７３６話 カオスは続くよ、どこまでも
〜メグミside〜
ストレスにさらされてゲロと共に飛び出てきそうな胃を、なんとか薬で抑えこみ、自分の手足を削いで「眷属の核」をつくり出す。
普通、肉体の一部を削ぐとか……それだけで精神的に狂いそうなほど、怖いことだと思うけど……
僕は魔王になる前から回復魔法を得意とする魔法師であり、どのくらいの損傷なら魔法で完璧に治せるか、ハッキリ判るのでそこまで恐怖感はない。
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〜眷属創造（S）〜
自らの血肉を核としリソースを分け与えることで、何のシステムにも縛られない、己だけの眷属を創造することができる。
Sランクで創造可能なのは、キングデーモンおよびソレ以下の眷属。
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そして痛みも、＜セレクト自販機＞で買った「メチャクチャ効く麻酔薬」を打っているので、スパッと切ったところで押される程度の感覚しかないのだ。
見た目は"激グロ"だから、血が苦手な人にとっては地獄だろうけど、やっている側からすると大したことじゃないんだよ。
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〜セレクト自販機（SSランク）〜
以下の店で扱っている物の中から好きな商品を選び、ソレ等をいつでも自販機のメニューに並べることができる。
データの書き換えやリセットは、前の商品選択から1時間以上経っていないと行えない。
・雑貨屋
・ドラッグストア
・工務店
・スーパー
・武器屋
・本屋
・市場
・100均
・ジュエリーショップ
・ブラックマーケット（←ものすごく効く麻酔薬アリ）
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どちらかというと、「この核から生まれてくる眷属達の性格がどうなるか」問題の方が、深刻であり……
だけど不安な気持ちで核をつくると、以前そうだったように＜ヒッキー＞みたいな"変わり種"が生まれそうだから、そういう面でのメンタル調整が大変だ。
「OK。3体分の核、完成！ リソースを過剰に注ぐと、＜ノルマ＞君みたいにスペックが上がるかもしれないし、諸々多めに盛っちゃったのは……いいよね？」
逆に、僅かながら不足したとき、「ダンジョン外に出せない＜ヒッキー＞」が生まれてしまったトラウマがあるので、核とリソースの量はケチらない。
リソース源に関しては、僕が「新しい眷属をつくりたい」と頼んですぐ、「ようやく覚悟が決まったんだね」と言いながら、先輩が持ってきてくれたから……
感謝しつつ、その餌（＝粛正された魔王）を喰って生み出せばいいだけだ。
「なんだけど……今回もまた、個性的な子が生まれたなぁ〜」
覚悟を決めてリソースを注ぎ＜眷属創造＞を実行した、僕の前にいる3つの個体は、誕生直後の可愛らしい瞳をこちらに向け快活な声で自己紹介し始める。
「ご主人様、私を創ってくれてありがとうございます！ ＜ツヨガリ＞という名前なので、遠慮なく呼んで、お仕事もたくさんお与えください！」
まずこの子は、言われた通りバンバカ仕事を与えると、パンクしそうな臭いがする、ちょっと"強がり"な眷属。
スペック自体は高いので、自己肯定感が下がらぬ程度に仕事を与えつつ、報・連・相を徹底させて、「期限ギリギリでのパンク」を防ぐのが肝だ。
「ご主人様、私＜ゲンキ＞のこともよろしくお願いいたします！！！！ どれだけハードな仕事でも、最後まで笑顔でやり切ってみせます！！！！」
そしてこの＜ゲンキ＞君は、「ザ・脳筋」って感じで、全てを気合と根性で乗り切りそうなタイプ。
＜ヒッキー＞とリアルで組ませたら、水と油で互いに無自覚なパワハラをかましまくって、大喧嘩に発展しそうだな。
自己紹介の声も大きく耳がキーンとなったが、喋る相手さえいなければ「よく働く優秀な部下」になりそうなので、他に迷惑がかからぬよう単独行動させよう。
ここまでは良いとして、最後の一体が露骨にヤバイ。
「ご主人様、私を創ってくださりありがとうございます。我が名は＜ブラック＞。何があってもご主人様だけは裏切りませんので、私を重用してください」
この"真っ黒眷属"……本当に、重用してもいいのか？
慌てて元巫女のアスタリア先輩を呼び、彼の心根を見てもらったところ「問題ナシ」との事だったが、見るからに腹黒そうで裏切る予感しかしないんスけど。
とはいえ、サーシャとマサルにも「同族嫌悪なだけ。可愛がってあげなよ」と言われたので、彼等を信じで＜ブラック＞君にも仕事は任せるつもりだ。
でも、同族嫌悪って……酷くない？
その言い方じゃ、まるで僕が「腹に一物抱えていそうな性悪野郎」みたいじゃないか！
たしかに、僕の性格も良いとは言えないけど……見るからに黒々しい、＜ブラック＞君よりはマシだと思う。
読んでくださり、ありがとうございます！
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)
