表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
746/964

746話 目立たない不憫さん


〜マサルside〜




 神見習いを倒した<ボッチ>の快挙を祝おうと、死亡リスク承知で自分の城から出てきたのに、このKY野郎と"その生みの親"は……!


 ようやく「ニンニクの呪い」から脱したのに、またストレスでトイレに逆戻りしたら、どうしてくれるんだよ!



「まぁいいや。ボッチ、実際に戦ってみて"必要だ"と思ったサポートはあるか? バックヤードのメンバーに求める事があったら、遠慮なく教えてくれ」


「特にないです。肉も食べ終わったし、これ以上ココにいてウ○コ臭が移ると困るので、地獄世界へ戻りますね〜」



 <ボッチ>の野郎……メグミに戦果を報告して焼肉を食ったら退散って……一応お前、現在は俺の下で働いているんだけど……その辺、理解している?


 する気がないんだよね、ゴメン……期待した俺が悪かったです。



「は〜い! <御霊水筒>の処理も終わったから、持っていって! でも、次は危ない敵と戦っちゃダメだよ。ボッチ自身の安全が、一番大事なんだから!」


「善処します」



 うん、メグミの忠告も聞く気ねぇな。


 ぶっちゃけ目先の安全を優先していたら、できる仕事もできなくなって詰んじまうし、ボッチが攻めてくれるのは非常にありがたい。


 ありがたいが……「主人の命令」より「主人の利益になる行動」を優先して、しかも独断で動く眷属って……どうなん?


 しかも、無意識のうちに「承認欲求」を判断軸に入れている節まである。


 まぁ<ボッチ>が狩りとった、「ウエストが限界突破した神見習い<タイダ>」みたいな、生粋のクズ眷属よりはマシなのかもしれねぇけど。






 フラッと帰ってきた<ボッチ>が、ササッと目的を果たして地獄世界へ戻ったので、俺も<恵のダンジョン>から撤退し……


 自分のダンジョンでシャワーを浴びて服を着替えた後、<ボッチ>のサポートと拠点開拓でヘロヘロになっている、カルマのダンジョンへ向かった。



 さすがに俺だって、本音しか言わない<ボッチ>と、彼の生みの親であり(自覚はないが)彼そっくりのメグミに、汚物扱いされた状態で……


 年下かつ気弱ゆえ文句を言えないカルマの所へ行って、スメルハラスメントするつもりはねぇよ。


 俺は、アイツ等と違って「空気読めるタイプ」なんだ!



<−−− ヴーーンッ! −−−>


「カルマ、生きているか? 激弱デバフがかかっているから実務は手伝えねぇけど、愚痴くらいは聞けるぞ〜」



「まっ……マサルさん、よくお越しくださいました。過労で狂いそうになっていたんです。ありがたい!」


「あぁ、やっぱりそうなるよな。<コマンダー>は、特定の配下を"代理"として立てることで、ソイツに仕事を丸投げできるけど……お前の部下、育ってねぇし」



「ウグッ! でも、本当にそうなんですよ〜。簡単な仕事なら任せられるんですけど、我が道を行くタイプである<ボッチ>のサポートとなると難しくて」


「サーシャちゃんの所で研修中のオートマタが戻ってきたら、多少はマシになるだろう。それまでの辛抱だ」


「はい!」



 カルマの<コマンダー>は、優秀な配下を多く持ち勢力を伸ばすと脅威になるが、肝心の部下がまだ育ちきってねぇ。


 というか……育ってはいるが、それ以上にカルマが鬼畜レベリングで成長し過ぎて、彼のギフトの成長に部下が適応できていない……というところか。






 <コマンダー(Sランク)>で発現した、「正確な地図データさえあれば未知の領域を"開拓"できる能力」は、対価のマナを通常時の1万倍要するので……


 一度使うだけでもヘロヘロになるから、部下にムダ打ちさせる余裕などないし、カルマ自身がやらざるを得ない。



「(もし俺が現地へ飛ぶ駒なら、カルマの苦労を思って配慮くらいするが、<ボッチ>に配慮なんざ期待できねぇからな)」


 ウッカリ「探索効率の悪い場所」を新規開拓してしまい、そこへ彼を飛ばそうものなら、容赦なく途中で「もう一拠点開拓しろ」と要求されるし……


 現場で命を張って戦っている<ボッチ>にそう言われては、カルマも「疲れるから嫌」とは返せず、迅速に対応するしかなくなる。



 つまりカルマは、部下に"代行"を任せられない重要任務を背負っているため、<ボッチ>が働いている間ずっと、ゆっくり休むことができず……


 メグミの過労成分を抽出したような彼のブラック労働に、陰ながら付き合わされているのだ。



 それに加えて、同じくらい心身に負担がかかっているスティーブから届いた「当たり武器」を、<遠隔商談>ギフト持ちのメグミへ届け……


 必要に応じて、地獄世界で頑張る眷属達へ送ったり、己の勢力を拡大するためのダンジョンポイント稼ぎ&日常業務も付いてくる。



 ナチュラルに狂っているメグミや、元勇者でブラック労働に慣れている俺、不憫キャラのスティーブがいるから、目立つことこそないが……


 カルマだって過労死ラインを越えかけており、ちゃんと労わってやらないと、そのうち一線を越えてメグミみたいな狂人になっちまうんだよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


私が以前なろうで連載していてた「落ちこぼれ国を出る」のコミック第9巻が、3月12日に出版となりました。

我ながら面白いと思うので、興味ある方はぜひ読んでくださいm(_ _)m


下のイラストから詳細ページへ飛べます(^_^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
魔王歴は1番短いけど、完全に新人のメンタルケアをする先輩キャラになってるな、マサル(汗)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ