705話 メグミ、目覚める
〜メグミside〜
ノルマ……ノルマノルマ…………ノルマをこなして……ノルマ達成率=人格…………ノルマノルマノルマノルマノルマノルマノルマノルマ………………
<−−− パチンッ! −−−>
「ノルマ!!」
「いや、そこは"痛い!"って叫ぶところでしょう。どこまでノルマに支配されているのよ」
あれ、アスタリア先輩?
サーシャとマサルもいる。
それにベッドの上とはいえ、反省ボードを首から下げられた状態で正座中のモンティート先輩……一体、何があったの?
「いやぁ〜。ルノーブルに憑依能力持ちの眷属を派遣させなくても、メグミ君が自力で動いて下僕魔王狩りを続けてくれたからさぁ〜。つい、やり過ぎちゃって」
「"つい"じゃないでしょう! 目が虚になるところまでは、修行の一環だからまぁ良しとして……最後の方、寝言でまで"ノルマ ノルマ"言っていたわよ」
「スミマセン」
「モンティート先輩、もっときちんと謝りなさい! ガチで壊れる寸前だったんですから。先輩の鬼畜っぷりは重々承知していますが、"や・り・す・ぎ"です!」
「はい。メグミ君、加減を間違えて申し訳ありませんでした」
あっ、なるほどデス……なんとなく察しました。
トリップ前の微かに残っている記憶から察するに、僕はモンティート先輩に(経緯は知らないけど)シゴかれてしまい、ノルマモンスター化。
それを見て「流石にヤバイ」と感じたアスタリア先輩が、主犯のモンティート先輩を〆て、僕を解放してくれたって事ですよね?
「(うわぁー、ステータス欄が酷いことになっている! えっ、待ってよ。スティーブに"マゾ先輩"扱いされただけじゃなくて、正式に"マゾ認定"された!?)」
とりあえず落ち着こう……少しでも気を抜くと、思考&発する言葉が全て「ノルマ」になってしまう。
まずは落ち着いて、ゆっくり自分の頭で"ノルマ以外のこと"を考え、声に出すんだ。
「とりあえず、アスタリア先輩……モンティート先輩を解放してあげてください」
「いいの?」
「はい。勿論です」
じゃないと、「先輩をシバくのに加担した奴」扱いされて、「マゾヒストとサディストのダブル認定」という、"不名誉の極み"みたいな称号欄になっちゃうので。
<小鬼>同盟の変態枠は、ゴシップ誌で好き放題書かれて"性病デパート"扱いされている、マサルだけで十分だ!
「うへぇ〜、正座後の痺れがキツイよぉ〜。まぁいいや。メグミ君、一応確認だけど後遺症はないよね? ちょっとブラック気質が染みついただけで」
「はい、大丈夫です! ただ記憶はほぼ飛んでいるというか……自分がどれくらいの期間、ノルママシーンとして動いていたのかすら、憶えていなくって」
アスタリア先輩に大目玉を喰らったっぽいモンティート先輩には、叱られ損になってしまい申し訳ないけど……今回は正直ラッキーだった。
だって、辛い記憶が全然ないんだもん!
ステータスの伸び的に、多分えげつない目に遭って脳が記憶するのを拒否し、結果として「何一つ憶えていない」という状態になったのだろうけど……
苦痛なんて「喉元過ぎれば何とやら」だし、結果的にトラウマにならず成果のみを享受できた(過程は忘れた)のだから、全然OKだ!
むしろ中途半端にシゴかれて、ゾンビ化したスティーブやカルマのように"悍ましい記憶"が残り、先輩と会うたびにソレを思い出すパターンの方がキツイ。
この本音をそのまま口に出すと、真面目に心配してそうなサーシャとアスタリア先輩に叱られるうえ……
次回シゴかれる時、その気になったモンティート先輩から容赦なく……でも記憶が飛ばないギリギリを攻められてしまい、詰みかねないから言わないけど。
「まぁ無理もないか。メグミ君がマサル君の喝を真に受けて、"ノルマ"云々言い出してから約3ヶ月だよ。どこら辺まで君の記憶があるかは、僕も分からない」
「なるほど。それだと、ザックリですけど……マサルに気合いを入れられてから2週間くらいで狂って、記憶が飛んだ感じですね」
「うん。途中からは、君の基礎ステータスと敵の頑丈さの均衡が崩れたから、日々のノルマを増やしてギリギリを攻めさせた。憶えていないかい?」
「はい。全く憶えていません」
くくくくくっ!
それで2ヶ月半、記憶を飛ばした状態でトリップ修行できるなんて……僕はなんて幸運なんだ!
地獄のような期間を、実質半減させられたようなもんじゃないか!
「おぃメグミ、お前マジで当分の間笑うな。狂い笑いで"ノルマ ノルマ"言っているお前を見て、コッチはトラウマを刻まれちまったんだから!」
「そうだよ。メグミ君フェチの私でも、さすがに最後の方は引いたもん。変なお薬をキメたみたいな感じで、ノルマ達成後にフィーバーしていたし」
えぇ〜、マサルの精神衛生はどうでもいいとして……サーシャまでドン引きするような笑顔で、僕過ごしていたの!?
もうキモい笑みなんて一生浮かべないから、嫌いにならないでください!!
サーシャに嫌われるくらいなら、いくら効率的だろうと、僕もう二度とトリップ修行なんてしないので!!!!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






