737話 眷属システム完成
〜メグミside〜
その後も僕は、先輩方が「餌となるヤラカシ魔王」を持ってきてくれる度に、<眷属創造>で超個性派のキングデーモンを生み出し……
その子達の性格に応じて、地獄世界の探索にまわしたり、バックアップ要員として裏方部署に配属させた。
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ハヤイ:
とにかく仕事が速い。だけど比較的ミスが多い。
コンジョウ:
やや要領は悪いがとにかく根性でやり切る。時々大きな声で「根性!」と叫ぶ。
チキン
個体のスペックは高いがとにかくビビりで、現場に出せない。でも後方支援は得意。
ボッチ
個体のスペックは非常に高いが、ヒッキーと同じくらい協調性に欠け、集団行動する事ができない。
ギャラ
仕事はそつなくこなすし協調性もあるが、少しでも周りより多く働かせようとすると、「残業代ください」と言いだす。
ドウテイ
優しいしいい子だが、どう考えても一生女の子と縁のなさそうな、「都合よく利用されるタイプ」の眷属。
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僕はまだまだメンタルを鍛える修行が足りなかったようで、<ボッチ>君を引き当てたときは、「<ヒッキー>の再来」に卒倒したけど……
幸いな事に「性根が腐った極悪眷属」はいなかったので、<セレクト自販機>で買った胃薬をバリボリ食って、何とか正気を保つことができている。
「最後の最後で、<シツジ>君と<ホジョ>君を創れたのは大きかったな。おかげで、心労必至のマネジメント業務を彼等に押し付けることができた」
オートマタにも執事気質の子は多いけど、あの超個性的な眷属達を抑える「執事」となると、同格のキングデーモン以外無理だし……
<シツジ>君だけに仕事を全部押し付けると、さすがにパンクして泣きが入りそうだが、補助業務向きの<ホジョ>君と組ませたから、その心配もない!
「大人スキルの要らない裏方業務は、引き籠もらせておけば優秀な<ヒッキー>が全部やってくれるし、小間使い要員の<チキン>もいる」
生み出してしまったときは自爆感がすごかったけど……全員を適材適所に配置してみると、案外バランスの良い組み合わせになった。
「ご主人様。現在の作業状況をまとめた報告書です。何度かトラブルが起こりましたが、軽微なものだったので私の方で処理いたしました」
「<シツジ>君ありがとう! ふむ、いい感じだね。この調子で進めてくれ」
「かしこまりました」
眷属を眷属が管理して、瑣末なトラブルや現場からの報告も彼等の中で処理してくれる、「眷属システム」が完成したことで……
僕は、常識ある眷属の<シツジ>君から報告を受けるだけで済むようになり、胃にかかる負担がグッと減った。
胃薬をむさぼり食う状況が続くと流石にヤバイし、胃は薬と回復魔法で死守できても、頭髪戦線がストレスに負けて後退し……
サーシャに「ハゲた?」と思われかねないので、システム化が上手くいってくれて本当にラッキーだったよ。
コッチは、先輩方からの餌供給も無限に続くわけではなく、システム化にも成功して一段落ついたが……
同じように身を削って、高級アイテムガチャを回していたスティーブは、未だ作業地獄から逃れられないでいる。
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〜水の職人(Sランク)〜
HPを最大量の50%捧げる代わりに、水属性のアイテムを生み出すことができる能力。
ポーションを飲んで回復し、繰り返しアイテムを生み出すことも可能。
ただし……たとえHP残量が50%以下であっても、この能力を行使すると「最大量の50%にあたるHP」を奪われるので、回復量が足りない場合、HP枯渇による死に至る。
アイテムのレア度はギフトランクによって変わり、ギフトランクは能力者の職業ランクと相関する。
Sランクの場合、最低でも国宝級のアイテムを生み出すことができ、運が良ければ神話級のアイテムが生まれることも。
よりレア度の高いアイテムを求める場合、生み出すアイテムに細かな条件をつけず「100%お任せ」にすることで、僅かだが出現率を上げることができる。
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僕みたく、外部由来のリソースを源泉とする訳じゃないので、「自分のHP」さえ貯まれば延々とチャレンジできるし……
ポーションの飲みすぎで気持ち悪くなっても、水分自体は「胃に刺した管」から排出されるので、真面目な性格の彼は休むに休めない。
そして……たとえ「当たりアイテム」の創造に成功しても、そのアイテムが一番良いものとは限らないし、「当たり」なんて幾つあってもいいので……
結局、終わりなくアイテムを創り続けることになり、消耗してしまうのだ。
だが彼いわく……青白いゾンビのような顔で、鼻チューブを使ってポーションを流しこみ、胃から用済みのポーションを排出する装置になっても……
「ノルマ・トリップ時代の僕よりはマシ」だそうで、気の毒に思いお見舞いに行ったら、「先輩に気を遣われるなんて!」と逆に恐縮されてしまった。
「いくら何でも、あのゾンビ化したスティーブよりはマシだと思うけどなぁ〜」
僕としては不本意極まりなかったが、この話を聞いた先輩達・マサル・サーシャ・カルマは、スティーブの意見を全面的に支持し……
もう山場を越えた僕に対して、「無理しちゃダメだよ」と改めて差し入れをくれたので、第三者視点からだと見え方が異なるのかもしれない。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






