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706話 状況把握


〜メグミside〜




 サーシャにまでドン引きされたことを知り、ショックで本能的に駆け寄ろうとしたものの、首から下が全然動かなくて無理だった。


 意識こそ完全に戻ってきたものの、肉体は酷使されまくったのが分かるというか……回復魔法で癒しても、痛覚すら戻っていない状態なので……


 肉体面での復活には、しばらく時間がかかりそうである。



「あぁ、伝え忘れた。メグミ君の肉体は、超回復させるために僕の土精霊を直に仕込ませたから、しばらく動けないよ。石になったと思っておいて」


「なるほど。了解です! (だから動けなかったのか。以前読んだマンガに出てきた、"メデューサに睨まれて石になったモブ"みたい)」



 ナチュラルにブラック思考な先輩方と、素で容赦ないマサルがいる状況で、肉体が動かないのはマズイ気もするけど……


 それよりも先程からサーシャの視線が、布団を被った僕の<ピー>辺りを彷徨っており、「据え膳。襲いプレイ」とかいう彼女の欲が流れこんでくる。



「(以前は、こんなにハッキリと他人の気持ちを察することなんて出来なかったのに。たぶん、トリップ修行中に気配探知能力上がったな)」


 とりあえず……この状況で据え膳プレイをされると、僕の腰が物理的に再起不能になってしまいそうなので、回復するまで待っていただけると助かります。



 あと現状僕は動けないから、サーシャの思惑一つで公開プレイにもっていかれてしまい、色んな意味で黒歴史を刻まれるリスクも付いてくる。


 せっかく修行でのトラウマを回避できたのに、「ピンク系のトラウマを仲間内で植え付けられる展開」は恥ずかしすぎるから、マジで勘弁してください!



「(でも、サーシャに嫌われていなくてホッとした。マサルの"笑顔キモイ"発言に同調していたから、好感度が枯渇したと思って焦ったよ)」


 あれ?



 だけど……支援に徹していたサーシャはともかく、どうして僕と同じノルマを課せられていたマサルが、僕を観察するくらい余裕かませたの?


 マサルだけ先輩にシゴかれずに済んだとか、意外と早期で心折れてリタイアしちゃったパターン?






 動けないなりにジーッとマサルの目を見て、「どうして?」と尋ねてみたら、奴はゲンナリした表情を隠しもせずに答え始めた。


「何故って、そりゃあ……すぐ側に"ノルマトリッパー"がいたら、どれだけ疲れて狂いそうになっても正気に戻るだろう。同じになりたくねぇもん」


「酷っ!」



「当然の事実だ。お前だって経験あるだろ? 頭に血がのぼっているときに、自分よりブチ切れている奴を見ると、スーッと冷静になれるやつ。アレだよ、アレ」


「それは確かに。極度の汚部屋に住んでいる人を見ると、"掃除しよう"と思うやつでしょ? 極端な例を見ると自然と客観的視点になるよねー。ん? あれ?」



 それを、トリップ修行中の僕に当てはめると……


 マサルは僕と同じように鬼厳しいノルマを与えられ、発狂しかかってはいたものの、先にトリップした僕を見てドン引きし冷静さを取り戻した?



「ムッキィーーーー!!!!」


「吠えるな。耳がキーンってなるわ! 実際俺は、毎日お前と同数の狩りノルマをこなしたうえ、先輩のシゴきで残業も振られていたからな。マジで死にかけた」



 よかった、マサルもそれなりに大変だったんだね。


 もし、マサルだけ澄ました表情で潜り抜けた……なんてヒーロー物語を聞かされたら、僕悔しくて大泣きするところだったよ。



「で、俺は<運操作>って神力を持っていたじゃん。それで俺とお前の運を良くして、僅かだけど狩りでいい思いができるようにバフをかけていたわけ」


 それは、素直にありがとうございます!



 元々悪運が強いタイプだから、「闇神の手抜きによる天災にピンポイントで巻き込まれて即死」とかいう、雑魚モブ展開に遭う可能性は低いけど……


 運が良くて困ることなんてないし、もしかするとマサルのお陰で神力を多く取得できたかもしれないので、実感がこもってなくて悪いが礼を言わせてくれ。






「そうは言っても、まだランクの低い神力だからな。効果時間も短くて、頻繁にかけ直さなきゃいけなかったんで、毎日<恵のダンジョン>に通ったんだよ」


 なるほど。


 そこでノルマ達成後、喜びでトリップしている僕を見てドン引きし、同じ道を歩むはずだったのに一人"安全地帯"へ引き返しやがった……と。



「目に光がないのは死体で見慣れているからいいとして、何一つ面白いことなんかないのに、突然"ノルマ ノルマ"言いながら笑い出してよぉ〜。ヤベェって」


「骸骨と違って肉がついているから、そんなにカタカタ鳴らないはずなのに、なぜか顎からずっとカタカタ音が聞こえてね。夜に見るとホラーだったの」



 いけない、またサーシャがマサルに続いて「僕のヤバイ姿」を思い出し始めた!


 僕自身には記憶がないので、口裏を合わせて冤罪の証拠をでっち上げられているような気分になってくるけど……



 真偽がどうであれ、彼女の脳裏に「僕のキモイ姿」を焼き付けるのだけは絶対ダメ!


 それならまだ、「石化据え膳プレイ」公開で社会的に死ぬ方がマシである!!



「とっ、とにかく……マサルの協力もあって、僕のステータスは爆上がりしたと。サーシャもきっと、色々と支えてくれたんだよね? ありがとう!」


 ひとまず話題を逸らそう。



 ステータスも、ランクアップした輝かしいスキル&ギフトと共に、"触れちゃいけないワード"も大量に並んでいるので、逸らせていないかもしれないが……


 サーシャの脳内で、「カタカタ笑うスケルトン」と同列に扱われるよりはずっと良い!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
よく正気に戻れたな
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