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671話 定員オーバー




 下僕からの搾取がクセになっている寄生虫魔王はともかく、10票以上投じられる財力をもつ魔王は、大半がモンティートの提案に賛同した。


 これまでコツコツ資産を積みあげ、ダンジョン&モンスターを育ててきた彼等にとって、ポイ捨てされた元神との立場逆転など容認できるはずもなく……


 危機感を抱いていたので、落とし所等の細かな希望は違っても、「トップが言ってくれるのはありがたい」と飛びついたのだ。



 そのためモンティートの提案は半日かからず可決され、正式な法案でこそないものの、魔王の間で「下僕魔王の定員は150名」という認識が広がった。


 なお、介入できない投票システムで自分達の生死を決められた<下僕1号>のウグリスは、生配信で怒り狂ったものの……


 コメ欄で罵倒され、自分の生存権を主張する度に<ピー>を蹴られるサンドバッグ祭りとなり、配信中に泡を吹いて倒れてしまう。



 他の下僕もコメ欄で煽られ、似たような状況になったが……やはり"1号"のインパクトは凄まじく、稼ぎ(サンドバッグ投げ銭)はウグリスがダントツだった。


 なお幾ら稼いでも、その日のうちに寄生虫魔王が現れて全て奪っていくため、下僕魔王にとって「稼げる」は何の自慢にもならない。


 むしろ稼げば稼ぐほど寄生虫を呼びこんでしまうので、賢い者は意図的に稼ぎを減らして、得られた僅かな資産もすぐ食料に変えている。






「でも、女性の元神は一体も堕ちてきませんよね〜」


「そりゃあ、闇神だって男だもん。堕とすくらいなら、神界で壊れるまで性的搾取して潰すでしょう。あぁ、もちろん僕はそんな酷い事しないよ。いい爺だし」


「存じております。(でなきゃ、先輩達がいる空間でサーシャを寝かせたりしないって。アスタリア先輩がいるとはいえ、信用できない輩なんて危ないもん!)」



 モンティートの読みどおり、裏切り者として粛正対象になった女性神は……神格を奪われた後、闇神の神殿で強制的に側仕えをさせられていた。


 <趣味:パワハラと拷問>で、息をするように相手を泣かせる鬼畜上司と同じ神殿で、逆らえない立場で暮らす。


 その苦行に繊細な者達は廃人となり、打たれ強い者もジワジワと精神をやられて、魂の内側から壊されていく。



 彼女達が、そういう目に遭っても仕方ない罪を犯したのかというと、決してそんな事はない。


 ただ政局を見誤り鬼畜なボスから目をつけられて、粛正の対象者となってしまっただけだ。



 まだ捕えられてはいないものの、同じように政局を見誤って闇神から距離をとり、裏切り者リストに名前を載せられてしまった女神達は……


 恐怖で震え、奇跡が起こることを信じて己の神殿に閉じこもっている。



 だが助けは来ない。


 白馬の王子様たる若神達もまた、闇神に目をつけられたらウグリスコース逝きになるので、己の保身で手一杯なのだ。






 そして、このタイミングで事が起きる。


 いつものように闇神によって、神だった者が下僕として<サルトー区・ポルカト界>に堕とされ、その総数が151体となったのだ。



 本来なら、定員が150を超えるのは明日の見込みだったが、闇神が気分良く掃除し過ぎたせいで、今日は一気に6体もポイ捨てされた。


 このままではアッという間に下僕魔王が多数派になってしまい、立場逆転のキッカケになる……という、魔王達の危惧もごもっともである。



「あっ、先輩……下僕魔王の総数が150を超えました。1体処分しないといけません」


 そして、ポイ捨てに気付いたメグミがモンティートに状況を伝えると、彼は静かに笑ってこう言った。



「了解。とりあえず、堕ちたばかりの魔王から始末しよう。最近、ポイ捨てのマナーがより悪くなっているからね」


「ですね。ギフトとか神力の残渣とか、色々残っちゃっていますし」



 同じ"殺す"にしても、ウグリスのようにある程度サンドバッグに適応し、ダンジョンの所在地もバレバレで、徹底的に餌化されている下僕魔王より……


 今日堕とされたばかりで右も左も分からないうえ、まだ一般魔王に目をつけられておらず、闇神の手抜き処理の影響も大きい者の方が優先順位が高い。



 かかる工数は同じでも、メグミとマサルの目的である「勇者の恩恵による成長」を望める確率が高くなるし……


 殺処分に反対する魔王と相対するリスクも減る分、工数自体も少なくて済むからだ。






「メグミ君、爺婆の助けはいるかい?」


「いいえ、僕とマサルだけで充分です。あっ、でも……ターゲットのダンジョンまで移動するのに、転移陣だけお借りしますね」



「了解! 念のために、ルノーブルに連絡してゴーストを監視に回すから、万一のときはその子経由で助けを求めること」


「はい。ありがとうございます!」



 諸々理解しており、「今ならモンティート達の助けなく殺れる」と判断したメグミは、マサルを緊急コールで呼びつけて動きだす。


 対外的には「<農民>同盟に護ってもらっているクソガキ」という印象でも、メグミだって着実に成長しているのだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
oh…結構早く法案通ってた
弱肉強食
闇神、それだけの数を粛清しても派閥維持(運営出来てるかは別)出来るだけの数がまだいるんだな ぼちぼち他の派閥がライバル蹴落としに来ないか気になる
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