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673話 もうすぐ死ぬ者の回想


〜粗大ゴミ7号side〜




「うぅっ、グスッ……グスッ…………。どうして……俺が、こんな……目に…………」


 俺は数日間までアルヴィスと呼ばれ、神界で悪魔達にかしずかれていた容姿端麗な神だった。



 闇神による締め付けが異常に厳しく、毎度上納ノルマに苦しめられてはいたが、才能にあふれた俺はウグリスみたいに失敗することなく仕事をこなし……


 その裏でコツコツ管理世界の収益性を高め、闇神が権力を失ったタイミングで派閥を抜けられるよう、準備してきたのだ。



 そしてその成果が実り、ウグリスの件でゴタゴタしたタイミングで、愛人関係になっていた上級女神の派閥へ移ったのだが……


 あのクソババァ、俺がちょっと若い女神に気を向けただけでメンヘラ化して、俺を捕らえて闇神に売りつけやがった!



 何の為に、不利になるのを承知で闇派閥から聖派閥へ移動して、ステータスまで再構築したと思っているんだ!


 闇神が圧力をかけにくい聖派閥へ逃げることで、やつの報復から逃れたと思ったのに……枯れたババァが調子に乗ってんじゃねぇぞ!!



 結局……健闘虚しく地獄へ連れ戻されて、同じようにウグリスの件をキッカケに派閥抜けした神々と共に、闇神の神殿に監禁された俺は……


 そこで不壊特性のハンマーを使って、リソースが尽き自動回復できなくなるまで、顔面と大事なところを"餅つき"されたのだ。



 何十、何百万回と振り下ろされるハンマーに、容赦なく潰されてついに回復力を失った私の美点は、ウグリス以上に醜いミンチ肉となってしまった。


 リソースを取り戻して治療に充てれば、いずれは復活しただろうが、潰れたタイミングで闇神が「回復不能の呪い」をかけやがったので……


 奴が死に呪いの効力が消えるまで、私は男としての魅了を失い、抜け殻のように意味のない時間を過ごすのだろう。






 そんな未来に希望の見えない状態で、神格まで剥がれて<サルトー区・ポルカト界>に堕とされた俺は、ゴミ箱の中で生きることになった。


「ジメジメとカビ臭いダンジョン。<粗大ゴミ7号>とかいう不愉快な呼称。そして元々住んでいた魔王共の搾取要員となるべく、定められたポジション」



 現実と向き合うだけで気が狂いそうだ。


 元は闇系最大派閥だった闇神派の中でも、若手有望株として扱われていた俺が、こんな掃き溜めのなかで更に低い立場に堕とされ搾取されるなんて……。



<−−− ジュクゥ…… −−−>


「うっ、アソコが痛む。生傷剥き出しの状態で、こんな不衛生な環境に放りこまれたんだ。そりゃあ痛んで当然か」



 まだ現実は受け入れられないし、こんなゴミみたいな生き方……到底認められない。


 しかし、ひとまず腹を満たして傷の上に膜を張るのが先だろう。


 俺は若手有望株だった男……たとえ全てを失い本物の地獄に堕ちようとも、ただ惨めに死んで闇神に嘲笑われるわけにはいかない!



「あ〜、なんか決意を固めているところ悪いけど……お前もうすぐ死ぬから、そういう事する意味ないよ。粗大ゴミ7号君」


「なにっ!? 貴様等は、まさか……っ!!!?」



 クソッ!


 まだロクに何も把握していないのに、もう寄生虫魔王がリソースを搾取しにきやがったのか!



 いや、ちょっと待て……今コイツ…………俺に「もうすぐ死ぬ」とか言わなかったか?


 おかしい。


 俺を含めた下僕魔王にはサンドバッグ特製が付与されていて、魔王ごときじゃ傷つけるのがやっと……「殺す」なんて出来ないはず。



 そもそも俺が死んだら、俺が稼いだリソースを搾取することも不可能になり、コイツ等が損をするだけなのに、そんな事あるはずがない!


 俺を見つめるクソガキ二匹の視線に、強い殺意が混ざっている気がするが……搾取要員として堕とされた魔王を、意図的に殺す意味なんてない……よな?






「って、グアァァ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」


 何だよっ、なぜ腹に触れられただけでこんなに痛いんだ!?



「ねぇマサル。これって有効打になっているかな? ゾンビ属性持ちとのスタミナ比べになるから多用はできないけど、いけるなら明日から使いたい」


「なっているな。早期決着を望むなら、回復魔法に聖魔法も混ぜてみろ。コイツはなぜか聖属性だけど、元神の耐久力ガードは闇属性が多いはずだから」


「あぁ、なるほど! 耐久力ガードを聖魔法で吹っ飛ばしたうえで、過回復で細胞分裂の回数を限界突破させれば、もっと早く殺せそうだね♪」



 このガキ、まさか……俺の腹を構成する細胞を、回復魔法で無理やり細胞分裂させまくって、物理的に壊す気か!?


 リソースさえあれば、多少細胞を酷使してもすぐ超回復で元に戻せるが、この状況でソレをやられたら詰む。



「頼むっ、止めてくブペェッ!!!!」


「うわ汚いっ! 突然しゃべるから、激クサ口臭と死臭がコッチにきて驚いちゃったじゃない! あぁ〜最悪、ポーションの大瓶が落ちちゃった〜!」



 最悪って……それは、俺のセリフだ!


 闇神に容赦なく潰されて、グチャグチャの生傷がむき出しになっている<ピー>に、ピンポイントでそんな物を重力落下させてんじゃねぇよ!


 割れたポーション瓶のガラス片が刺さって、さらに収拾がつかなくなっちゃじゃねぇか!


 というか、俺の腹の健康な細胞を返せ!!!!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
見習いたいとは欠片も思わんが、ここまでやられて「生きたい、復讐してやる」と思えるのはすごい。 思考力まだ残ってるならとっくに死なせてくれて(開放してくれて)ありがとうと思うようになってると思う。
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