表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
764/959

764話 安心してください。墓穴、掘っていますよ。




 メグミが送りつけたカンペを丸読みして、自分の意思を入れることなくアスタリアとの会話を終えた<ボッチ>は……


 武器と赤外線カメラをいつでも取り出せる状態にして、アスタリアと共に<コマンダー>で地獄世界へ旅立った。


 そして早速式神を放ち、「生きて目的地まで辿り着けそうなルート」を探るアスタリアを護衛しながら、その本領を発揮する。



「ねぇアスタリア様。なぜご主人様は、わざわざ"コレを読め"と命じてきたんだと思いますか? バッテリーのムダ遣い甚だしいのに」


「そうね〜。きっとメグミ君は、心配性を拗らせちゃったのよ。<タイダ>や<シキヨク>みたいに、主人に完全放置されるよりはマシでしょう?」


「たしかに。ご主人様の不足を補うのも眷属の仕事ですし、感情で動いてしまう"脳足りん"な部分は、私が秀でることで支えます!」



 メグミが心配したのは、「<ボッチ>が余計な毒舌でアスタリアの怒りを買ってしまう事」なのだが、主人の心を解するような眷属なら、こうはなっていない。


 電話&チャットによる「カンペの首輪」から解き放たれた<ボッチ>は、悪気なく素直な心で毒を吐き続け、しっかりアスタリアの前で墓穴を掘った。



「(まぁ落とし前は後々メグミ君にとらせるとして、このルートならいけそうね。途中で神見習いとぶつかる可能性があるけど、そこさえ避けさせれば大丈夫)」


 もちろんアスタリアは、危険な地獄世界でムダにキレ散らかす事などなく、打ち合わせどおり淡々と事前調査を終わらせて、その結果を<ボッチ>に共有。


 彼が無事に目的地まで辿り着けるよう、必要な情報を与えて送り出した。



 そして……<ボッチ>の姿が見えなくなると同時に、飼い主のメグミへ一通のメールを送信。


 コッソリ録音していた彼の毒舌砲をネタに、「私のダンジョンにも、高級焼肉と新鮮なお魚がタダで食べられる自販機欲しいな〜」と"タカり遊び"を始める。






「それにしても、あの子……速いわね。さすがは、高スペックにマサル君の基礎ステータスを乗せたチート個体。コミュ力以外、最強だわ」


 ルートさえ決まってしまえば、<ボッチ>がやることは単純なのだ。


 アスタリアの式神がぼんやり光を放って誘導してくれるので、それを追って先へと進み、かつ「スマホにいつでも反応できる状態」を維持すればいいだけ。



 スマホはバイブレーション設定にしておけば、自動で震えて通知を届けてくれるので、それを無視しない限りメールを読み逃す心配はない。


 また<ボッチ>の誘導係を務めている式神も、リアルタイムでアスタリアの指示を受けているため……


 「式神が止まったら自分も止まる」を徹底すれば、アスタリアからの情報が伝わらず、敵と遭遇してしまう展開は避けられる。



「救出不可能な超危険地帯で悪目立ちするバトルとか、自殺行為と大差ないもの。ん……そろそろ、ボッチちゃんが最初の難所に入るわね。大丈夫かしら?」


 アスタリアは極力安全なルートを選んだが、中級神のテリトリーには"警戒域が被っている場所"もあり、誰の目にも触れず100%安全に行ける道などない。



 ゆえに何ヶ所か「中級神に気配を察知されるであろう場所」を通るしかなく、もしそこで<ボッチ>が目をつけられた場合……


 中級神相手だと実力差が大きすぎるため、選択肢が「自刃による魂の救済」一択になってしまうのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜血道の刃〜


この刀を使って自刃すると、魂は輪廻に戻るのではなく主人の元へ行き、「主人が創った器」に入ることで、記憶を引き継いだまま転生できる。


ただし転生前のスペックは引き継げず、能力値は「新しい器のスペック」となるため、記憶を引き継げるからといって、必ずしも恵まれた来世を歩めるわけではない。


なおこの刀は、「記憶の媒介役」として自刃者の魂と共にその主人の元へ向かい、役目を終えたあと"刃こぼれした状態"で顕在化する。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 そこでアスタリアは、元巫女の能力を使って「<ボッチ>に付けていた式神」を起こし、呪いをかける形で彼をサポート。


 肉体的には何の変化も起こらず違和感もないが、第三者視点から見たとき、本人の実力に関わらず「その存在がザコに見えるデバフ」をかけた。



「中級神が通常モードだったら、私が身を張って囮役をこなし、その隙に<ボッチ>を……って方が、成功確率も高かっただろうけど。この状況じゃね〜」


 粛正を恐れて闇神<スティグマ>の動向を随時追わなければならず、逃げ支度でも忙しいなか、彼等は「ザコが監視域に入った」程度で動くだろうか?


 まず動かないし……もし仮に動いたとしても、足手まといな配下を放逐する名目として、「ちょっと行って確かめてこい」と様子を見させるだけだろう。



「うん、大丈夫そうね。一瞬、中級神のオーラが<ボッチ>の方へ向いたけど、1秒も経たず元の状態に戻った」


 アスタリアの予想どおり、「ザコに見える気配をまとった<ボッチ>」は、中級神のテリトリーを通っても秒速でザコ認定され……


 「時間をかけて狩る価値などない」と、監視対象から外された。



 もちろん「気配はザコなのに、やたら速く移動する奴」だと怪しまれてしまうため、<ボッチ>にはアスタリアから「走る速度を落とせ」と指示が出ている。


 相手視点で物事を考えサラリと罠にはめるタイプのアスタリアに、死角はない。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ボッチはメグミのお財布にダメージを与えた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ