752話 メグミ、真実を知る
〜メグミside〜
「え〜っと……もしかして、<ボッチ>……被害に遭っちゃった感じ…………かい?」
「いえ。スペック的にはソイツが優っていたものの、性欲を抑えられない感じだったので、送っていただいた媚薬を嗅がせて自滅させ、その隙に殺しました」
よかった……ボッチは良くも悪くも「本音しか言わない、誤魔化せないタイプ」だから、本当にそういう目には遭っていないのだろう。
いや、穢らわしい目で見られたってだけでも気の毒だし、もしこの場に<シキヨク>がいたら、速攻で極太ビンを突っ込みそのままカチ割る!
そのくらいには赦せない事だけど、想定された最悪の事態がヤバ過ぎて、「実害はなかった」と聞くだけでホッとしてしまうのだ。
「ご主人様。これが、<シキヨク>の生皮と首級になります。SM趣味があるっぽかったので、最後の情けで念入りに剥いてやりました」
「あ〜うん、イイコトヲシタネ。エライ、エライ」
たしかに、初対面の相手に対して「"格下のお尻"を探しているところだった。ラッキー♪」とか平然と言っちゃうクズは、そういう特殊性癖持ちだろう。
だけど……どう見ても<シキヨク>はSだし、生きたまま全身の皮膚を剥がされて喜ぶ、「マゾヒストの極み」みたいな趣向はないんじゃないかな?
同情するような相手でもないので、「ざまぁ〜www」としか思わないけど、<ボッチ>も今後のために己の認知を改めた方がいい気がする。
敵を絶望させるに留まらず、プライベートで味方の趣味嗜好を盛大に間違えて、<ボッチ>の欠点である"嫌われ属性"が限界突破しちゃうから。
<ボッチ>自身が媚薬を"体験"したわけじゃないと知り、サーシャ共々落ち着いた僕は、格上の神見習いを2体連続倒した彼を褒め……
回収された<御霊水筒>のリソースを受け取り、英気を養うための「高級サイコロステーキが詰まった壺」を渡して、再び現場へ戻る彼を見送った。
前回の<タイダ>はともかく、今回戦った<シキヨク>はスペックだけなら<ボッチ>より上だったようだし、「絶対に無茶するなよ」と忠告したけど……
イマイチ本人に伝わっている感じがしないので、サポート役のカルマに「何かあったらすぐ助けられるよう、目を皿のようにして監視して」と頼むしかない。
「それにしても、どうして僕と闇神は眷属のカラーがこんなに違うんだろう? ランク差があるとはいえ、同じ<眷属創造>を使ったはずなのに」
「えっ、メグミ君……まだ気付いていなかったの? 眷属は、"核とリソースを分け与えた人"に似るんでしょう」
「はいぃ!!!?」
「明文化された解説を読んだわけじゃないから、詳細は分からないけど、メグミ君の眷属って……どう見ても、メグミ君の一部分を受け継いでいるじゃん」
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〜眷属創造(S)〜
自らの血肉を核としリソースを分け与えることで、何のシステムにも縛られない、己だけの眷属を創造することができる。
Sランクで創造可能なのは、キングデーモンおよびソレ以下の眷属。
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えっ、つまりそれって……僕の眷属が社畜率高めなのは、僕自身が社畜体質だからで、<ヒッキー>とか<ボッチ>も僕が持つ要素から生まれたの……?
そして……<ボッチ>が遭遇した闇神の眷属2体が両方ゴミだったのは、核になった闇神がクズだから、その特性を受け継いじゃった……って感じ?
「いや、でもちょっと待って! 僕は<ヒッキー>や<ボッチ>みたいに、"歩く無礼者"って程じゃないよ? やや性格悪いけど、対人コミュに難も無いし」
「あくまでも、メグミ君の中にある"一部の特性"を切り取って、それを増幅したり、コトコト煮詰めて濃くした感じなの。さすがに気付いていると思っていた」
スミマセン、指摘されて……たった今気付きました。
たしかに僕を一部を切り取って濃縮すれば、生み出した眷属達っぽい特性になるわ。
「なんかさぁ〜。そういう前提があると、<ボッチ>じゃなくて僕がお尻を狙われた気分になって……さらに不快感が増すね」
「ドンマイ。生み出した眷属がクズばっかりで、リソースを注いだそばから<タイダ>とか<シキヨク>って自己紹介される、闇神よりはマシだから諦めよう」
あぁ、そうか……僕が「気合と根性の概念しか持たない社畜眷属」ばかり生み出してしまい、ショックで膝から崩れ落ちたように……
闇神も、相応に"高い"対価を払って眷属を創ったにも関わらず、最初の自己紹介で「私はハズレです」と宣言されまくったのか。
「そう考えると、<眷属創造>って必ずしも"当たり神力"とは言えないんだね。僕……闇神ほど性根が腐っていなくて、本当によかったよ」
今後<ゴミ>とか<ダニ>みたいなクズ眷属を生み出してしまうリスクを考えると、スティーブ&カルマに対しても、あまり横暴な振る舞いはできないな。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






