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680話 ダブルダンジョン


〜メグミside〜




 余計なお世話なのは理解しているけど、それでもマサルに万一の事があったら……と思うと、気になって自分の仕事に集中できなかったので……


 僕は、<水城のダンジョン>で軽くシャワーだけ浴びて<恵のダンジョン>に戻り、彼の無事を確かめるべく試行錯誤し始めた。



 えっ、「先輩方やサーシャに頼ればいいじゃん」って?


 本当にどうしようもなくなったら躊躇わず助けを求めるけど、毎度「〜の疑い」レベルのことで彼等に迷惑をかけるわけにはいかない。



 皆、自分の仕事や政治活動で忙しいし……ちょっとした事でも誰かに頼らなきゃダメな奴になって、味方の足を引っ張るなんてできないもの。


 僕は僕自身の力でギリギリまで頑張って、それでも本当に無理なときのみ助力を乞う、「自立した魔王」でありたい。



「とりあえず、マサルの魔王ランキングに変動はなし! 名前もちゃんとあるから、命の心配はしなくてもいいだろう」


 というか……<農民><小鬼>メンバーの生存確認は、全員がオートマタ1体を割り当てて、常時確認させている最重要タスクだから……



 もしマサルの身に危険が及んでいると、データから分かる状況になった場合、僕自身が調べるまでもなく配下から報告が入るはず。


 その一報が入っていないという事は、データ上は「全員問題ナシ」なんだよ。






「それでも、全然メールは返ってこないし……スマホのアプリでできるチャットにも、既読マークがつかない。もしかして、スマホを水没させた……とか?」


 いや、ちょっと待て。


 <農民><小鬼>のメンバーに配ったスマホは、「有事の際に〜」とかいうマサルのお節介で、互いの位置情報を見れるようになっていたはず。



「たしかGPS機能って名前だよな? どこで見ればいいんだ? 説明書……説明書…………」


 僕も、この世界の人間にしてはスマホに適応している方だと思うが、元いた世界で長年スマホと共に生きてきたマサルと比べると、どうしても劣る。



「マサルが使っている機種の説明書は、コレ……だよね? え〜っと、なになに……GPSで相手を探す為には、設定アイコンをクリックして……」


 結果として、一般向けとは思えない難解な説明書を熟読するハメになり、毎度頭痛とドライアイに悩まされるのだ。



「うわっ、登録されている位置情報が多すぎる! そりゃあそうだよな。先輩方や現場で働く眷属達の位置情報も、登録されているんだもの」


 つまり、この沢山ある点の中ならそういうモノを省いていけば……


「OK。多分、これがマサルの位置情報だ! よかった〜。GPSが機能しているって事は、携帯を水没させたわけじゃなさそうだね」






 マサルは召喚魔法が使えるものの、可能な限りスタミナを温存して安全に立ち回るために、彼のダンジョンの主力モンスターを同行させている。


 それゆえ彼等の位置情報が一ヶ所に集まっており、かつ下僕魔王のダンジョンがある地点と重なる場所に、いる可能性が高いのだ!



「ふむ。マサルが狩りに出向いた先の下僕魔王は……あれ、おかしいぞ? この座標ポイント……下僕魔王のダンジョンが2つ重なっている」


 あぁ、そういう事か。


 要するに、数をこなし過ぎて手抜きが極まった闇神が、粛正対象を堕とす際に座標をミスり、同じ場所に2体堕としてしまったんだ。



 いやコレ、全然笑い事じゃないぞ。


 同じ座標に魔王のダンジョンが重なって存在したことなんて、これまでなかった筈だし、特別な現象が起きていてもおかしくない。


 実際、ここで出向いたマサルはスマホを使えない状態に陥り、長時間音沙汰ナシになっているのだから。



「手抜き仕事でミスのバリエーションばかり増やすとか、無能ムーブも大概にしろっての! テメェのあだ名、<ウグリス2号>にするぞ!!」


 酷すぎる仕事っぷりにツッコミを入れたところで、事態が好転するわけでもないので、諦めて先輩にメールで一報入れ……


 僕は自分の目で状況を確認するべく、現地へ向かうことを決めた。






「ゴメンね、風龍。初日から残業させちゃって……」


「気にしないでください。メグミ様は豪気な方ですから、きっと我がマスターに"割り増し残業代"を支払ってくれるはずです」


「あっ、ハイ。150%増しにさせていただきます」



 こういう時でも容赦なく残業代を求めてくる風龍に、ズッコケそうになったが、ある意味"通常運転"の彼女を見て僕も落ち着けた。


「風龍、安全第一で動いてくれ。もし僕が降り立つと危険そうなときは、そのまま救援には向かわず一度撤退する」


「かしこまりました」



 援軍として駆けつけたつもりが、かえってマサルの足手まといに……なんてパターンになると目も当てられないので、このルールは絶対。


 マサルは(個人としては)僕よりずっと強い猛者であり、足手まといさえいなければ、よほど鬼畜な追い込みをかけられない限り耐えられるのだから。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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いや、メグミさんや、報告はしときなさい。
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