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757話 矛盾


〜マサルside〜




 アスタリア先輩の意思は固く、俺が意固地になって反対しない限り、自分自身で地獄世界へおもむく事は、ほぼ確定した。


 そして現状、<コマンダー>の勢力圏を闇神の支配領域の奥深くへ伸ばすには、この案が最善なのは皆理解している。



 いくらキングデーモンが地獄世界に適応した種族であり、<ボッチ>が神見習い2体を屠る活躍を見せていたとしても……所詮は"神見習い"相手なんだ。


 下級神が万全の状態で出てきたら、ソイツが余程愚かでない限りたぶん負けるし、その下級神よりさらに上の中級神と戦うなんて……


 自刃前に身も心もボッコボコにされ、拷問で俺達の情報を丸っと吐かされたうえ、壮絶死する展開まで見える「究極の罰ゲーム」だもの。



 それに対して、敵の脅威度をきちんと理解したうえで自ら「行く」と言い、同盟メンバーからのバックアップも決まった、アスタリア先輩なら……


 元巫女の能力を遺憾なく使って囮の役目をこなし、<ボッチ>がより「闇神の神殿がある中央部」に行けるよう、アシストしてくれるだろう。



 俺は元日本人かつ、ぶっちゃけ価値観も古い系の人間だから、お世話になっている老婆を危険に晒すなんて、想像するだけでゾッとしちまうが……


 戦いにおいて「情で物事を判断する」のは何よりの悪手だし、他に同じくらい有効かつ安全性が担保された案を、出せるわけでもない。


 だったら"お気持ち"で反対するのではなく、先輩達を信じてギフト玉を渡し、チャンスを広げられるよう立ち回るのが、俺が取るべき最善手だろう。






 というか……動揺したとはいえ、俺よりさらに慌てふためき現在も顔を青くしているメグミが、隣にいるのだ。


 認めたくはないが「鏡に映った自分」を直視させられた感じになって、嫌でも落ち着くし、悪あがきで焚いた「鎮静効果のある香」なんかより余程効く。



 あとなぁ〜メグミ、別に構わねぇけど……俺だって、<ボッチ>を現場へ送りこむために命を張っているんだぞ?


 なんか、俺に対する扱いとアスタリア先輩への態度……露骨に違わねぇか?



 アスタリア先輩の方が高いリスクを背負い、彼女をサポートするモンティート先輩・ゴーブル先輩・ルノーブル先輩も、老齢ゆえ心配だろう。


 だが頭で理解していても、もうちょい「大事にしている感」を出してくれてもいい気がするというか……いや、メグミにゃ無理だな。



 コイツは、<ヒッキー>と<ボッチ>の生みの親。


 一応、俺にも多少は配慮してくれたわけだし、「空気を読む才能がない」なりに善処した方だと思っておこう。






「では、<器移し>のギフト玉をお渡しします。あと余計なお世話かもしれませんが、身につけるとHPが増える系のアイテムも、良ければ使ってください」


 という事で……作戦遂行に必要なギフト玉を渡し、モンティート先輩・ゴーブル先輩・ルノーブル先輩用のサポートアイテムも、添えさせてもらった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜器移し〜


己がもつ「HP・MPの99%および全スキル」を、任意の相手へ渡すことができる。


あくまでも渡すだけなので、相手が強化されている間、移した側のステータスは「その分がマイナスされた状態」になり、1%しかHPが残らないので命の危機にさらされる。


渡したステータスは、返還アクションがなくても、相手が死ぬか30日が経過したら自動で戻ってくるが、もし相手が死ぬ前に渡した側が死んでしまった場合、そのステータスは相手のモノとなり、渡した側は来世以降も激弱状態で転生することになる。


なお渡した相手がステータスの返還を拒否した場合、遅延損害金15%がかかるものの、返還は30日間猶予され、渡した側は激弱状態が継続されてしまう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 どのアイテムも、俺が現役勇者時代に入手した物で……割合ではなく"決まった量"のHPを増やしてくれる、デバフをくらったとき役立つ代物だ。


 通常状態だと、割合でバフをかけられるタイプのアイテムを身につける方が、HPの増加も多くなるから便利なんだけど、元の値が小さいとなぁ。


 「1%増える」よりも「100増える」方が、有り難かったりする。






「えっ!? ちょっと待った! そういうアイテムを持っていたなら、なぜマサルは身につけないのさ!? 使えるもんは使わないと危ないよ!」


「いや、俺は諸事情あって使えなかったんだよ」



「ふ〜ん。深くは聞かないけど、命大事にね。失ったら取り返しがつかないんだから!」


「へ〜ぃ。分かりましたよ〜」



 メグミに言われなくても、俺だって使えるなら使いたかったが……「装備系アイテム不使用」を条件に入れた"とある仕込み"を、やっている途中なの!


 それに俺は元のHP量が多いから、1%しか残らなくても一般人よりは頑丈。


 数値はともかく肉体的に衰えすぎて、咳一つでウッカリ逝きそうな、お年を召された先輩方3名と一緒にすんな。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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