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684話 スマホが使えないなら


〜メグミside〜




 メールで先輩に報告を入れた後、風龍の機動力を活かして、マサルがいると思われる場所へ向かった僕は……


 現場の近くまで来たタイミングで異様な気配を感じ、シャレにならない事態が起きていることを理解した。



「うわー。ダンジョンって、重なるとこんな悲惨な状態になるんだな。弱者から奪い取ることしか考えられなくなった、寄生虫魔王じゃ当然耐えられないか」


 下僕魔王のダンジョンが重なり合った点は、素人目に見ても分かるくらい空間が歪んでおり、息をするように厄災レベルの"吸引"と"放出"が起こっている。



 おそらく、辺りに転がって骸化している寄生虫魔王は、いつも通り下僕からリソースをタカろうとこの地を訪れて……


 そのタイミングで闇神のミスによる「新規下僕降臨攻撃」をくらい、逃げる間もなくこの厄災に巻きこまれて、滅びたのだろう。



「あれ? でもコイツのステータス……魔王のくせに、スキルとギフトの跡がないぞ。あぁそうか。瀕死のところをマサルに喰われたのね」


 ならマサルは、昨日のようにコイツからも記憶を奪って情報を得た可能性が高く、その上で動いたわけだから勝算があるということ。



「近くにマサルの姿はないけど、魔王ランキングにもしっかり名前は載っていたし……大丈夫だよね?」


 とりあえず、彼がこの寄生虫魔王のように「厄災に巻きこまれ惨事になってしまった」パターンが消えて、ホッとした。






「メグミ様、さすがに此処での長居は危なくないですか? 敵がいる訳じゃないですけど、この異形なダンジョン……敵よりずっと厄介かと」


「そうだね。とりあえず、モンティート先輩に連絡をとって指示をあおぐ。僕単体でどうにかできるものじゃないから、先輩方の力を借りるよ」


「はい、私もその方がよろしいと思います。(ご主人様のためにも、メグミ様の安全確保は絶対! 御二人の恋路に影響が出ぬよう、私が護りきるわ!)」



 まだソロ狩り初日なのに、ヘルプコールするのは恥ずかしいし情けない気もするけど……これは緊急事態だ!


 感情を優先して一人で動き、その結果マサル共々詰む……なんて事になるよりは、報・連・相を徹底して助けを求めた方がいい。



「ってあれ? メールが送れないぞ。というか、ネットも全然使えない!」


 まさか、このタイミングでスマホが壊れたのか?


 いや……「マサルもこの状況に陥って音信不通になっていた」と仮定するなら、原因はスマホの不具合ではなく、この「空間が歪んだ異様な環境」にある。



「だけど、この環境のせいで端末が壊れたのか、それとも一時的に連絡がとれなくなってしまっただけなのか……分からないな。調べている時間も惜しい」


 なら今回は、スマホではなく別の連絡手段を使うべきだ!






<−−− ヒラッ。ヒラッ。フワフワフワ…… −−−>


 スマホのメール機能が使えずとも、僕には以前ユアンから奪った<遠隔商談>ギフトがある。



 それを駆使して、24時間体制で<欲望のダンジョン>を守っているオートマタに、ホログラムでサインをおくり……


 モンティート先輩に繋いでもらうことで、5分あれば先輩と音声によるやり取りが可能なのだ。



『あぁメグミ君、おはよう。ごめん、今起きたところ〜』


「モンティート先輩、おはようございます! お昼寝を楽しんでいたところ申し訳ないのですが、緊急事態が起きました。助力をお願いしたいです」


『ん? どうしたの?』



「闇神が下僕魔王を堕としたとき、ダンジョンの座標をミスって重ねてしまいまして……。そのせいで、巻きこまれたと思われるマサルと連絡が……」


『マズイやつじゃん!!』



「あっハイ。超マズイやつです。幸いマサルは生きており、直接巻きこまれたと思われる寄生虫魔王から、記憶を抜き取った痕跡も見つかりました」


『良かった! とりあえず無事なんだね』



「たぶん。ただ彼の姿が見えず、ダンジョンが重なり合った現場も悲惨なことになっているので、先輩方の御力をお借りしたいと……」


『了解! メグミ君に預けた風精霊も一緒に行動しているんだよね? なら、その子を目印にして援軍を派遣するよ』



「ありがとうございます! 一応、座標を記したメモ用紙は<遠隔商談>で送っておきました。あと環境のせいかスマホは使えないので、ご承知おきください」


『分かった。とりあえず援軍の手配とか諸々動くから、また10分後に<遠隔商談>で連絡して!』






<−−− ガチャッ −−−>


 ふぅ〜、とりあえずコレで緊急対応は完了。



 本能でヤバイ状況を察したのか、モンスターどころか小動物もどこかへ逃げちゃっていて、僕等以外に生物の気配はないし……


 さすがにこの状況で、現場に近付いてくる寄生虫魔王がいるとも思えないので、外敵リスクに対する警戒はしなくてもいい。



「なら、今僕がするべきは……先輩方が援軍を送ってくれたとき、一刻も早くマサルの救援に向かえるよう、斥候として情報収集すること!」


 それで僕まで本格的に巻きこまれて、先輩が派遣してくれた援軍と意思疎通できなくなってしまっては本末転倒なので、限度はわきまえる。



 だが身の安全を守れる範囲で、僕にできる調査くらいはするべきだ!


 必要な助力を請うことと、1〜10まで全部先輩頼りで助けてもらい、自分はサボり倒すのは……全然違うからね。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
アスタリアかルノーブルから説教コースだな、これ。 待機も仕事やで?
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