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665話 心安らぐ日々


〜メグミside〜




 命の危険に晒されることもなく、ちょっとブラック労働するだけでミッション達成でき、美味しい報酬がもらえる日々。


 そんな天国のような日々を過ごしたことで、命の取り合いをしてきた中で緊張していた心は緩み、僕は現状に満足していた。



「次は、僕が作った干し柿を食べてよ! 柿は実がなるまでに8年かかるから、まだ品種改良のフェーズには入れていないけど、種無しで美味しいよ〜」


「おぉっ、これはお菓子に丁度いいですね! 高級品というよりは手軽に食べられる感じなので、農村部で甘味として重宝されると思います」


「でしょ? 昨日、ご近所さんに試作品を配ったところなの」



 モンティート先輩が配ってくれた干し柿を食い、スティーブがブレンドしたフルーツティーで癒されて、サーシャの笑顔を見る。


 ストレスが1ミリもない生活で、どこを見ても幸せに溢れており、一生この暮らしが続けば……と、思ってしまうのだ。



「あっ、そうだ。ミッション中に、ホイッスネルとガブリが法案申請を乱打してきたじゃん? アレ良くないと思うから、制限を加える法案を申請しておいた」


「あぁ。一人で何十個も申請できると、その仕組みを利用して悪巧みする奴も増えちゃいますもんね」



「そうそう。だから、一人が持てる処理中の法案は合計5つまで……ってルールを申請したの。悪いんだけど、誰か食べ終えたら応援票を入れておいて」


「「「「「は〜い」」」」」



 平和に見えるのはあくまでも「僕の視界に映る範囲」だけであり、実際のところ、争いの火種が完全に消えたわけではないので……


 油断し過ぎちゃいけないと、頭では理解しているのだが。






「ふふふふっ。でもまぁいいんじゃない? ウグリスのせいで、お荷物部署になっちゃった<サルトー区・ポルカト界>だけど、黒字化したら……ねぇ」


「闇神<スティグマ>が出てくるのも時間の問題だろう。そしてその時、奴と正面から相対することになるのは我々だ」


「だから、平和を満喫できる今くらいゆっくりしてもいいんだって。どうせ、その時になったら殺し合いになるんだからさ〜」



 一見、僕と同じように身体の力をぬきダラけているように見える先輩方だが、僕と違って心の底で命の割り切りが出来ているのが、見てとれる。


 だからこそ時折達観した表情を見せることがあり、それが心の底まで平和に浸かっている僕との違いを、浮き彫りにするのだ。



 これが若造である僕と、数々の修羅場をくぐってきたベテラン魔王かつ、ヒエラルキートップに居座り続けた先輩方の差なのかも。


 学舎でよくある、「勉強していない」と言いながら予習復習は当たり前にこなす優等生と、マジで何もしていない奴の差……に、近いものがある気がする。



「でも、そうだなぁ〜。今のうちに、闇神が少しでも不利になる法案を考えて申請しておく?」


「それいいですね! モンティート先輩にばかり自腹申請させるのも申し訳ないので、次の申請は僕がやります!」



「あははは。気にしなくていいよ〜。でも持てる法案の数に上限ができたら、メグミ君達も協力お願いね」


「「「「「はい!」」」」」



 アスタリア先輩が、「甘いものばかりじゃ飽きるでしょう」とサーモン漬け丼を出してくれたので、それを食べながら闇神が不利になるアイデアを出し合う。


 まだ気分自体は平和にドップリ浸かったままだけど、せめてアイデア出しくらいは協力して、先輩方の迷惑にならないようにしなきゃね。






 そう思って必死に知恵を絞っていたところ、「腹黒いアイデアなら無限に湧き出る」と豪語するサーシャが、無双し始めた。


「は〜い! なら闇神が税制に関する法律を楽に変えられないように、その辺だけ可決基準を高くしたらいいんじゃないでしょうか?」



「なるほど。採用! サーシャちゃん、他には何かある?」


「あと、魔王界と神界にも男女平等の概念をもうけましょうよ。あくまでも建前で、本音は"奴に好き勝手させないため"……ですけど」



 なるほど。


 要するに……男である闇神だけじゃ何も決められず、男女平等の名のもとに女神か女性魔王か……他者の介入を強制するのね。



 現在、教会勢力がズタボロになった隙をついて勢力を増してきたポリコレの一種だけど……上手く使えば強烈な足枷になる。


 というか、すでに性別が10個以上できたり、弱者の区分が多様化しすぎて辞書みたいになっていたりで、魔境化しているもん。



 一個人として突出したチカラを持つ闇神は、そういう多様性とか弱者ブーストで足を引っ張り、良くも悪くも「平等な社会」を目指すべきじゃないかな?


 神界の中にも派閥があって、闇神はそこの長らしいけど……男ばかりかつ、実力主義のパワハラ派閥なんでしょ?


 なら「弱者&マイノリティー」を活かした枷は、闇神を苦しめるのに加えて、この世界からそういう神々を遠ざける虫除けの役割も果たしてくれると思う。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
あいつら弱者のフリして擦り寄って来て差し出した手を思いっきり叩いたと思ったら被害者面して喚き立てるからなぁ…真面目に立場向上目指して活動してる人もいるだろうけどほとんどがメリットない上に配慮されて当然…
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