731話 中級神狩り開始
性格面に難はあるものの、"生みの親"の面影がある優秀な部下も増えて、地獄世界のマッピングを始めとした、タスクを着々とこなすメグミ達。
一方、メグミより高ランクの神力<眷属創造SS>を持っているものの、「核となる闇神自身の性格」が悪すぎて、ロクな眷属が生まれず……
役に立たないどころか足手まといになり、神力自体をほぼ封印している闇神は、部下を連れることもなく一人で"中級神狩り"に取りかかった。
闇神としては、長期間にわたる下級神狩りで疲弊した心身をしっかり癒した後、万全の状態で中級神狩りに臨みたかったが……
現実は厳しく、充分な休養などとっていたら、危機感を抱いた中級神達に対策する時間を与えてしまうため、最低限の休息しかとれていない。
しかも神格を剥ぎ取って、ゴミ箱扱いの<サルトー区・ポルカト界>にポイ捨てした、下級神達の仕事を「未経験のイエスマン部下」に任せたため……
引き継ぎ不足・経験不足による失敗が多発し、そのフォローを、上司である闇神自身がしなければならない状況に。
それを補おうと、捕らえた女神達を後宮に押しこんで無理やり孕ませ、つくりあげた「自分のDNAを持つ強い子供」に、粛正した神々の記憶を植えつけて……
「後任者の補助」として派遣したものの、その子供達も野心家が多く後任者とモメるうえ、虎視眈々と後任者の地位を狙い始める者まで現れた。
闇神は、ちゃんと「都合のいいように改竄した記憶データ」を植えつけたため、「自分に心酔し問題なく働く」と考えていたが……
実際のところ、記憶の改竄・挿入過程でいくつもミスがあり、その影響もあって、闇神が期待したほど子供達は彼を慕っていない。
また表には出ていないが、闇神の子を派遣された後任者の多くは、「いずれ闇神は自分を追い払い、この子に跡目を継がせるんじゃ?」と疑心暗鬼に陥り……
かといって上司の血を引く子供を無碍にはできず、ミスばかりで進まない仕事と併せて、日を追うごとに追い詰められていく。
なんせ闇神には、ウグリスの件でちょっと自分勝手な態度をとられただけで、根にもって下級神を全滅させた"前科"があるのだ。
こんな上司を心から信頼し、いずれ自分より強くなるソイツの子供と協力して仕事に専念するなど、無理な話である。
後任者達が闇神を恐れてイエスマンを貫いているため、まだその問題は大きくなっていないが……
「前任者の知識をもつ子供」を優先的に送りこんだ、ミスが多発している現場でも、思ったほどミスの減少が見られず、未だ闇神のフォローが必要な状況。
そんな中、ゆっくり休めるはずもなく……しかも闇神には、「子をつくり続けて前任者の記憶を植えつけ、全現場へ配置する」という仕事もあったため……
それを理由に毎晩後宮で<ピー>しまくり、"精"の意味でも枯れ果ててしまって、万全とは程遠い状態だ。
しかし状況を好転させるにはかなりの時間を要するし、その間に中級神が動いてしまうので、狩りの仕込みを終えた闇神はダルい体を引きずって動く事に。
下級神狩りのときは、ターゲットに逃げられても困るので、外から覆うように中級神を配置して粛正を進め……
その後"鞭と鞭作戦"で、中級神に「大量ノルマ」と「未達時のペナルティー」を与えて、狩り漏れた残党を始末した。
だが今回は、下級神狩りをおこなった時のように、自分の言うことを聞く強い協力者もいないため、全て一人でやらなければならない。
そのため最初は、距離が近い中級神の神殿から攻めていき、闇神の移動時間を少なくすることで、中級神達に気づかれる前に一体でも多く狩る。
「下級神の次は自分?」と怯えた中級神達は、裏切り者による"闇神へのチクり"を恐れつつも、ネットワークを構築して互いの生存確認をしているため……
粛正した中級神のフリをしてネットワークに潜りこんでも、いずれバレて騒ぎになる可能性は高い。
ピンキリだった下級神達とは違い、中級神はそれなりに優秀な神しかいないため、いくら上級神の闇神でも完全に出し抜くことは難しいのだ。
ゆえに闇神も、彼等に途中で気づかれることは織り込み済みであり……そうなったとき、他派閥へ逃げることができぬよう……
事が露見し次第、全力で「闇神が支配する派閥空間」に結界を張って彼等を閉じこめ、力尽くで残りを狩り切るつもりである。
万全の状態とは程遠い闇神にとって、この力技をくり出すことは「命を削る」に等しい諸刃の剣だが、他に手がないので仕方ない。
中級神達に他派閥へ逃げられ、闇神の所業が他の上級神にも証拠付きで伝わったら、彼は吊るしあげられて集団リンチに遭い滅ぼされてしまうのだから。
<−−− ソソソソソ……ッ −−−>
「(まずは1体目……狩る!)」
下級神狩りのときと同じように軽くなでる程度じゃ、中級神は吹き飛ばないので、周りに悟られぬよう、闇神は多重結界を張り事に及ぶ。
元々性格が悪く、己の力で上級神まで這いあがり取り巻きが増えるまで、長らくボッチ生活をおくっていた闇神。
ゆえに彼のソロハントの腕は、上級神にすら「叶わない」と言われるほど高く、誰にも気付かれることなくターゲットの神殿を食い荒らした。
そして闇神は、彼に怯えながらも「地位を捨てて逃げる道」を選べなかった、中級神<マヨイ>と対面する。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






