677話 目クソも鼻クソも大差ない
〜メグミside〜
初めての元神狩りを終えて拠点に帰還した僕は、すぐ皆が集まっている<水城のダンジョン>へ行って風呂に入り……
マサル&モンティート先輩のアドバイスを受けて、「サブのダンジョンコア」を「リソース吸引装置」に改造した後、夜9時にはベッドに入った。
慣れない野外行動で肉体がたぎっている状態なのに、サーシャと戯れられないのは残念だけど、明日からの行程も過酷だから仕方ない。
それはサーシャも理解してくれていて……リラックスできる柑橘系のアロマを焚いたり、明日食べる用のお弁当を作ってくれたよ。
コッソリ中を覗いたとき、ご飯の上にウサギちゃんとハートマークが乗っていたので、明日食べるときは赤面必至だけど。
移動時の下半身崩壊を避ける為に、サーシャに「風龍を借りられないか?」と頼んでみたところ、その場で風龍に確認をとってくれて……
「風精霊を補助につければ、移動中に迷子になるリスクは低い」ということで、しばらく砂龍と交換で貸してもらえることになった。
砂龍は「僕も行く〜!」とゴネていたが、ゴメンね……「スピードのある方向音痴」と、「それをフォローできない軟弱主人」の組み合わせは、致命的なんだ。
もう少し年月が経ち精神的に成長すれば、彼も土龍さんみたいに単独で動けるようになると思うので、そうしたら一緒に空の旅を楽しもう。
なお……ロックドラゴンという足があるのに、必死に代わりの足を用意する僕の姿を見て、モンティート先輩は不思議そうな顔をしていたけど……
土精霊とのハーフで人間よりずっと丈夫な貴方と、引きこもりのプロである僕の肉体強度を、一緒にしないでください!
今は多忙すぎてダメだけど、いずれはサーシャとの間に可愛い子供をもうけたいと思っているのに……
潰されすぎて、僕の<ピー>が<粗大ゴミ7号>みたいな無残な姿になったら、マジ泣きしますよ!
お願いですから、その優しい心に「凡人は想像以上に脆い」という情報もインプットして、ナチュラル強者ムーブをかますのは止めてください!!
「それにしても、なぜマサルは先輩方と一緒に寝ないんだろう? いつもは、僕よりも好んで集まっているのに」
「ふふふふっ。メグミ君、彼には彼の事情があるんだよ。ソッとしておいてあげよう」
「そうだぞ。コレばかりは、仕方ない事だからな。此処にはアスタリアとサーシャもいるし、今は距離をとる方がいいだろう」
「…………?」
その顔は……モンティート先輩もナーティー先輩も、絶対に"何か"知っていますね!
ズルイ!!
マサルに聞いても話を逸らされたんです〜、僕にも教えてくださいよ〜!!
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メグミが、仲間&先輩に囲まれてパジャマ姿で駄々をこね、うまい具合にあしらわれて眠らされた頃……
粛正をおこない神々を魔王界へ堕とした張本人である闇神が、<粗大ゴミ7号>の死に気付いた。
「ふむ、あのイケメンモドキが殺られたのか。頑丈さこそ残してあるとはいえ、神時代の能力は全没収しておいたからな。狙われれば死にもするだろう」
毎日のように裏切った者達を粛正している闇神は、自分が<粗大ゴミ7号>の能力剥奪処理をミスった事に気づかない。
上級神である彼にとって、下級神だった<粗大ゴミ7号>と魔王の差など、耳クソと鼻クソ程度の違いしかなく……
本人にとっては、「針の穴に糸を通すようなコントロール」で処理をおこなわねばならない仕事なので、多少の凹凸が出てもよく見なければ判らないのだ。
「奴を殺した魔王は、メグミと……マサルか。ウグリスを汚臭地獄に堕とした、あのマサルが動いているなら納得。何の不思議もない」
彼の頭の中では、優先順位が「粛正>>>>>ゴミ箱の様子把握」になっているため、<粗大ゴミ7号>が殺られた過程の理解も曖昧である。
「生かして家畜として搾り取った方が、効率がいいと思うが……よく考えてみると少々捨てすぎたな。増えすぎて邪魔になり、駆除に動いたというところか」
<サルトー区・ポルカト界>へポイ捨てした元神の数をカウントして、今更ながら「やり過ぎた」ことに気づいた闇神だったが、他に使えそうなゴミ箱もない。
そのため、「増え過ぎたら自動で処理される機能が付いている」とポジティブに考え、粛正を再開することにした。
「家畜化しても良し、殺してリソースの残渣を奪っても良し。こんな便利な家畜を送りこんでいるのだから、マサルが私にキレることはないはず」
万が一にも、ウグリスと同じような攻撃を受けて"汚物神"になどなりたくないので、それを成し得たマサルのことだけは警戒しているが……それだけだ。
「まだまだ我が派閥は、粛正せねばならぬゴミであふれている。ゴミ処理場の事情なんぞに、いちいち構っている暇はない!」
息を吸うようにパワハラをかます性根の腐った闇神に、下の者を慮り無理のない範囲で働かせる……という考えはないのだ。
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)