738話 危ない橋
〜マサルside〜
性格面に難があるものの、地獄世界に適応しているキングデーモンを創りだし、ソイツ等を使って索敵で一定の成果をあげたメグミ。
個々の眷属をとり上げるとカオス過ぎて見ていられないが、全体でのバランスは良く、ほぼ眷属内で完結するシステムも組み終わったという事で……
あとは探索範囲を広げて地獄世界のマッピングを済ませ、カルマの<コマンダー>が適切に使える状態を目指すだけでよくなった。
とはいえ……メグミ配下の眷属部隊が調査できたのは、あくまでも「敵と遭遇せずに済んだ場所」だけであり……
敵とのニアミスにより、<駒つくりの筆>で生み出した下僕が消滅した場所は、未だ情報がなく空白地帯になっているため、其処を埋める者が必要である。
「メグミもスティーブも、身体を張って頑張っているしなぁ。ここは俺も、ちょい危ない橋を渡るか!」
決意を固めた俺は、<農民>同盟のモンティート先輩に許可を取った後、カルマのダンジョンへ向かい、彼に作戦を伝達。
そしてメグミから、作戦に必要な眷属<ボッチ>を借りるため、彼の許可ももらいに行った。
「えっ、<ボッチ>を借りたい!? 構わないけど……正気? あの子、協調性マイナスで単独行動しかできないけど」
「知っているよ。だけど個体のスペック自体はメチャ高いし、俺の作戦には"静かに落ち着いて単独行動できる駒"が必要なんだ。だから貸してくれ」
「分かった。でも……性格に難ありでもウチの子だし、あまり酷い扱い方はしないでね?」
「もちろん」
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<ボッチ>
個体のスペックは非常に高いが、ヒッキーと同じくらい協調性に欠け、集団行動する事ができない。
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<ボッチ>は、主人であるメグミのボッチ特性を受け継ぎ、協調性のなさを煮詰めてデリカシーを削ぎ落とした、ヤバイ性格の持ち主であり……
悪気なく敵をつくって孤立するタイプなので、とてもじゃないが集団行動はさせられない。
だが個体のスペックは高く、孤独感で潰れそうな環境だろうと気にせず働ける、鈍感さも持ち合わせているうえ……
ちゃんと話すと「意外といい奴」という事が分かるので、裏切られるとメチャクチャ困るこの作戦では、一番使いやすいキングデーモンだと思った。
「ご主人様。このイケメンなのに童貞臭がする偽勇者に、僕が協力するんですか?」
「うん。マサルは僕の大切な仲間だし、<小鬼>同盟の最高戦力だからね。大変かもしれないけど、彼の指示に従って動いてほしい」
「了解です。超絶不満ですが、ご主人様の命令は絶対なので従います」
このとおり性格には難しかないので、普段から好きこのんで組みたい奴じゃねぇがな。
あと、俺はセカンド童貞持ちじゃねぇよ!
最近ご無沙汰だし、今後も特にヤる予定は立ってねぇが……その気になればいつでも捨てられるんだから、そんな惨めなニオイは出てねぇはずだ!!
「で……童貞イケメンさん、作戦って何です? 僕は何をすればいいんですか?」
「…………。SSランクまで上がった俺の<スキル図鑑>にある能力を使い、俺のステータスを一時的にお前へ移す。お前は、その状態で地獄世界へ乗りこめ」
「なるほど。通常のキングデーモンじゃ調査困難な場所を、童貞さんのバフを乗せてパワーアップした僕が、一人で調査する感じですね?」
「そうだ。移動にはカルマの<コマンダー>を使い、お前の探索と同時に"コッチの転移可能領域"も広げていく。あと、"童貞"の方を残すのは止めろ」
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〜スキル図鑑〜
相手の許可を得ることで、スキルおよびギフトが図鑑に登録され、登録された任意の能力を一時的に模倣できる、特殊な<能力玉>を生みだせるようになる。
ただし<能力玉>をつくる際は、己の血とHPを対価として捧げる必要があり、事前準備ナシでは役に立たない。
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敵とニアミスしたマッピング空白地帯の探索は、危険きわまりないミッションだが、カルマの<コマンダー>を併用した場合……
ヤバくなったら別の転移ポイントへ逃げられるので、不意打ちによる即死攻撃さえ避けられれば、現場で<ボッチ>が死ぬ可能性は低い。
それに加えて、俺のステータスが上乗せされているギフト玉を食わせれば……
地獄世界に対応するためのリソースを割かなければならない俺が、現場へ行って直接マッピングをするより、何倍も効率よく作業できるだろう。
代償として、俺は<ボッチ>にステータスを移している間、同等のステータスがマイナスされて激弱状態になり、命の危険にさらされるが……
俺は自分のダンジョン内で、配下のモンスターやモンティート先輩が派遣してくれた精霊に、護ってもらえばいいだけ。
唯一……この<ボッチ>が、メグミや俺を裏切って「ステータス持ち逃げ」を企てた場合、詰むルートがあるが……
<ボッチ>の性格(思ったことをそのまま言ってしまう、本当に素直な奴)を見る限り、その可能性は考慮しなくてもいい。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






