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703話 なぜ彼が仲間に鬼扱いされているか


〜モンティートside〜




「〜〜〜〜〜という経緯で、メグミ殿は自己洗脳を完了させ"闇の戦士"になりました。マサル殿はまだ余裕があるようですので、もう一段階追いこめるかと」


「了解。追いこむか……。でも下僕魔王を狩る数に差をつけると、メグミ君とマサル君の成長速度に差が開いて、メグミ君の心が折れちゃうかもしれないね」



「はい。すでにメンタルはバキボキに折れ、心を無にして狩りをおこなうことで、辛うじて廃人化を逃れた状態ですので」


「ふむ。ならマサル君には、<スキル図鑑>の仕込みを更に増やしてもらおう。今後想定される最悪の事態について説明すれば、彼も納得してくれるはずだ」



「かしこまりました。では土龍様をマサル殿の元へ向かわせ、メグミ殿に悟られぬよう気を配りつつ、彼に"危機的状況であること"を伝えます」


「うん。よろしく頼む」



 部下からの報告から推察するに、「メグミ君達の成長速度」と「闇神の手抜きによる下僕魔王の頑強さアップ」は、ほぼ比例している。


 つまり今後も二人は、体感難易度が変わらない相手をひたすら狩り続け……自覚のない状態で下僕魔王のステータスを喰い、成長していく可能性が高い。



「(メグミ君達には気の毒だけど、運が良かったと思わざるをえないな。闇神の手抜きが良いかどうかは別として、これは天が僕等に与えた恵みだ!)」


 彼等くらいの年頃の子は全能感に支配されやすいので、中途半端に無双させると、「俺TUEEE!」と勘違いして努力するのを止めてしまう。



 だけど実際は、下僕魔王などより遥かに強い敵(闇神)が後ろに控えているわけで……


 成長できないと、待っているのは僕含めた<農民><小鬼>全員の死だし、中弛みせず一気に駆け上がってもらわないとマズイんだよ。






「メグミ君、肉体的にはまだ耐えられるんだよね?」


「はい。心が折れて自分の意思で動けなくなっても、最悪ルノーブル様が眷属に操らせて"下僕魔王狩り"を続ければ、あと数ヶ月は耐えられるかと」



「OK。なら反撃による即死だけフォローして、彼自身に限界まで逝ってもらおう。まだ若いんだし、この程度のデスマーチなら大丈夫でしょう」


「かしこまりました。風龍と連携をとっている<農民>所属の支援班には、そのように伝えます」


 マサル君にもゴリゴリ負荷を与えれば、いずれメグミ君と同じ状況まで追いこまれて、"本当の意味で限界を知れる"良い機会になる。



「(彼等はほぼ自立しているから、大丈夫だ。僕達が手取り足取り指導しなくても、勝手に自分を追いこんで成長してくれる。問題はコッチ)」


 二人には遥かに及ばない……ナーティーの指導でゾンビ化しちゃったカルマ君と、目の前でモゾモゾ蠢いているスティーブ君を……


 どうやって叩きあげて、メグミ君・マサル君と同レベルまで持っていくかだ!






「ほら、スティーブ君。ちゃんと立たないとダメだよ? このままじゃ、カルマ君に負けちゃうよ〜。彼は、まだ一応特訓を続けられているんだから」


「ゥ…………グゥ………………」



 コッチも限界か……仕方ない、ルノーブルに憑依型のアンデッドを寄越してもらおう。


 意識を乗っ取らせて代わりに肉体を動かせば、たとえスティーブ君が心折れて無気力状態になっていたとしても、まだまだ絞れる。



 実際、すでにカルマ君はルノーブルの眷属に肉体を乗っ取られて、「身体だけ動いている状態」だし。


 それだと心が育たないまま肉体だけ成長しちゃうから、あまりやりたくはないんだけど、心も肉体もダンジョンも何一つ育たないよりはマシだからね。



「ゥゥ…………」


 あっ、ゾンビの動きそのものだけど何とか自力で立ち上がった。


 やっぱりスティーブ君にとって、「同期のカルマ君に負け、自分だけ何の役にも立てないまま置いていかれる」のは、耐え難い屈辱なんだな。



「(ダンジョンマスターとしての格は上がったし、それと相関する<水の職人>ギフトもランクアップしているはずだけど……まだ言わない方がいいだろう)」


 もう一段階追い込まれて、カルマ君の名前を出しても反応しなくなったとき、さも「今気づいた」と言わんばかりに飴を与えて、彼の心を再生する。



 そして「頑張ればもっと!」と再度デスマーチをこなさせた後、完全にシャットダウンして動かなくなったスティーブ君の肉体を、乗っ取らせれば……


 現在あるリソースで限界まで彼の精神を鍛えたうえで、<水の職人>ランクをSにし、相関するダンジョンマスターの格も上位に持っていけるはずだ。






 あちゃー……鬼畜なことを考えていたら、無意識のうちに気が漏れてスティーブ君を威圧しちゃったよ。


「ほら、スティーブ君立って! まだマナを絞り終わってないよ〜。あとポーション1000本分やったら30分休んでいいから、最後1セット頑張ろう!」


「……………………ハィ」



 <水の職人>ギフトをランクアップさせるためには、ダンジョンマスターの職業ランクを上げるしかなく、それには膨大なダンジョンポイントが要る。


 ぶっちゃけ大量貸付で済ませちゃってもいいんだけど、スティーブ君の借金が増えるのは可哀想すぎるし、実力が伴わないまま巣だけ大きくしてもね。



 という事で、彼の配下には外でモンスター狩りに勤しんでもらい、彼自身には限界までマナを絞らせ、無理やりダンジョンポイントを貯めさせることにした。


 肉体が元気なときは、彼にも外で狩りをさせていたんだけど……元人間だからか貧弱すぎて、5日で力尽きてしまったんだもん。



 だけど"マナ絞り"なら、動けない状態でもポーションさえ飲めればポイントを貯められるし、この調子でどんどん逝こう!


 ポーション代は全額僕の奢りだし、メグミ君の自販機で買った「ペット用トイレ」を下に敷いてあるから、吐いても漏らしてもすぐリカバリーできるよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
ナチュラルブラックなオニぃ様ですね。あ、オジぃ様か?
そういえば、サーシャは?
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