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725話 子は親に似る




 疑念を抱きながらも、地獄世界へ送りこむ戦力を整えるために、餌魔王を削ってキングデーモンを創造し続けたメグミ。


 途中、モンティートが新たな餌を"据え膳"してくれた事もあり、<ノルマ>と<タスク>の他に4体のキングデーモンを生み出すことができた。



 彼等の名前は、3号から順に<カロウ><ガッツ><キアイ><ヒッキー>であり、性格もおおよそ名前とリンクしている。


 なぜブラック企業に縁のありそうな人材が、6体中5体も生まれたのか?


 そして突然<ヒッキー>が生まれてしまった理由も、気になるところだが……これ等は、<眷属創造>のとある特性に起因している。



 神力ゆえ、一般的な<鑑定>で調べただけでは詳細が表示されないのだが……実はこの神力によって生まれる眷属は、「主人の特性」を一部受け継ぐのだ。


 どの特性を受け継ぐかは、「核を作った時の主人のコンディション」や「与えられたリソース」に起因するものの、主人が持ちえない特性の眷属は生まれない。



 つまりメグミの元に、「ブラック企業に縁のありそうな眷属」が集中してしまったのは、ひとえに「メグミ自身がブラック体質だから」であり……


 <ヒッキー>が生まれてしまったのも、最後ゆえ微妙にリソース不足だったことに加えて、諸々絶望したメグミがため息をつきながら創造したせいである。



 だが……そんな事など知らないメグミは、ズラッと並んだ「クセの強すぎる眷属6体」を見て、「天が僕をイジメた!」と半泣きになり膝をついた。


 とはいえ、"外聞"さえ気にしなければ6体中5体は「よく働く優秀な部下」だし、<ヒッキー>もお家から出さなければ与えられた仕事はこなす。


 そして全員、メグミに対して叛意を抱いていない善良なキングデーモンなので、彼が生み出した眷属は"メチャクチャ優秀な部類"なのだ。






 ではここで、メグミより1ランク上の神力<眷属創造SS>を持つ、闇神が生みだした眷属について説明しよう。


 まず、スペックは非常に高い。


 キングデーモンより更に上位の存在である、<神見習い(闇属性限定)>まで生み出せるので、彼等を自在に扱えれば人材不足で困ることなどなかった。



 しかし……生まれる眷属は、「主人の特性」を一部受け継いでしまうため、いくらスペック的に優秀な眷属を生み出しても、性格最悪で叛意持ちまくり。


 隙あらば仕事をサボろうとする・闇神の女に手を出す・目下の者をパワハラで潰す・報告にシレッと嘘を混ぜこむetc.……使えたもんじゃなかったのである。



 結局闇神は、座禅で醜い心を一時的に(僅かながら)清めた後、生まれた眷属の適性を見極めて、マシな奴のみ去勢して自分の神殿に残すことにした。


 その過程で"規格外"となってしまった、性格クソな眷属は……粛正祭りがおこなわれる以前……闇神の周りに、まだ取り巻きがいた時代に……


 成果をあげた彼等に褒美として与えられ、「身中の虫」として彼等の力を削ぎつつ、情報収集するためのスパイとして活用されたのだ。



 なお……現在は闇神派閥のチカラが落ちているため、そんな事で部下の足を引っ張る余裕などなく、「ハズレ眷属の、嫌がらせ贈答」はおこなわれていない。


 それでも"過去の遺物"が其処彼処に散らばっており、彼が下級神粛正をおこなった際、どさくさに紛れて下級神の財産を盗み逃亡するなど……


 充分に、闇神の足も引っ張った。



 そのため、闇神にとって<眷属創造SS>は「使いたくないトラウマ神力」となっており、せっかくのSS神力でありながら、ほぼお蔵入り状態である。


 また他の神々も、似たような理由で<眷属創造>を嫌がり……使いこなせれば心強い支えとなる筈なのに、闇系神界では「ハズレ神力」扱いされていた。






 そういう「本当の失敗事例」を鑑みると、メグミの生み出した6体がいかに"当たり"か、よく理解できるのだが……


 自分達以外の事例を知らないメグミが、それに気づくのはまだ先の話である。



「ゴホン! とりあえず、数は揃ったし……<ヒッキー>以外の5体、地獄世界へ行ってくれ。ヒッキーは、裏方として彼等のサポートをお願い」


「「「「「「かしこまりました」」」」」」



「絶対に、私語厳禁だからね! 地獄世界に入った後、コミュニケーションをとるための会話は認めるけど、他に人がいる所では喋らないこと!」


「「「「「はい!」」」」」



 元気よく返事をした<ヒッキー>以外の5体だが、彼等は「メグミが何を嫌がっているのか」全然理解していないし……


 なぜ自分達にそういう指示が出されたのかも、分かっていない。



 そして業務上必要な会話だけでも、ブラック臭は充分伝わってしまうので、メグミがおこなった言論統制など無意味なのだが……


 なんとなくソレを察しつつも諦めきれない彼は、外へ出る5体の手をギュッと握り、「絶対だからね!」と何度も(ムダに)懇願するのだった。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
眷属の名前は自由に決められないの? だとしたら確かに少々辛いね。 ただ、私語厳禁を徹底させるメグミの方針は隠密行動上かなり有効だろうから、それ相応の成果をもっと期待できるかも。
ぶっちゃけ、この眷属達も殺った場合リソース奪えるのかなぁ。 いやまあ、メグミの社畜軍団の方じゃないよ? 闇神のモンスター社員軍団の方よ? 性格はアレだけど実力的には中級神クラスでも簡単には始末でき…
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