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763話 失言爆弾を無くすには




 体調を整えるために拠点に戻り高級弁当をタカったのは、アスタリアだけでなく、「遠慮」という概念を知らない<ボッチ>も同じ。


 そして良い意味で仲間のアスタリアを信頼し、放任しているモンティートと違い、メグミは「身内に過剰な愛情を注ぐタイプ」なので……


 "自分の分身"と認識した瞬間からますます過保護になり、要求された高級焼肉弁当だけでなく、頼まれてもいない銃器や弾薬まで山のように提供した。



「マスター、こんなに要りません。中級神に目をつけられて狙われたら、何を装備していても終わりですし、持って行っても邪魔になるだけです」


「そんなぁ!?」


 そして眷属の<ボッチ>に冷たく拒否られ、ショックで灰になるまでがワンセット。



 その様子を隣で見ていたサーシャが、内心「可愛い〜♪」と萌え散らかし、「絶対に今夜喰う!」と決意を固めるのも、お決まりのパターンだが……


 幸いなことに直感魔人のアスタリアは、あらかじめ空気を読み、メグミ達のダンジョンを避けて行動していたので、それがバレて恥をかくことはなかった。



 そして休憩タイムで英気を養い、お弁当までゲットした<ボッチ>とアスタリアは、カルマのダンジョンで合流。


 地獄世界へ向かった後の行動について、そこで軽い打ち合わせをおこなう。






「ボッチちゃん、よ〜く聞いておいてね。まず私が式神を放って、目をつけたルートをいくつか比較する。そして、一番安全なルートを貴方に教えるわ」


「はい。私はそのルートをただ突っ走り、アスタリア様の指示を受けたタイミングで、そこのデータを集めればいいんですよね?」



「えぇ。一気に奥まで潜りこめるに越したことはないんだけど、保険として、中級神のテリトリーから外れたルート上に、2,3ヶ所"中継用の拠点"を作るの」


「そのデータは式神じゃ集められないから、私が足を止めて直接……って話でしたよね。大丈夫。ちゃんと覚えています」



「そうそう。ボッチちゃんは偉いわ〜! ご褒美に、モンティートから強奪した"明石焼き弁当"を、1箱分けてあげる〜♪」


「ありがとうございます。先ほどタコ焼きをつまみ食いさせてもらったところなので、食べ比べできて嬉しいです」



 <駒つくりの筆>で量産した下僕より、頑丈で知性もあるアスタリアの式神だが、残念なことに<コマンダー>との相性は悪かった。


 <コマンダー>で、カルマ自身が行ったことない"未知の領域"を拠点化するために必要な条件は、「場所の詳細」と「正確な地図」のデータを揃えること。



 だがアスタリアの式神は、視覚で物を見るのではなく気配を感じとることで周囲を認識しているため、単体じゃ「正確な地図」のデータを収集できないのだ。


 式神は霊の一種なので、視覚による探知をおこなわなくても物にぶつかる心配がなく、だからこそソレ系の能力が全く育たなかった……という経緯がある。






「ピンポイントでその地点だけを調べれば良いわけですし、今回は<駒つくりの筆>は使いません。代わりに、ご主人様が買ってくださったコレを使います」


 <ボッチ>がポケット型マジックバッグから取り出したのは、心配性のメグミが彼に買い与えた山のような物資の中で、唯一受け取った赤外線カメラ。



「これで周囲の様子をグルリと撮影して、そのデータをメールで送れば、すぐ<ヒッキー>が3Dの地図データに直してくれる。多分これでいけるでしょう」


「うん! だけど動画は尺が長いと送信できない場合もあるし、きちんと送信できたかは必ず確認してね。あと、私からのメールもリアルタイムで見ること!」



「はい。アスタリア様の式神で、ルート上に敵がいないか随時チェックしてくださる以上、私もメールは即見します。動画の送信もミスったりしません」


「えぇ。戦闘になっても貴方なら勝てるかもしれないけど、今回の目的はあくまでも<コマンダー>の拠点を闇神城に近づけること。そこだけは徹底してね」


「承知いたしました」






 マサル相手なら、すでに失礼爆弾が何発か炸裂しているところだが……アスタリアに対して、<ボッチ>は暴言を吐かなかった。


 これは<ボッチ>が「相手を選んで嫌がらせする、根性捻じ曲がりタイプ」という訳ではなく、つい先ほどメグミに何度も命じられたからだ。



 『アスタリア先輩の機嫌を損ねると、報復で僕が破滅することになるの。だから彼女への返事は、「はい」か「Yes」。会話するときは、電話で僕を介せ!』と。


 つまりボッチが喋ったセリフは、全部「アスタリアの話を電話越しに聞いたメグミが、素早くチャットを打ちこみ作り出したカンペ」の丸読みだったのである。



 もちろん<ボッチ>のすぐ側にいるアスタリアも、それは察しているが……メグミのカンペを拒否しても出てくるのは毒舌だけなので、何も言わない。


 彼女にとって重要なのは、「<ボッチ>が作戦を理解し、言われたとおり行動してくれるか」だけなので、「過程がカオスなこと」などどうでもいいのだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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