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679話 デスマーチ初日


〜メグミside〜




 回復速度が遅くなるまで、ゾンビ臭がしたタイミングで火炎瓶を投げこみ、<生ゴミ4号>の肉体を焼きまくった僕は……


 ついでに奴を護っていた僅かなモンスターも焼きはらい、護衛ナシ・リソースも尽きかけた状態になってから、奴の間合いに足を踏み入れた。



「ゴロ……ジ……デ…………。オレ……ヲ……ゴロ……ジ……デ…………」


 <生ゴミ4号>は、ウグリスや<粗大ゴミ7号>と違って既に心折れているようで、僕が視界に入るやいなや"殺しによる解放"を懇願。


 腐った己の肉が骨から剥がれ、自重で垂れ下がって酷い有り様になっている惨状から、解放してくれ……と泣きすがる。



「大人しく殺されるというなら、必要以上に酷い手法は使わない。だが死んだ後、お前は魂も失うということだけは理解しておけ」


「ィイ……。ゴロ……ジ……デ…………」



 心が折れたのもあるだろうが、既にコイツ……脳ミソまで腐っている。


 これじゃ理性的な判断なんてできないし、本能のまま「辛い→逃げたい→殺して解放してくれ」になるのも納得だ。



「ゴロ……ジ……デ…………」


「分かった。殺してやるから、もう何も言うな」



 僕にとっては好都合だから、当然説得なんてしないけど……生きたままこんな状態まで貶めるなんて……闇神の野郎、悪趣味にも程があるだろう。


 調子に乗ってパワハラしまくると、思わぬところで足をすくわれて、コイツみたいに悲惨な最期を迎えるぞ!






 などと思いはしたものの、仕事は仕事。


 僕は自ら殺される態勢に入った<生ゴミ4号>に、情けをかけて<セントフレイム>という「弔いの意味をもつ聖魔法」を使い……


 僅かに残ったリソースも浄化して奪い去ることで、奴の御霊を解放してやった。



 ステータスを校正していたリソースは全没収したし、もう神として再起するのは不可能だけど……


 闇属性から聖属性へ魂の色を変えておいたので、もし運が良くて謙虚に生きる気があるなら、来世は小動物として幸せになれるかもしれない。



「<セントフレイム>は火魔法の要素も混じる聖魔法で、燃費最悪だから、あまり使いたくはなかったんだけど……仕方ない。切り替えて次へ行こう!」


 これまでウグリスの印象が強すぎて、「下僕魔王=へこたれず妄言を吐く元神」という固定概念を持っていた。



 だけど<生ゴミ4号>の様子を見るかぎり、闇神の粛正で既に心折られて、死にたがっている下僕魔王もいそうだし……


 そういう奴をうまく探せれば、(多少燃費は悪いものの)お互いwin-winで気持ちよく手を下せる可能性もある。






 そう考えた僕は、第一優先を「死にたがっていそうな下僕魔王」に切り替え、適宜マサルと連絡をとりつつ狩りを再開。


 2体目のターゲットは、読みを外して抵抗され殺すまでに時間をくったものの、3体目で「自殺希望者」を引き、体力尽きることなくソロ狩り初日を終えた。



「と言っても……まともに倒したのは1体で、他2体は自殺を手伝っただけだからなぁ〜。それで膝が笑うくらい疲れているんじゃ、話にならないよ」


 闇神の"ポイ捨て速度アップ"がなければ、1日1〜2体しか狩る気はなかったので、3体狩るには準備不足だった……と言い訳することもできる。



 だが、それでいいのか?


 たぶんマサルは、「疲れた」とボヤきつつも汗一つかかずに帰ってくるぞ!



 それに「死にたがり」を引けず、「生きたがり」を2体連続始末してヘロヘロ……みたいな状況で、もし最後の最後に寄生虫魔王の眷属と遭遇したら?


 Sランク相手なら風龍が追い払ってくれるけど、運悪くSSランクと遭遇した場合、そんな有り様じゃ援軍が来るまで持ち堪えられないよ。






「今夜は、皆とお喋りする時間を削って明日の準備に充てよう。皆と話せず一人働くのは寂しいけど、命を危険に晒すよりは遥かにマシだ!」


 自分でもマサルとの差に情けなさを感じるが……第三者視点で見ると、僕は倒した下僕魔王のリソースを奪い取り急成長しているはず。


 引きこもりがちで慣れていなかった外での戦闘も、徐々に感覚を掴めてきたので、マサル程ではないにしろ安定して動けるようになるのは時間の問題だ。



「それまでにアンラッキーが続いて詰んだり、闇神がもっとポイ捨てのスピードを上げて収拾つかなくなったら、終わりだけどね」


 不安要素があるのは事実だが、それは僕自身が何をやったところで解消できない事なので、今は大人しく「自分ができる準備」を積み上げる。


 きっとその努力は僕の任務遂行確率を上げ、間接的に実力の飛躍にも繋がるはずだから!



「それにしても、マサル……帰り遅いなぁ。もう日も暮れるから、帰ってこないと危険度が増すのに……」


 勇者として世界各地を巡っていた彼が、初日からつまずくなんてないと思いたいけど、さっきからメールも返ってこないし心配だよ。


 引きこもり勇者である僕の心配なんて、余計なお世話だろうけどさ〜。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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ふむ、4号の魂は奪わなかったのか。
マサル、外れ引いたか?
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