700話 マゾへの道
〜メグミside〜
嫌な予感がしたものの、忙しすぎて深く考える暇などないため、僕は気持ちを切り替えて本日も元神狩りに勤しむ。
もちろん「サボり認定」されて"鞭"をくらわぬよう、先輩方への報・連・相メールは必須だ!
鞭の餌食となり徹底的にシゴかれつつ、メッセージ伝達の中継役も継続させられているスティーブから……
報・連・相メールを送るたびに「青褪めスタンプ」が返ってくるが、きっと己の境遇が辛すぎて、僕に助けを求めたい気分なのだろう。(勿論スルーする)
そして、いつも通りの要領で2体の下僕魔王を狩り終え……スティーブ経由で届いた、マサルの「神力9個目Get!」メールを見て、舌打ちした後……
3体目の下僕魔王を狩ったのだが、そこで奇跡が起きた!
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Mr.短足(48526)
種族:廃神(下僕魔王)
職業:サンドバッグ特化型ダンジョンマスター
神力:記憶操作G
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ダンジョンに押し入って挨拶代わりのグーパンチをかまし、倒れた下僕魔王を鑑定したところ、僕が求めていた"神力"を持っていたのだ!
「(しかも、小細工無双できそうな<記憶操作>! 大当たりだな)」
マサルより先に10個目の神力を得られるのは、本当に嬉しいし……これで神力を育てられると思うとワクワクする。
下僕魔王の配信をゴーレム達に視聴させ、自爆情報を元に"当たり"の獲物をリストアップしてくれた、サーシャとアスタリア先輩には感謝だよ!
<−−− ボコスカボコスカボカンボカンッ!!!! −−−>
「くくくくくっ、これで僕も神力10個持ち〜♪ おっと、マナの消費が激しすぎて視界がグラついちゃった。早く帰った方がいいな」
幸いなことに、今日は寄生虫魔王が派遣したモンスター軍団と遭遇することなく、比較的楽に狩りを終えられたが……
ここ最近続いているデスマーチが祟って、少し無理をするだけでも、視界がグラグラ揺れたりブラックアウトしてしまう。
明日以降も元神狩りは続くため、少しでも消耗度合いを減らすために、マサルをメールで煽り散らすのは、<恵のダンジョン>に戻ってからにするべきだ。
「…………と思っていたけど、まさかマサルが今日2連発を引くとは。めでたいニュースなんだけど、なんかちょっと悔しい」
「メグミ、本音が口から漏れているぞ。疲れているのは分かるけど、先輩方の前でやってシバかれる前に口を閉じる訓練しておけ」
多少疲れてはいるものの、待ちに待った神力10個目をゲットして、意気揚々と<恵のダンジョン>に帰った僕を待っていたのは……
同じく神力10個目をゲットして僕を煽り倒そうと、ウチの客間に上がりこみ、シャワーを浴びたあと自販機で炭酸飲料を買い"優勝"しているマサルだった。
「ゴメン、自販機の価格設定を間違えていた。はい。ボッタクリ価格に設定し直したから、何個でも買って逝っちゃってください!」
「相変わらず可愛げがねぇ。でもまぁ、今日は気分がいいからお布施しておいてやるよ。ほれ、お前も風呂に入って汚れを落としてこい」
「へ〜ぃ」
軽くシャワーを浴びてマサルのいる客間に戻ると、スティーブの部下が届けてくれた豪華な夕飯が並んでいたので……
マサルと二人でそれを食べながら、神力をどう育てるかについて話す。
「とりあえず、飯を食い終わったら<要る><要らない>の仕分けをしようぜ。いくら急いで神力を育てたいからって、要るヤツまで餌化しちゃマズイし」
「そうだね。有用そうな神力が何個あるか、それをどの順番で育てるかによって、動き方も大きく変わるし……ここは慎重にやろう」
いくら睡魔が襲ってきている状況とはいえ、ものすごく重要な選択になるかもしれない神力選びを、適当に済ませるわけにはいかない。
ナチュラルに"鞭"を振るわれてトドメを刺されかねないので、先輩方のところへ相談に行く勇気はないが……
マサルと二人で話し合って、後悔のない選択をするべきだ!
「ところでメグミ。お前……スティーブに対して、狂気じみた報・連・相メールを送りつけているって、本当? アイツ、精神的にトドメ刺されたみたいだぞ」
「えっ? 僕は先輩方に対して、当たり前の報・連・相メールを送っただけだよ? スティーブは中継役だから、内容を把握していても不思議じゃないけど」
「なるほど。ご愁傷様〜。今、スティーブのスマホ内にあるお前のメールの仕訳フォルダ、<マゾ先輩>って名前になっているからwww」
「はぁ!? 待って、とりあえず草を生やすな! それから、<マゾ先輩>ってどういう事!? 僕は、あくまでも後輩として当然のムーブをしただけで……」
「自然体に動いたら<ド根性マゾ>がバレて、精神的に限界が来ていたスティーブが、お前と自分と見比べてしまいトドメを刺された、ってだけだろ?」
あっ、なるほどデス。
どうりで……昨日はなかったマゾ系称号が、称号欄に鎮座しちゃったわけだよ。
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