表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

668/935

668話 粛正の嵐


〜闇神<スティグマ>side〜




 平時はゴマを擦って甘い汁を吸っていたくせに、肝心な場面で役に立たないクソ神共を粛清し、派閥の空気を引き締めるために……


 一線を超えた下級神から順番に、神格を剥いで<サルトー区・ポルカト界>へ投げこんだところ、私の粛清は神々の間ですぐ有名になった。



 最初にあの世界へ捨てられたウグリスの印象が、悪い意味で強かったからな。


 <サルトー区・ポルカト界>へ投げ捨てられ、魔王の下僕として余生を過ごす元神ことを、「ウグリス化」……


 私の粛正によりその末路を辿ることを「ウグリスルート」と呼び、次は自分の番かもしれないと怯えながら、今になって媚びへつらいに来ている。



「派閥抜けした神から粛清したのは正解だった。表だって粛清のラインは明確にしていないが、コレは基準として一目瞭然だからな」


 たとえ心の中で何を思っていようと、他の神と足並みを揃えて派閥を抜け、ライバルの上級者が率いる派閥へ鞍替えさえされなければ、問題はないのだ。


 いや、長期的には由々しき事態だが……短期的な政権闘争に支障は出ないし、ウグリスの件で神々の本音は明らかになっている。



 であれば、徐々に派閥内の人員を入れ替えてイエスマンの割合を増やし、私にとって都合のいい体制に作り変えればいいだけ。


 それまでに足並みを揃えて他所の派閥へ鞍替えしたり、一斉ボイコットで運営を崩壊させられなければ、結局勝つのは私である。






「それにしても……あのゴミ箱に、ちと捨てすぎたか? いや、そうは言っても"象徴的なゴミ箱"だからなぁ〜。代替はきかぬし仕方ないだろう」


 <サルトー区・ポルカト界>は、今や派閥内の神の間で「恐怖のゴミ箱」として恐れられ、裏切り者が行き着く地獄の象徴となっている。



 ぶっちゃけ、似たような立場で搾取される下僕魔王など他の世界にも数えきれぬほどいるし、あの世界が特別だとは思わないが……


 恐怖の象徴として有名になってしまった以上、使わぬ手はない。



「一ヶ所に元神を集めるリスクがないとは言えない。だが神格は剥ぎ取り済みだし、所詮元下級神だ。雑魚が集まったところで私は倒せん」


 そもそも奴等の立場で、協力して一旗あげる……なんて行為は無理である。



 なんせ奴等は、己のダンジョンから出られぬよう行動を制限されるうえ、日銭を稼ぐためには「サンドバッグである現状」を受け入れないといけないから。


 そうして稼いだ僅かなリソースも、定期的に訪れる魔王に合法搾取されて空っぽになり、常に飢えに苦しみながらその日暮らしを強いられる。



 そんな状況で、同じ境遇の元神と力を合わせて反旗をひるがえそうなどと、思える猛者はほとんどいない。


 いたとしても、現地の魔王に「躾が足りない」と見なされてさらにボコられ、ままならぬ現状に精神崩壊するのがオチだ。



「さすがに4桁を超える神を放りこむのは、純正魔王との人数バランス的に影響が出そうだが、当分の間は大丈夫だろう」


 当座の粛清は、全て「<サルトー区・ポルカト界>へのポイ捨てコース」でいく!



 まだまだ裏切り者はいるからな。


 派閥運営&政権闘争に支障が出ない範囲で、一線を超えた無能神を神から堕とし、リソースを回収しつつ派閥の秩序を確固たるものにするぞ!!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜メグミside〜




「マジで、元神様がポンポン捨てられてきますね。あの闇神……完全に、この世界をゴミ箱扱いしていやがる!」


 ボコラレッタイ・シバカレッタイ・ウバワレッタイ・モトチカーン・マゾヒースト・クサイマン・ドゲザシュミー・ザコデス・ケラレッタイetc.……


 <サルトー区・ポルカト界>には珍妙なマゾヒスト名を与えられた元神様が、毎日のようにポイ捨てされており、名前を覚えきれない状況となっている。



「これだけ粛正しなきゃ派閥運営がままならないって、それ……どう見ても派閥主の方に問題があるでしょう。じゃなきゃ、ここまで裏切られないよ!?」


 とはいえ僕等にとっては、寝ているだけで奴隷階級の魔王が増え、相対的地位が上がるフィーバー状態でもあるため、旧魔王達はこの状況をおおむね歓迎。


 堕とされた元神を初日のうちに〆て、この世界での序列と上位者への振る舞いを教えこみ、次の日以降も搾取凸で小遣いを稼いでいる。



 アリの巣に落ちた獲物のように群がられている、現在の元神を相手するよりは、自分の力で収入源を確保してソレを伸ばす方が稼げるので……


 <農民><小鬼>同盟では「しばらく凸を控えるように」と指示が出たが、「目先の利益に食いつきたい系魔王」には人気のタカり場となってしまったのだ。



「一体、何人堕ちてくるんだろうね〜。そのうち、一般魔王と元神の人数が逆転したりして」


 そうなっても、己のダンジョンから出られない元神が結託する可能性は低いので、即座に下剋上リスクが生じるわけじゃないけど……


 元々チカラを持っていた存在だけに、その潜在能力は無視できないし、数が増えると色々と怖いんだよ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
数が逆転した時考えなしに凸した現地魔王のせいで元邪神達が結託して、魂を一つの器に集めたりとかしたら結構危ないね。腐っても神で器の許容量は人より遥に大きい訳だから。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ