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739話 器移し


〜メグミside〜




 突然<恵のダンジョン>に来て「しばらく<ボッチ>を借りたい」と言われたときは、"眷属違い"じゃないかと戸惑ったけど……


 マサルは本気であり、僕が許可を出すとその場で<ボッチ>とコミュニケーションをとり、作戦を共有し始めた。



『SSランクまで上がった俺の<スキル図鑑>にある能力を使い、俺のステータスを一時的にお前へ移す。お前は、その状態で地獄世界へ乗りこめ』


『なるほど。通常のキングデーモンじゃ調査困難な場所を、童貞さんのバフを乗せてパワーアップした僕が、一人で調査する感じですね?』


『そうだ。移動にはカルマの<コマンダー>を使い、お前の探索と同時に"コッチの転移可能領域"も広げていく。あと、"童貞"の方を残すのは止めろ』



 どうやらマサルは、「一時的に自分のステータスを他者へ移し、その個体のスペックを強化する能力」の、ギフト玉を持っているようで……


 今回はそれを使って、元々の個体スペックが高いボッチをさらに強化し、マッピングできていない危険地帯へ送り込むつもりみたい。



 僕としては、意地悪で「致死率の高い危険エリアへ放りこむ」とかじゃなければ、仕事のうちだと思っているので……


 <ボッチ>には、ぜひマサルの下で頑張ってもらいたい。



 だが同時に……なぜマサルが、ここまで協調性皆無な<ボッチ>と簡単にコミュニケーションをとれるのか、愕然とし……


 そのコミュ力を、羨ましく思ったりもした。



「(まぁ僕は、サーシャがいるからセカンド童貞にはならないし、その手の口撃でダメージをくらう心配もないけどね)」


 とはいえ……僕も<ボッチ>を創ったとき、生み出して早々に「ご主人様、<ヒッキー>そっくりですもんね」と特大砲を撃たれたので、油断ならないが。






『<ボッチ>。これが、ステータスを移すのに使う<器移し>のギフト玉だ。地獄世界にいる間、10時間おきにこのギフト玉を食ってくれ』


『分かりました。童貞野郎の手作りと思うと、なんかキモくて食べる気力が失せますが……仕事ですもんね。覚悟を決めて、水で流しこむことにします』



 <ボッチ>が失礼なのは通常運転だから、もう突っ込まないとして……マサルの<スキル図鑑>は、SSランク昇格によってギフト模倣可能時間が伸びた。


 そのため、以前は3時間おきに食べなきゃいけなかったギフト玉が、12時間おきの摂取でよくなり……


 息継ぎ失敗による「現地でバフが剥がれるリスク」を考慮して、"被せ時間"を設けても、10時間毎の補充で充分になっている。



『ハァ〜。じゃあ、さっそく<器移し>を始めるぞ。移し終えた瞬間から、俺はモブ以下の雑魚ステータスになるから、くれぐれも迂闊に触れないように』


『大丈夫です。童貞さん……なんか臭いんで、命令でもない限り触ったりしません』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜器移し〜


己がもつ「HP・MPの99%および全スキル」を、任意の相手へ渡すことができる。


あくまでも渡すだけなので、相手が強化されている間、移した側のステータスは「その分がマイナスされた状態」になり、1%しかHPが残らないので命の危機にさらされる。


渡したステータスは、返還アクションがなくても、相手が死ぬか30日が経過したら自動で戻ってくるが、もし相手が死ぬ前に渡した側が死んでしまった場合、そのステータスは相手のモノとなり、渡した側は来世以降も激弱状態で転生することになる。


なお渡した相手がステータスの返還を拒否した場合、遅延損害金15%がかかるものの、返還は30日間猶予され、渡した側は激弱状態が継続されてしまう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






 一見便利な能力に見えるけど、残されるHPが1%かつ「死んだら来世以降も激弱確定」って……リスクがエグ過ぎて、とてもじゃないが普段使いできない。


 だからマサルも、僕等に確固たる信頼を置けるようになり、安全に過ごせる空間ができるまで、この能力の存在を隠していたのだろう。



 今回は、彼自身の意思で<ボッチ>にステータスを貸すのだから、問題ないけど……


 もし信頼関係が築けていない状態で、マサルがこの能力の存在を明かして、<農民>同盟の先輩方が欲を出したら。


 実力勝負じゃ勝てないマサルは、脅されて無理やり能力を使わされ、スカスカHPになったところをワンパンで殺されて、来世以降も詰んじゃうもん。



 逆に言うと、「この能力を使ってもいい」と思ってもらえるくらいには、マサルは僕達のことを信じてくれており……


 弱い状態になっても護ってもらえると、確信しているのだ。



 ステータスを受け取った側の<ボッチ>は、ただ「強化されたし、さっさと仕事を済ませよう」としか考えてなさそうだけど……


 渡す側の精神的負担は、想像を絶すると思う。



「グスッ! マサル。無茶してくれてありがとう! 僕、感激した。お礼に、待機中は僕の自販機で食べ放題していいよ!」


「いや、ちょっと待てメグミ! 自販機のメシ食べ放題はいいとして、鼻水ダラダラで抱きつこうとするな! 汚ねぇし、ステータス差で圧殺されちまう!!」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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