表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

681/933

681話 蠢くダンジョン


〜マサルside〜




「まいったな。まだソロ狩り初日だっていうのに、初っ端から死臭プンプンの現場じゃねぇか」


 俺が向かったのは、配信で"神力持ち"であると暴露して〆られていた下僕魔王のダンジョンで、ここには"一つだけ"洞窟のような巣があるはずだった。


 なのに、いざ向かってみれば巣が二つできており……しかもそれが作用しあって悍ましい光景を生み出し、別空間への扉が開いている。



 巣の側には、元いた下僕魔王に寄生していたと思われるモブ魔王が、瀕死の重傷を負って倒れていた。


 眷属クラスの配下も何体か連れていたようだが……全員「何らかの惨劇」に巻き込まれて肉体の欠損著しく、残り間もない命だ。



「なるほど、そういう事か。闇神が粛正した奴を堕とすときに座標をミスって、別の奴がいる場所の上にダンジョンを創っちまったんだな」


 それで地上世界とは異なる次元にあり、空間が歪んでいるダンジョン同士が悪魔合体して、ヤバすぎる代物を生み出した……と。



「とりあえず、情報収集から始めよう。ほれ、そこの死にかけ魔王さん。最後に記憶を置いていきな」


「グゥ……!」






 サンドバッグにしても刃向かえない下僕魔王に寄生して、想定外の惨劇に巻き込まれ瀕死の重傷を負ったゴミに、同情などカケラもわかないので……


 俺は、昨晩補充してきた<記憶の管理人>で作れる巻物を使って、死にかけのモブ魔王から記憶を奪取。


 そして、ついでにトドメを刺し……奴が持っていた<マルチタスク>ギフトを、<職業:勇者>の恩恵でゲットした。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜記憶の管理人〜



自分の記憶を対価として捧げることで、ターゲットの記憶情報を奪い取り記録できる、特殊な巻物を作ることができる。


捧げる記憶はどんなモノでも構わないが、感情が濃い記憶であるほど奪取成功率の高い巻物を作れるため、一発で決めたければそれなりの記憶を捧げた方がよい。


「自分にとって辛い記憶」をあえて対価として捧げたり、「相手のトラウマになっている記憶」を奪い取ることで、精神の安定化に寄与することも可能。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜マルチタスク〜


頭の中で、複数の思考を並列処理できるようになる。


ただし口や手の数が変わるわけではないので、考えを述べられる量には限度があるし、思考の質が上がるわけでもないので天才になれるとは限らない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「(要らねぇ〜。オ○ニーのおかずとして使うエロ本から、リアルをイメージする際の解像度が上がる……かも? 程度の使い道しかねぇじゃん!)」


 いくら思考の並列処理が得意になっても、基盤となる脳のスペックが変わらぬ以上、このギフト一つで能力のチート化が約束されるわけじゃない。



 それにマルチタスクに関しては、類似ギフトも<スキル図鑑>に収載済みなので、思わず愚痴ってしまったが、「ついでに貰えた無料ギフト」だからな。


 あまり文句を言うわけにもいかないので……


 俺は死体になった魔王の衣服を剥ぎ、マジックバッグに収められていた資産諸共回収しつつ、奪い取った奴の記憶を読みといた。



「ふむ。思ったとおり、ターゲットのダンジョンがあった場所に新たな下僕魔王が堕ちてきて、魔境化した余波をくらったんだ」


 洞窟と大差ないダンジョンとはいえ、空間の歪みがある高エネルギー物が重なり合い、相互作用する際に生まれる衝撃は相当なものだっただろう。



「とりあえず、メグミと先輩達に一報入れておくか。ってあれ? スマホが圏外になっている。もしかして、歪みのせいで壊れちまったのか?」


 一旦ここを離れてスマホが復旧するか確かめてもいいが、目の前で不協和音を奏でるダンジョン二つは、現在も互いを呑みこもうと蠢いており……


 寄生虫魔王とその配下の生命エネルギーを、奪って成長してしまったらしく、規模も"ただの洞窟二つ"とは言えない大きさになっている。






「もしこれを放置したら、何も知らずに近づく寄生虫魔王を餌に、ますますデカくなっちまうぞ。これは……"連絡は諦めて、俺だけで特攻する"一択だな」


 スタミナ温存のために連れてきていた配下のモンスター達は、やる気Maxのところ申し訳ないけど、全員ここでUターンさせよう。



 正直、何か起きたときに逃げられない"実体持ち"は足手まといだし、コイツ等の実力を考えると……


 さっきまで地面でうめいていた寄生虫魔王の配下共のように、途中で回復不能なダメージを負い、辛い最期をむかえるのがオチだ。



「ハァ〜。<恵のダンジョン>で鬼畜フロアの連打をくらったとき以来の、命に関わる修羅場だぜ。もしかして俺、祟られているんじゃねぇの?」


 とりあえず……生き残れる保証はどこにもないから、勇者として<恵のダンジョン>に潜ったとき以上に、ギフト玉を食いまくって能力を底上げする。


 そして、どうにかこの修羅場を乗りきり帰還して……アスタリア先輩に、巫女コスプレでお祓いしてもらおう!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
思ってたより酷いことになってた
アスタリア先輩の巫女コスプレ…………見たい(; ・`д・´)ゴクリンコ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ