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760話 利便性の向上




 頭の中では「明石焼き食べたい」しか考えられなくなりつつも、最大出力で式神を放ち、闇神派閥の中心部へ繋がるルートを調査しているアスタリア。


 似たような事は、眷属チームも<駒つくりの筆>で生み出した下僕を用いてやっているが、調査員の質が全然違う。



 まず、<駒つくりの筆>で生み出した下僕はネズミやヘビ程度の戦闘力しか持たず、動物特有の気配消しこそできるが探知されると即バレるレベル。


 しかし式神は、それ単体でBランクモンスターを狩れるほどの戦闘力をもち、かつ複雑な指示を理解できて霊体ゆえ空も飛べる、高スペックな従僕なのだ。



 加えて、アスタリアの使役する式神は闇属性ではなく、<霊><無><聖>属性のかけ合わせゆえ、闇の存在とは根本的に異なり彼等に気づかれにくい。


 つまり<駒つくりの筆>で生み出した下僕だと、即バレ&即潰されて調べられないような場所でも、敵に気付かれることなくしらみ潰しにできる。



 とはいえ、そんな便利なものをノーリスクで使役できる訳もなく、<駒つくりの筆>で生み出した下僕がMPを喰うのに対して、式神はHPを奪う。


 しかも命令を下すたびにHPを持っていかれ、その量は命令の難度と比例するため、通常時ならアスタリアでも20体稼働がやっと……というところだ。



「(同盟メンバーの3人がHPを預けてくれたから無茶できるけど、私だけならとっくに枯れ果てて死んでいたわね。この能力、本当にコスパが悪い)」


 当然、HP不足に悩まされながら戦闘などこなせないため、式神使役中のアスタリアは格下相手にしか勝てないし、不意打ちにも弱くなる。






 それでもリスクをとって、地獄世界で調査を続けた甲斐はあった。


 式神を放って16時間後……彼女は、自分がいる場所から闇神城までのルートを探索し終え、そのルート上にいる中級神の異変にも気付いたのだ。



「おかしい。中級神の警戒意識が、神殿を中心に丸く広がるわけじゃなく、闇神城の奥の方へ伸びている。しかも、どの中級神も同じ場所へ」


 その「警戒意識が向いている所」が固定されているなら、その場所に何か重要なモノがある……という結論が導き出せる。


 だが中級神の警戒意識は揺らいでおり、全ての中級神が"ある一点"を探っているものの、「その点が動いている」かのような挙動を見せていた。



「格下の式神じゃ、結界を張られた神殿内に潜りこんだり、中級神の思考を読むのは無理ね。さすがにバレて、私ごと始末されるのがオチだわ」


 数十秒ほど悩んだ後、アスタリアはとりあえず現状をメグミ達へ報告することに決めた。



「考えるのは、あの爺達とメグミ君・マサル君がやってくれるでしょう。私はデータだけ送って、調査を進めた方がいい」


 必要とあらば自分の頭で考えることもできるが、感覚が研ぎ澄まされているときのアスタリアは、直感脳になってしまうため……


 頭脳労働には不向きであり、万が一"自分が殺されたとき"に備えて、「そろそろデータを送るべき」と判断した。



 仲間を信頼し、自分より彼等の方が思考力は優れている……と認められる潔さをもつ、彼女らしい行動である。


 なお、ついでに「私の分の明石焼きもヨロシク」と追記するのも忘れない。






 <−−− ポチポチポチポチ……ピロ〜ン♪ −−−>


「このスマホ、本当に便利よね〜。全世界対応なんて気が効くわ。真っ暗な地獄世界でも、光っていて画面見やすいし最高!」



 以前、メグミ達が地獄世界へ乗り込んだときは、彼の<自販機作製>ギフトがSランクだったため、購入できるスマホの対応地域が限られていた。


 <サルトー区・ポルカト界>と地獄世界を繋ぐためには、二世界を行き来できる場所に部下を置き、その者にメールを送って物理的に移界してもらい……


 送付先と同じ世界へ移動した後、メールを転送……という、クソ面倒な過程を経ないとダメだったのだ。



 だがメグミの<自販機作製>ギフトがランクアップして以降、買えるスマホのバリエーションも増え、全世界対応型の機種も出たため……


 すでに味方のスマホは全てその機種になっており、どこにいても送信ボタンを押すだけで、数秒後には相手にメッセージを届けられるようになった。



 それによって、より一層リアルタイムで応じないといけなくなった、下っ端魔王<カルマ>の心労はさておき……


 <農民>同盟のメンバーとメグミ達、遠慮という概念を知らない現場探索眷属チームにとっては、便利な代物だ。



 なお……このスマホを作った会社は、異世界で使うことなど当然想定しておらず、「海外でも繋がるスマホ」として売り出したのだが……そんなの関係ない。


 電波塔もwi-fi環境もないにも関わらず、遠く離れた場所でも他者とやり取りできるカオスアイテムに化ている時点で、今さらである。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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