690話 カルマ、レベリング確定
〜マサルside〜
メグミが「隠れサイコパス」の本領を発揮して、ビビり散らかしているカルマに薬を盛り、上手く仕事をこなしてくれたので……
俺はカルマの地点登録作業が終わり次第、すぐ結界を動かして、新たなポイントを開拓するために神界の中で飛びまわった。
「一旦の目標地点は、さっき俺が発見した神殿跡だ。結構奥に入らないといけないから、リスクは高いけど……その分、リターンも大きいだろう?」
「了解! 闇神と戦う可能性を考えると、少しでも中心部に近い場所に、カルマの<コマンダー>ポイントを置きたいもんね」
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〜コマンダー(Bランク)〜
自分の配下を、開拓済みのポイントへ転送できる。
また彼等と思考を共有することで、離れた場所にいながらリアルタイムで指示を伝えることも可能。
特定の配下を"代理"として立てることで、自分の代わりに配下の指揮を任せ、自分は休むこともできる。
一日に転送できる配下の上限は、ランクによって異なり、Bランクの場合は10000が上限となる。
それに加えて、対価のマナを通常時の10倍取られるものの、自分の配下以外も一回につき3名までなら輸送可。
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<コマンダー>はその特性上、一度設置したポイントからは、好き放題配下を送りこめるチート能力だ。
それゆえ「闇神の神殿」や「中心部に近い場所」にポイントを設置できれば、大勢での不意打ちも可能だし……
疲れた配下を撤退させて安全地帯で休ませ、交代で攻めさせる持久戦にも持ちこめる。
ただしそれは、あくまでも「敵に転送ポイントの場所を知られていないこと」が大前提であり……
もし能力の詳細および設置場所がバレると、転送ポイントで待ち伏せされて、「転送した途端殺されました」みたいな詰み展開になりかねない。
なので最低でも10ヶ所以上、転送ポイントを設置して、「設置場所全バレ」リスクを減らしつつ、敵に見つからない範囲で奥まで入りこむ。
そうすれば、「自分の配下以外も一回につき3名までなら輸送可」という特例を使って、俺が転送で神界に乗りこみ急襲をかけることも可能だし……
メグミを送りこんで、<遠隔商談><アイテムボックス><自販機>による無限物資供給陣地を、簡易的に作ることもできるかもしれない。
「ただ、無理させておいてなんだが……カルマのギフト、もう1ランク上げたくねぇか? カルマ本人を転送させる事ができれば、チートし放題だしよ〜」
「たしかに」
「ヒイィィィィィ〜〜〜〜ッッ!!!?」
考えてもみてくれ。
もしカルマが自分自身も転送できるようになったら、今回設置したポイントを足がかりに、敵がいないタイミングを見計らってジワジワ中心部にせまり……
より攻めた場所にポイントを置いたり、闇神戦で特攻をかけるメンバーに彼を含めて、最前線に転送ポイントを追加できるようになるんだぞ!
カルマ自身の戦闘力はお世辞にも高いとは言えず、ぶっちゃけ「現場にいられると足手まといなレベル」だけど……
転送ポイントだけ設置してさっさと引っ込み、後続部隊を転送で飛ばしまくってくれるのなら、最初"お荷物"でも護る価値はあるのだ!
「僕とマサルは忙しいけど、先輩方とサーシャには余裕があるから、帰ったらカルマをしごいてもらおう。一皮剥けるまで」
「ヒエェ……ッ。(メグミ先輩。その"一皮剥ける"って、冗談抜きで『皮膚がズル剥けるまでシゴきたおす』って意味ですよね!? 僕、死んじゃいますよ!)」
身の危険を感じたカルマは、動けないながらも辛うじて俺に視線を向け、涙目で「助けて! 殺される!」と訴えかけてくる……が無視だ。
成長しないでBランクの<コマンダー>を使い続ける方が危険だし、メグミはともかく<農民>同盟の先輩方とサーシャちゃんなら、殺しはしないだろう。
多少トラウマになるかもしれないが、所詮この世は等価交換……
"唯一の牙"であるギフトを磨く対価が、命や寿命短縮ではなく「メンタル崩壊寸前の修行漬け」程度で済むなら、安いもんだ。
「マサル、あそこの奥にある瓦礫……配下隠しに使えそうだから、とりあえず地点登録させたい! 連れて行ってよ」
「了解!」
さて、これで7個目の転送ポイント設置。
もう神殿跡の近くまで来ているから、8個目はそこに置くとして……9個目以降は、もう一段階入りこんだ場所に…………!!!?
「コソッ。(メグミ! カルマに鎮静剤を打って大人しくさせろ。あと、猿轡をかませて静かにしておけ。探知に、一瞬"猛者の気配"がかかった!)」
「コソッ。(了解! とりあえず、あの瓦礫の背後で身を潜めよう。マサル、こっちの存在はバレちゃった感じ?)」
いや、多分まだバレてはいない。
俺の多重結界の中には、「敵による探知から身を隠す類の防御結界」も含まれているからな。
だが、さっき一瞬だけ感じた「レベル違いの猛者」の気配は一体……?
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






