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693話 カルマ、南無


〜メグミside〜




 呼びかけたり気付け薬を嗅がせても、夢の中でまでパニックを起こして逃げ惑っているのか、カルマが全然起きないため……


 痺れを切らしたマサルが、「このままじゃ見つかるリスクが膨らむ」と言って、文字通り"強引に"起こしにかかった。



「目と鼻の穴にハバネロエキス、口にデスソースを詰めこんで、スライムに顔面を包ませて逃げ道をふさぐ。さすがに、ここまですれば……」


「アギャアァァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!?」



「ほら起きた! スライム。悪いんだけど、コイツの目・鼻・口の中を掃除してやってくれ。そしてカルマ、とっととこの場所を地点登録しろ!」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」



 物理的ショックでそれどころじゃなさそうだが、早く仕事してくれないと帰るに帰れなくて、マサルの言うとおり殺されるリスクが上がっちゃうんだ。


 だから諦めて、10秒間だけ働いてくれ!



<−−− ピッ、ピッ、ピピッ、ピコン! −−−>


「よしっ、登録完了だな。じゃあ帰るぞ〜。メグミ、カルマの治療よろしく」


「了解!」



 これ……世間に知られたら、「後輩イジメ」とか「パワハラ」扱いで大バッシングされそうな事案だな。


 悠長に滞在を続けて敵に見つかり、3人揃って拷問死させられる方がはるかにヤバイんだけど、ゴシップ誌はそういう書き方してくれないし。






「カルマ〜、治療するから大人しくコッチを向け。大丈夫だ。回復魔法で全回復程度の激辛攻撃しか、マサルも加えていないから」


「グスッ! (痛すぎるっ。だけど"コレで終わり"と思うと、苦痛より嬉しさで涙が止まらない。というか、何故こういう状況になっているんだ?)」



 カルマはまだ混乱しているようだけど、「帰還中」という事だけは理解できているようで、顔色が良くなってきた。


 期間後もコイツには、「先輩方&サーシャによる地獄レベリング」を耐え抜いた後、ランクアップした<コマンダー>で神界に再挑戦という……


 超厳しいミッションが待っているのだが、今それを伝えて再発狂されても困るので、安全な所へ避難し終えるまでは黙っておいてやろう。



「はい、治療完了! 感謝しろよな〜」


「あびばぼぅぼばぃばぶぅ」



 治療しやすいよう膝枕している状態で、白目をむいて涎ダラーン付きの気絶をされると、ただでさえ涙と鼻水でベトベトな俺のズボンが終わる。


 いや……シミの位置的に、すでに終わっている……のか?






 そんな事を考えている間にマサルは結界をものすごい速度で前進させ、アッと言う間に神界と<サルトー区・ポルカト界>の狭間に到着。


 先程と同じようにニュッと扉をくぐり、神界の余波がこない地点まで移動した後、結界を消して僕を下へ落とした。



<−−− スゥーーーーパカッ! シュダッ! −−−>


「着地成功! というかマサル、2連続で"結界消し落とし"しないでよね! 風龍にやっていたみたいに、僕にも優しくしてちょーだい!!」


「うるせぇよ、可愛げのない彼女持ちが」



「ムキーッ! 風龍ほどじゃないにしろ、カルマは丁寧に下ろしてあげているじゃん! それ、絶対僕にもできるでしょう!!」


「カルマは、軟弱かつメンタル死にかけだからな。さっき手荒な起こし方をしちまった詫びも兼ねて、今回は特別扱いだ」


「ずるい! 僕も特別扱いされたいよ〜!!」



 理不尽な扱いに抗議するものの、マサルはサラッと無視して、封印札で固定していた神界へ続く扉を閉めにかかる。


 その"集中力を要する作業"にかかられては、さすがの僕も近くで騒ぐことはできない。


 もしそのせいでマサルが作業をミスり、余波で周辺が吹っ飛ぶ……なんて展開になってしまうと、命の保障はないからだ。






「チッ! 俺達が動いている間に、僅かだがデカくなりやがった。おぃメグミ。この扉は俺がコントロールするから、その間に下僕魔王を片方殺れ!」


「了解!」



 目に見えて分かるレベルで周囲の空間をねじ曲げ、神界へと続く扉を生じさせた原因は、闇神が下僕魔王を堕とす地点を間違えて……


 下僕魔王のダンジョン二つのコアの位置が、(片方の成長のせいで微妙にズレているものの、)ほぼ被ってしまったことにある。



 つまり片方の下僕魔王を殺せば、其奴のダンジョンも消えて相互作用を起こすモノがなくなるため、空間の歪みも解消される可能性が高い。


 もちろん直ぐには「エネルギーが不安定な状態」から抜け出せないかもしれないけど、もう一体の魔王も殺してダンジョン0にすれば……


 エネルギーの供給源が丸っとなくなるのだから、マサルの誘導でうまく収まるはずだ!



「この危険きわまりない歪みの中に入って、作業するとなると……少しでも成長しているダンジョンに入った方が安全か?」


 僅かだが成長している分、下僕魔王が逃げこんだ隙間が大きく、僕が入ってもコアに直撃せずに済むかもしれない。



「マサル〜、古いダンジョンの方へ行く!」


「分かった。安全第一で作業しろよ〜」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
ほぼ任務完了。と言いたいけど、無事に家に帰るまでが遠足です(ヘルモード) まあ、帰ってからも地獄なんだけど。メグミとカルマ(おいっ) 多分、今回は偶然のボケだったろうから同じ事はしばらくない…と信じ…
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