カメラの映り方が気になり始めたので、今度は丁寧に撮影してみることにする。
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ボッチちゃん、アイデアをくれるのは助かるけど仕事はパパッと片付けて!
そこでボケッとされると危ないし、君を死なせるとメグミ君に申し訳が立たないんだから。
気合いと根性でGo!
byアスタリア
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「大丈夫ですって。アスタリア様と違って、私はまだ耳が遠くなるような歳じゃないし、脳もボケていないから。考えながらでも、ちゃんと動けています」
でも……頭を使って考えたらお腹が空いてきたし、ご主人様とアスタリア様からいただいたお弁当を走りながら食べて、英気を養おうかな?
明石焼きは熱々のダシがあるから、結界で「液漏れガード」を効かせないと厳しいけど、その程度なら私でもできるし問題ないでしょう。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






