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686話 シュゴーッ!


〜メグミside〜




 自販機でガスマスクと酸素ボンベを買い、ガッチガッチの高級装備で身を包んだ僕は、風龍と共に再度扉をくぐり未知の世界へ。


 何が起きても対処できるように、オプション盛り盛りの<MPサブスク型>ギフトを発動しているため、滞在可能時間は少ないが……


 実力の範囲内なら、発動に時間がかかるタイプの魔法もスムーズに連射できるので、未知の世界だろうと心細さはない。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜MPサブスク型〜


魔法を使用するたびに対価として支払うMPを、常に一定割合取られ続ける代わりに、魔法を使い放題できるようになる能力。


「自分がマスターした魔法に限り」という制限はあるが、実力的に発動可能な範囲なら何発でも連射できるので、圧倒的な魔法砲台力を持つ。


その代わりオプションを盛り過ぎると、常時MP枯渇気味になりクオリティー・オブ・ライフが低下するため、ワーク・ライフ・バランスを考える必要がある。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「(マサルの居場所は……ふむふむ、コッチの方角へ進んだところにGPSの点がある。ゆっくりと、僕達がいる方に近付いているな。帰路についたか?)」


 この空間の地図なんて持ちあわせていないので、目的地までの距離は分からないけど、方角が分かるだけでも充分。



 さすがにこんなヤバイ空間内で、あのマサルが「出口まで戻ること」を考えず、イノシシのように突進している可能性はほぼ無いし……


 彼がいる場所は、「僕と風龍が往復で移動可能な範囲内」なのだろう。






「(というか、同じ空間内ならこんな場所でもマサルにメールを送れるんだ。スマホって、本当に便利だなぁ〜)」


 先程まで通信不能になっていたスマホは、扉を潜って異界に入りしばらく進んだところで、マサルにだけメールを送れる状態に変わった。



 その代わり、先輩方のGPSを調べるのにかかる読み込み時間がゴリッと延び、結界外にスマホを出そうものなら物理的に即壊れるという……


 嬉しくない変化も付いてきてしまったが、「同じ世界内にいる者同士は、<サルトー区・ポルカト界>じゃなくてもスマホを使える」と分かっただけ上出来だ。



<−−− ピロリロリーン♪ ピロリロリーン♪ ピロリロリーン♪ −−−>


 そしてマサルも通信状況の変化に気付いたのか、僕に連絡をとろうと電話をかけてきた。


 心なしかアラーム音の主張が激しく、背後でマサルが「早く出ろ!」と急かしている気がしないでもないが……きっと僕の勘違いだよね!



<−−− ガチャッ −−−>


『おぃメグミ、聞こえているか!? 返事しろ!』


「シュゴーッ! シュゴーッ! シュゴーッ! (あっ、しまった。ガスマスクをつけているせいで、言葉が全部『シュゴーッ』に変換されちゃう!)」



『はぁ!? テメェ、ふざけてんのか! 遊んでもいいけど時と場所を考えろ!!』


「シュゴーッ! シュゴーッ! シュゴーッ! (そうじゃないんだって! ちゃんと話しているんだけど、全部『シュゴーッ』になっちゃうの!)」



『分かった。とにかく、俺がソッチへ行って合流するから待っておけ。無事この場所から逃げられたら、当分ふざけられないように鼻骨潰してやる』


「シュゴーッ!? シュゴーッ! シュゴーッ! (暴力反対! 合流してくれるのは助かるけど、鼻骨破壊されたらサーシャと交わりにくくなるじゃん!)」



 さすがに「フルフェイス型のガスマスクを着用している姿」を見れば、マサルも理解してくれると思うけど……


 なんか、いつもより鉄拳制裁のボーダーラインが下がってない?


 余裕のない男は女子にモテないよ?






<−−− ゴツン! ゴツン! ゴリッ! プシュ〜〜ッ −−−>


 と……肉声の代わりにメールでマサルにツッコミを入れたところ、合流するなりゲンコツを3発入れられて、視界がスパークしてしまった。



「シュゴーッ! シュゴーッ! (酷いっ! せっかく助けにきたのに〜!!)」


「なるほど、そういう状態だったのか。まぁ他にもシバく理由は山程あるから、それと相殺しておいてくれ」


「シュゴーッ! (何故に!?)」



 タンコブが三段重ねになって、フルフェイスのガスマスクを内側から押してしまい、頭部は痛く呼吸も阻害される"二次被害"をくらったが……


 一生懸命それを主張しても「シュゴーッ!」という音しか出ないので、現在進行形でピキッているマサルを、煽り散らかす結果にしかならない。



 だからと言って、この危険極まりない状況でガスマスクを外すわけにもいかないため、僕の頭には追撃のゲンコツ流星群が降り注いだ。


<−−− ゴンゴンゴンゴンゴンゴンゴガンゴガンゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴンッ!!!! −−−>



「さてと……メグミ、もう帰るぞ。ここに長居すると危ないから」


「シュゴー…………ッ。(あぁ、逝ってしまった脳細胞達……サヨウナラ。ところでマサル、なぜ首根っこをつかんで乱暴に持ちあげるの? 首が絞まる!)」



 それにしても、風龍……君、サーシャに「僕の護衛」を命じられていたよね?


 なぜ涙目で「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿スタンプを掲げて、マサルに全面服従しているんだい?

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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