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689話 こうしてカルマの胃は死んだ


〜カルマside〜




 迫り来る死への恐怖で腰を抜かし、ガクブル震えている僕を無視して、マサルさんはメグミ先輩にヒソヒソと耳打ちし……


 それを受けて笑顔になったメグミ先輩が、<セレクト自販機>で未知の物体を購入して、コチラへ近付いてきた。



「カルマ〜。平常運転でビビっているところ悪いんだけど、早く作業をしないと本当にマズイ事になっちゃうから、準備を始めるぞ〜。いいな?」


「はっ、ハイィ!」



 ところで先輩、その不気味な装備はなんでしょうか?


 人間の形をしているので辛うじて服だと分かりますが、顔や手足の先までスッポリ覆う感じになっていて、普段着・戦闘共に無縁そうな代物です。



「あはは。僕より貧弱なカルマに、あの扉の奥……闇神が住む世界で何かあったら、些細なことでも弾きとんじゃうからね。重ね着と多重結界でガチ護りするの」


 えっ、ちょっと待って!


 今、聞き捨てならない情報が出ましたよね!?



「メグミ先輩……あの〜、今…………その、"闇神が住む世界"って聞こえたような…………」


「うん、そうだよ。僕はちょっと入っただけだから気づかなかったけど、中でガッツリ調査したマサルがそう結論づけたんだ」



「あぁ。闇神に狩られた下級神の神殿跡と、そこで働いていた連中の残骸があったからな。闇派閥の神々が住まう世界の果てと、繋がっている可能性が高い」


「あっ、あぁぁ…………。(ヤバイ! 本当にヤバイやつだ!!)」



 メグミ先輩、お願いですからビビっている最中にズボンを履かせようとしないでください!


 恐怖で漏らしそうなので、3分だけ……3分だけトイレ休憩のお時間をっ!!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜メグミside〜




「マサル、コレどうする? 事実を伝えただけなのに、泡吹いて気絶しちゃったけど」


「ハァ〜。漏れ対策のスライムパンツを履かせたうえで、無理やり着替えさせて準備をととのえろ。起きる前に扉の奥へ運ぶ」


「了解! 起きてまたビビり散らかされると、ムダに時間が過ぎてリスク増しちゃうもんね〜」



 ぶっちゃけ僕等がカルマに期待しているのは、戦闘要員として戦うことではなく、<コマンダー>の地点登録をするために"その場にいくこと"だけ。


 なのでギャーギャー騒がれて、闇神や他の神々に気付かれるリスクを負うよりは、気絶している間に現場へ運んで……



 気付け薬でサクッと起こし、その場で地点登録作業だけさせて、再び気絶させ引きあげる方がいい。


 多少持ち運ぶ荷物は増えちゃうけど、コチラには結界輸送の達人であるマサルがいるので、「動かず静かな荷物」ならやりようはあるもの。



「マサル、着付け終わったよ〜!」


「OK。俺は結界構築と運搬、周囲の警戒に全振りするから、お前はカルマの世話を焼きつつ、<コマンダー>のポイントとして良さそうな地点を探ってくれ」


「了解! じゃあ、レッツゴー!!」



 カルマの<コマンダー>は有用なギフトだけど、登録する地点次第で使いやすさに差が出るので、良さそうなポイントを複数開拓するのがベスト。


 そしてカルマじゃなくても、「登録しておいた方がいい地点」はある程度分かるので、マサルに運んでもらいつつ僕がその判断をくだす。



 えっ……カルマ本人がいるんだから、彼にやらせた方がいいんじゃないかって?


 無理無理。



 起こしたところでカルマは動揺しすぎており、冷静な判断ができる状態じゃないため、周囲の環境を見ながら適切なポイントを探すなんて不可能だし……


 とりあえず良さそうな地点を全て巡り、カルマが落ち着いた後「行った場所」の履歴から登録しようにも、地図すらないので当てずっぽうになっちゃうもん。






「(その点、僕なら現場で冷静な判断ができるからね〜)」


 マサルの結界に護ってもらえたことで、ガスマスクを取り外せずシュゴーマン化する状況からも、解放されたし……


 修羅場慣れしているせいで、この程度の状況じゃ心拍数すら上がらないのだ。



「マサル。あっちの奥の方、最初のポイントにいいんじゃない? 派遣した兵隊が隠れるのに使えそうな壁がある」


「分かった。あの廃墟跡だな」



 唯一の不安は、ショックを極めて気絶したカルマを起こしたとき、混乱で騒ぐであろう彼を一人で抑えこめるかどうか。


 個人のスペックなら、勇者特性をもち先輩でもある僕が圧勝しているけど……恐怖でリミッターが外れた奴の腕力って、脅威だからね。



「(あぁ、でも筋弛緩薬を盛れば抑えられるか。どのみち、マサルが防音結界を張ってくれたから問題はないけど。さてと……)カルマ〜、起きろ。仕事だよ〜」


<−−− スゥー、スゥー、スゥー、スゥー −−−>



 諸々のガス薬を流した後、ガスマスクに仕込んでおいた気付け薬を流しこむと……気絶後10分ほど経っていたこともあり、カルマはすぐ目を覚ました。


 そして先ほどの会話の内容を思い出して、パニックで暴れ出そうとする……が、こんな危ない場所でそんな事はさせない。



「先に筋弛緩ガスを入れておいた、動こうとしてもゆっくりとしか動けないよ。じゃあ、さっそく働いてくれ。この地点を、ポイント登録するだけでいいから」


「…………はぃ。(僕の身にとんでもない理不尽が降りかかっている気がする! だけど動けないし頭も回らない! とにかく、言われたとおりに仕事を……)」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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