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744話 ボッチ快勝




「童貞さんからは、"危なかったら躊躇わず逃げろ"と言われたけど……コイツ相手なら大丈夫だよね? デブで、私の前に自重と戦わなきゃダメそうだし」


 この口撃で完全にキレた神見習い<タイダ>は、格下のキングデーモンをボコボコにして侮辱された落とし前をつけようと、ボッチに殴りかかった。



 なお……せっかくリソースを注いで創ったのに、生まれた瞬間から「私の名前は<タイダ>です」と、怠そうに自己紹介された闇神は……


 また眷属創造に失敗したことを悟り、生まれてしまった「目の前にいるゴミ」を殺そう……だが、折角つくったのに勿体ない……


 と本気で悩み、ストレスで頭髪戦線が後退しかけたことを記しておく。



「ふむ。本来なら格上の<神見習い>に私が勝てるはずないのですが、貴方相手ならいけそうですね。攻撃の軌道が単調だし、動きもトロすぎる」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」



 ボッチから漏れた本音を聞き、さらに怒りを爆発させたタイダだが、元々「面倒だから」と鍛錬をサボり……


 余程のことがない限り筋肉が落ちない上級悪魔のくせに、Bカップのバスト(機能ナシ。中身は全て脂肪)を持つ、巨デブに成り果てたのだ。


 腕っぷしも「生まれた時のスペック」のみに頼っていて、自分を高めるための鍛錬などロクにしていなかったため、その動きは精彩を欠く。



「だけど、その汚肌からしみ出る汗が飛んで私の身体につくのは、生理的に耐えられないかも。ある意味、二段構えの攻撃的な?」


「黙れぇ!!!!」



 激昂したタイダは、ボッチの不愉快な口撃を封じようと、歯を折るために口を狙って殴りかかるが、動きがトロいうえ読みやすいので……


 その攻撃モーションを利用されて、アッという間にボッチに間合いを詰められ、急所に攻撃をくらった。






「グゥゥ…………」


 スティーブが<水の職人>ギフトで創りあげた「当たりアイテム」の一つ、<聖なる水刀>を、タイダのヘソに思いっきり突き刺したのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜聖なる水刀〜


柄にマナを流すことで瞬時に「聖なる水の刀」を生み出し、<聖>と<水>両方のチカラで相手を貫くことができる、神話級アイテム。


相手が闇属性だとより突出した効果を発揮し、この刀によって生まれた傷は、数千年にわたり浄化され続け、最高位の呪術を用いない限り癒せなくなる。


純粋さに欠ける者がこの武器を使うと、攻撃側も武器の抵抗をくらってダメージを受けてしまうが、持ち手の属性は問わないため闇属性者でも使用可能。


生み出される刀身の幅および強度は、流されたマナの量・鋭さによって変わるため、扱うには刀術だけでなくマナのコントロール力も必要となる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「ガガァァ…………」


「ヘソを貫いて内臓まで刺した。脂肪の層が厚すぎて貫通はできなかったけど、これだけ深く刺せば致命傷だろう」



 なぜ、闇属性であるボッチがこの武器を扱えたのか。


 それは単純に、彼が「混じりっ気のない純粋な毒舌野郎」だからであり、タイダと違って性根は汚れておらず、刀に嫌われなかったから。


 だからこそメグミは、「もしもの時のために……」と親バカを発揮して、危険な場所で単独行動することが決まったボッチに、この刀を渡したのである。



「ァァァァァ…………」


 同じく闇属性であり、かつ根性まで穢れきっているタイダが、この刀で刺されて無事で済むはずもなく……


 内臓の中心部にできた刺し傷を、自己再生で癒すこともできず、痛みと体内から浄化される苦痛でもがき苦しんだ。






「いや……泣きたいのは、貴方の腐った内臓で穢れちゃった刀と、後でそれを洗浄しなきゃいけない私だし。ハァ〜、手間が増えた」


 この状況になってもボッチの口撃は緩むことなく、まだ意識のあるタイダをイラつかせるが、すでに勝敗は決しており報復する術はない。



「あっ、でも……折角の初勝利だし、種族的には"格上"なんだから、ご主人様に報告するための証拠は必要かも。汚いから嫌だけど……剥ぐか」


 そして「大好きな主人に褒めてもらいたい」という、ボッチが唯一持つ承認欲求によって、「素材剥ぎ取りの対象」と見なされたタイダは……



 日本産ゴム手袋着用のうえマスクまでしたボッチに、<聖なる水刀>で生きたまま全身の皮を剥がれ、魂に宿るリソースまで奪われてしまった。


 「使わないに越したことはない」と思いつつも、ボッチに強請られて「リソースストック用のアイテム」を渡していた、メグミの大勝利である。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜御霊水筒〜


ターゲットの魂に宿るリソースを吸い取り、中の水に溶かすことで保存できる、神話級の特殊な水筒。


貯蔵量はさほど多くないため、無限使いできるわけではないが、手軽にリソースを持ち運べるアドバンテージは大きい。


リソースを吸い取れるのは、相手が完全に戦闘力を失っており抵抗できない状況のときだけであり、元気な敵からいきなり御霊を抜くことはできない。


この水筒に保管された「リソースが溶けこんだ水」を飲むと、そのリソースを補充することができるが、属性を合わせないと体内でリソース同士がケンカして自滅するため、取り扱いには注意を要する。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
キングデーモンだから雄だと思うけど、話し方的にダウナー系メス悪魔なのか…?
これ使いこなせるってことは認められなかった際「最高位の呪術を用いない限り癒せなくなる」を クリアするために先輩に頭下げて控えてもらった状態で検証したんだろうなぁ。 本質知っててもこの外面のやつに頭下げ…
純粋な毒舌、ベジータの亜種かな?
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