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685話 深入りする者


〜メグミside〜




 救援要請を終えた僕は、まず周囲の状況を<鑑定><看破>ギフトを使って、まんべんなく調査。


 同じ位置に堕とされた下僕魔王が、2体ともまだ生きていることと……マサルが空間の歪みによって生じた扉をくぐり、その先へ行ったことを把握した。



「座標ミスで同じポイントにダンジョンを創られてしまったとはいえ、片方の下僕魔王は一部屋だけ増築に成功していた。それが功を奏したのか」


 闇神が決めたルール上、ウグリスを始めとする下僕魔王は、何があっても自分のダンジョンから出ることができないので……


 ダンジョン付近でこういう事が起きると、逃げようと思っても逃げられず巻きこまれて死に至る。



 だが先に堕とされた下僕魔王は、サンドバッグ&財布要員として寄生虫魔王に搾取されながらも、どうにか資産を貯めて一部屋増築に成功。


 それによってコアルームの位置がわずかに移動したため、闇神が同じポイントに後続の下僕魔王を堕とした際、座標がピッタリ被ることは避けられたのだ。



「その結果、ダンジョン同士が絡まり合う形で相互作用を起こして、自分達すら呑みこみかねない"ブラックホール擬き"を生み出しちゃったのは、皮肉だけど」


 とはいえ……無理やり部屋を増築して二つのダンジョンコアの位置をさらにズラすか、片方を潰した時点で、この"ブラックホール擬き"は消えそうだし……


 周りから吸い上げて成長の糧としているエネルギーも、もう殆ど残っていないので、時間経過でもこの厄災は徐々に収束するだろう。



「ただ、現時点で原因となっている下僕魔王を殺すことはできない。もし今あの複雑な均衡が崩れたら、それによって生じた扉の奥にいるマサルが困るもん」


 一応、扉の形を維持する呪符結界で、そういう場合に備えた対応もなされているが……だからといって、意図的に均衡を崩しちゃダメだろう。


 もしそれで何かあっても、僕には呪符結界を構築し直す技術などないし、ソレに代わる対策をとれるわけでもないのだから。






「それにしても、この扉の先には一体何があるんだろう? 入ったマサルも死んでいないし、僕も続いて大丈夫……だよね?」


「メグミ様、絶対にダメです! 変なところに飛ばされて帰ってこれなくなったら、どうするんですか!!」



 サーシャから「僕のボディーガード役」も任されている風龍は、擬人化して僕の手首をつかみ強引に止めてくるが、気になるもんは気になるの!


 それに……呪符結界未構築かつ援軍も呼ばない状況で、マサルが「単独特攻できる」と判断したのだから、ちょっと入るくらいなら問題ないでしょう。



「風龍。今後、僕がソロ活動している時に似たような事が起きるかもしれないだろ? そうなったとき一人で慌てるよりは、ここで経験を積んだ方がいいって」


「むぅ。分かりました。だけど私も付いていきますからね!」



 いや……さすがにサーシャから借りた娘を、危険な香りしかしない謎空間に同行させるのは、申し訳ないんですけど。


 でも一人じゃ行かせてくれそうにないし……入り口付近でチョロチョロする間だけでも同行させて、安心を勝ち取ったあと単独行動に移るべきか?



「分かったよ、二人で行こう! ただし、どう見ても精霊とは相性最悪だから、風精霊はここで待機させる。僕等も、聖属性の装備を着てガードするぞ」


「はい!」






 マサルにもらった勇者装備の予備で全身をガードした僕は、同じく擬人化して中古装備で身を守った風龍と共に、呪符結界で固められた扉をくぐった。


 すると途端に肉体が潰れるほどの外圧を受け、呼吸がままならなくなる。



「(キツ過ぎるな。風龍、一旦外へ出るよ! 呼吸対策してから入り直す!)」


「(了解です)」



 外圧をモロにくらい肺が潰れるのを感じた僕は、詰み形になる前に魔法で突風を起こして、自分と風龍の体を扉の外へ弾き出し……


 即座に回復魔法で肉体を癒して、死の淵から帰還する。



「ゴホッ、ゴホッ……、これは結界でのガードと酸素の確保が必須だな。まさかこの場で、自販機を出すことになるとは」


 <セレクト自販機>の武器屋カタログには、こちらの世界じゃ絶対に手に入らない不思議アイテムがたくさん載っており……


 お高いものの、ガスマスクや酸素ボンベも揃っている。



 つまり酸素がない空間であっても、結界で自分の身と所有物さえ守れれば、あとは自販機課金のチカラでどうにかなるのだ!


 「最初からそういう想定もしておけ」って話だし、実践慣れしているマサルは、酸素ボンベ無しでも涼しい顔で特攻できたんだろうけど。



「よしっ、ガスマスクと酸素ボンベの準備OK! 予備の酸素ボンベも、アイテムボックス内に保管したし……今度こそ行くよ!」


「はい!」



 さっき僅かに体験した"扉の向こう側"は、酸素ナシ・圧力ゴリゴリのハード過ぎる世界で、気温も火属性ダンジョンかと思うほど高かった。


 明らかに<サルトー区・ポルカト界>とは別の世界であり、あの扉が本当にヤバイ代物である事を証明している。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
メグミ…なんか急に危機管理能力下がってない…?肉体強度や直接戦闘能力低い事を何度も自覚して、己に言い聞かせていたはずなのに、ここまでリスクを取る行動をするのはちょっと違和感。
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