687話 愛すべきポンコツ
〜マサルside〜
いけねぇ……あまりにもメグミが煽り散らかすから、危険地帯にいる状況でシバき芸を披露しちまったぜ。
「シュゴー……ッ。シュゴー……ッ。(マサル! ねぇマサルってば! 首が絞まって呼吸できないよ〜!!)」
しかしまぁ、この「シュゴーマン」はどうして肝心なところでポンコツなんだか。
序列最下位から成り上がり、勇者時代の俺を実質敗北まで追いこんだエリート魔王とは、到底思えないシュゴーっぷりだぜ。
それと……
「風龍ちゃん。威勢よく"メグミを護る"と吠えるのもいいが、最低限の実力くらいつけておけよ。じゃねぇと、アッと言う間にドラゴンステーキになるぞ」
「グスッ!」
"乗り物"としては機能したものの、まだベテランのSSランクモンスターに比べると実力が伴っておらず、俺の覇気にあてられてしまった風龍をどうするか。
あまり粗雑に扱うと、彼女を大切に育てているサーシャちゃんに恨まれるし、これでも年齢を考えるとしっかりしている方なんだろうが……
「(俺……ドラゴンを狩りすぎて、<ドラゴンキラー>だけじゃなく<ドラゴンバスター>の称号まで持っているからなぁ。そりゃあ怖いか)」
龍殺しの称号やソレ系統のギフトも山程持っているし、戦闘モードに入って覇気をたれ流していると、どうしても畏れられちまう。
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〜称号:ドラゴンキラー〜
Sランク以上の竜種を殺した者へ贈られる称号。
ドラゴンと戦うとき攻撃力が強化される。
戦闘に貢献した者だけしか与えられず、ワイバーンも竜種と見なされないため、この称号を持つ者は非常に少ない。
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〜称号:ドラゴンバスター〜
SSランク以上の竜種を複数体殺した者へ贈られる称号。
軽く意識するだけで周囲のドラゴンを威圧し、恐怖で身をすくませるのに加え、ドラゴンと戦うとき攻撃力が大幅に強化される。
戦闘に貢献した者だけしか与えられず、最低でも属性違いの<龍>を二体以上殺さなければならないため、この称号を持つ者は非常に少ない。
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〜称号:龍肉喰い〜
SSランク以上の属性龍を自分のチカラで複数体倒し、その肉を喰らった者に贈られる称号。
ドラゴン肉を用いた際、料理の手際が良くなり味にバフがかかる。
また"称号無し"が食べると、胃腸がエネルギーに耐えきれず体調を崩してしまう部位も、この称号持ちなら際限なく食べられる。
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「とりあえず、この空間の外へ出るぞ。風龍ちゃん、龍化すると目立つから人間姿のままで俺の結界に乗ってくれ」
「グス……ッ。(なぜか怖い! 身体がすくんで動けない!)」
恐怖で固まっちまったのは分かったが、「はい。そうですか」と彼女が落ち着くまで待っていたら、本当にヤバイ奴(=闇神)に見つかりかねないので……
風龍が首を縦にふった段階で「OK」とみなして、未だに「シュゴーッ。シュゴーッ」と吠えている男と共に、俺が構築した移動型結界に乗せる。
そして極力外へ気配が漏れぬよう注意しつつも、スピード重視で出口まで戻り、風龍ちゃんがケガをせぬよう丁寧に下ろした。
えっ、「シュゴーマンはどうした」って?
もちろん、扉を出て<サルトー区・ポルカト界>に戻ったところで、乗せていた結界を解除して落としたぞ。
コイツは風龍と違って精神的にタフだし、回復魔法と尻餅の名手だから、多少手荒に扱っても3秒後にはゾンビのように復活する。
アッチの世界の鬼畜神に見つかって、一撃必殺の攻撃をくらうのはダメだけど、その展開さえ避けられれば甘やかす必要はない!
「痛たっ、ようやくガスマスク外れた。というかマサル。僕の頭は、ドラムじゃないんだからね! タンコブができ過ぎでハゲちゃったら、どうするのさ!?」
「そのタンコブの上からさらに殴って、子タンコブを出産させてやればいいだろう。無限湧きさせられるぞ」
「本体が死ぬから! というか、すでに脳細胞が多数殉職しているから!!」
まだガクブル震えている風龍とは異なり、メグミは異世界を体験しても元気そのものであり、精神面への影響は1ミリも見受けられない。
<MPサブスク型>というギフトを使っていたせいで、MP残量は3割を切っているが……
この様子だと、何も考えずにガスマスクを装着してマナポーションを飲めなかっただけなので、労わる必要もないだろう。
「あっ、先輩達のGPSが読みこめるようになった! マサル〜。もうすぐ援軍部隊が到着するよ。もう一回この扉の奥へ行って、調査する?」
「しねぇよ。あぁでも……。(さすがモンティート先輩。カルマを援軍部隊に同行させてくれている。扉を閉じる前に、彼だけは入れておいた方がいい)」
なんせカルマは、<コマンダー>という規格外ギフト持ちだからな。
ここで転送ポイントを開拓させておけば、今後の選択肢が増えること間違いなしだ!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!
作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)