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758話 雑貨屋で御守りを買う人


〜メグミside〜




 最初は"反対"の立場だったマサルも、「より効果的な代案を出せない以上、アスタリア先輩を信じて託すのが俺の役目」と、考えを変え……


 先輩方に<器移し>のギフト玉を渡して、GOサインを出してしまった。



『なるほど、これがHP99%減の感覚か〜。戦闘とか儀式で、何度かこのラインまで落ちたことはあったけど、平常時に奪われるとまたちょっと違うね』


『日常生活には支障ないが、このHPじゃ鍛治ができん! ちょっと火傷したりハンマーの加減を間違えただけで、HPが溶けて死にそうじゃわい』


『それでも二人は、アスタリアに充分なHPを譲れたんだからいいじゃない。僕、アンデッド化していて基礎ステータスが低いから……役立たずでゴメン』



 モンティート先輩・ゴーブル先輩・ルノーブル先輩、それぞれに思うところがあるようだが、現在のところ後悔してはいなさそう。


 よく考えてみると、僕もサーシャが死にそうで「HPを渡せば助かる!」って状況があれば、躊躇わず全HP譲るから……


 それに近い感覚なのかもしれないけど、本当……全員無事に修羅場を潜り抜けて、健康な状態で長生きできるよう……お願いしますよ!!






「おぃメグミ。お前……不安だからって、雑貨屋でシリーズ物の"お守り"をコンプリートするなよ。買う場所・個数・渡す相手……全部間違えているぞ」


「えっ!?」



 だってさぁ〜、後輩として先輩の安全を願うのは当然じゃん!


 「<セレクト自販機>のカタログに、なんか良いの載っていないかな〜」と思って探したら、「御守り12個セット」っていう、いかにも効きそうな商品が……



「アスタリア先輩、聞きました? このアホ、元巫女に対して異世界の……しかも、神社とかじゃなく普通の雑貨屋で買った御守りを、押し付けようとしています。12個も……」


『電話繋いでくれてありがとう! リアルタイムで聞けて、笑っちゃったわよ。でもまぁ、メグミ君らしくていいんじゃない?』



「で、どうします? このゴミ、要りますか?」


「そうね〜。サーシャちゃんのダンジョンにある私の私室に、投げ込んでおいて。嵩張るから、持っていくのは遠慮するわ」



 酷いっ!


 モンティート先輩達と……ついでに<小鬼>同盟メンバーにも、"お揃い"で渡そうと思って、もう「12個セット×10個」買っちゃったのに〜!!



 というかこの御守り、マジでご利益なかったの?


 もしかして、異世界版「ウグリス像」みたいなパッチモンをつかまされた感じ……だったりする?




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




 見事にしくじり黒歴史が増えたメグミだったが、電話の向こうで爆笑しているアスタリアは、その天然成分によって癒され……


 "心の安定"という、「最も大事な効果」を得ることができた。



 いくらベテランの女傑魔王とはいえ、<器移し>でモンティート達から基礎ステータスを借り、役目を背負って命懸けで地獄世界へ突入するのだ。


 不安や恐怖を感じなかったわけじゃない。



 だがテンプレに沿ったものではない……本心から相手を思った結果行動し、それがボケになってしまって盛大にスベッた、メグミのあり様は……


 彼女の心の奥底に潜むネガティブ感情を打ち消し、「この子達を守るためにも頑張ろう」と、よりポジティブな気持ちを強めた。



「メグミ君って、根っこから可愛いわよね〜。サーシャちゃんが彼一筋なのも、理解できる」


 女同士という事もあってサーシャと仲が良いアスタリアは、彼女がメグミに萌えるポイントもよく熟知しており……



 「きっと今頃、彼の隣で顔に出さぬよう猫を被りながら、心の中でペンライトを振り回し、絶叫しているんだろうなぁ」と、ほぼ正確にサーシャの状況を推察。


 そしてHPが1%しかないマサルに、「多分この後二人は"お楽しみタイム"に入るから、馬に蹴られて死ぬ前に逃げた方がいいわよ〜」と忠告メールを送った。






 もちろん、ネガティブな気持ちが消えたからといって「任務のリスク」が減るわけではないが、アスタリアは元巫女。


 つまり「己の精神状態がパフォーマンスに大きく影響するタイプ」であり、95点くらいの精神状態でカルマの元を訪れ、地獄世界へ転移できた段階で……


 本人的には、「とりあえず勝ち」なのである。



「ここが、現状"もっとも中心部に近い転移拠点"か。<ボッチ>とこまめに連絡を取りつつ、潜り抜けるための"穴"を見つけないとね」


 無闇やたらと中心部に近づくと、「真面目に職務をこなす中級神」の監視域に入ってしまい、即キルされるリスクがあるので……


 アスタリアは元巫女ならではの能力を使って、同じ地獄世界にいるキングデーモン達とは異なる方法で、索敵を始めた。



「式神よ。この奥の奥に……おぞましい気を放つ、強大な城があるのが分かるか? そこにより近付くために、我の手足となり"邪気の薄い道筋"を示せ!」


 元巫女であり、昔から極端に霊感が強かったアスタリアは、式神の力を借りて索敵から戦闘まで一通りこなす事ができる。


 ただ式神を使役しすぎると、対価として捧げる「己のHP」が尽きるうえ、「命令を伝える」過程も省けず戦闘に向かないため、普段使いする事はないが。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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