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659話 最期の願い(笑)


〜ホイッスネルside〜




 資産は枯れ果て、決死の思いで打ちこんだ法案も、アッという間に<農民><小鬼>同盟のクソ共に処理されてしまった。


 しかし……俺はともかく、盟友のガブリにはまだ法案攻撃・第三弾を遂行できる弾……資産がある。



 俺の資産が枯渇していることは奴も承知しているだろうし、そうなると日付が変わる前に撃たなければ、応援票すら集めるのが難しくなるので……


 そう間を置かずに、また連続申請してくれるはずだ!



「よし来たっ! さすが盟友、動きが早いぜ!!」


<--- ピコン ピコン ピコン ピコン --->


 俺も、応援票に加えて本投票で全ての票を注ぎこみ、お前の漢気に報いるぞ!



 だが、不思議だ。


 管理室にまで氷水が入ってきてしまい、滅亡は時間の問題という状況だったのに……投票活動をおこなって以降、敵の攻撃の手が緩んだ。


 きっと他所の戦場へ人員を動かし、より効率よく攻められる所を優先した結果なのだろうが、こうまで思惑通りに事が運ぶと逆にビックリするよ。



「<農民><小鬼>同盟のクソ共が、管理モニターの前で待ち構えていると仮定すると、ガブリが撃ってくれた第三弾は1時間もたない」


 前否決をくらった直後に、第四弾・第五弾と撃っていく……と仮定すると、日付が変わって俺が票を失うまでに撃てるのは、第五弾まで……か。



「それまでに、俺のダンジョンに残っている奴も撤退してくれるのが望ましいが、時間的に考えて微妙だな。居座られている間に、タイムアップがきそうだ」


 いっそのこと、爺婆らしく夜10時には布団に入って休み……その流れで、次の朝までに誰か寿命で死んで、その影響で全撤退……とかならないかな?






 無料でできる「<農民>の爺婆の死を願う祈祷」をおこない、手作りの藁人形に釘を打ちながら、ガブリを徹底サポートしていると……


 彼が放った第五弾に票を入れ終えたタイミングで、日付が変わり俺の持ち票がゼロになってしまった。



 このハッタリで爺婆の配下が引かず、ダンジョンに残って俺を殺そうとした場合、護衛モンスターも全て売り払った俺に待つのは……死だ。


「だが大丈夫、まだチャンスはある! 俺は主人公。この絶体絶命の危機から脱して、ガブリと二人で成りあがり……敵を皆殺しにする未来の英雄なのだ!!」



<−−− ガチャッ! ザバァ〜〜〜ッ!! −−−>


「えっ?」



「"英雄"とはまた思いあがったもんじゃのぉ〜。じゃが、其方の望みどおり目立つことはできるぞ。"ヒーロー"ではなく"恥晒し"としてじゃがな」


 くそっ、来るにしてももう少し後だと思っていたのに……資産も票も何もかも失い、ハッタリしか残っていないこの状況で、攻めこんできたか!



<−−− バキッ! メキョメキョッ!! −−−>


「ブォウェェェ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」



「ふむ、胃酸しか吐けぬか。何も食っておらぬようじゃな。自分の食事まで全て現金化して、ハッタリ作戦の遂行に充てたのか。その思い切りだけは認めてやる」


 何の得にもならない褒め言葉を述べながら、俺の腹を執拗に殴りアッと言う間に動けなくした、敵のドラゴニュートは……


 地に伏した俺にトドメを刺すことなく、部下に海老反りで天井から吊るさせ、俺の見ている前で俺の魔王アカウントをいじり始めた。






「ボブェ……。(おぃっ、何をする!? そのアカウントは俺のだ! 勝手に触るな!!!!)」


「ほれ見ろ。ボスから預かったアイテムを使って、其方のダンジョン名を<嫌われ者のダンジョン>に改名してやったぞ」



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」


「ブバァ……ッ! バァァ…………ッ!! (ふざけんな! あれは勢力争いの結果、そういう事になってしまっただけだ。俺は断じて嫌われていない!!)」



 抗議を試みるものの、海老反りで天井から吊られて背中に石を乗せられているため、呼吸が阻害され思うように言葉が出せない。


 しかもこの敵ども……俺の鼻に、ハッカ油のスプレーをあり得ない回数噴霧しやがった!


 そのせいで、少し空気が通るだけでも鼻がツーンとなり、効きすぎた清涼感で涙が止まらないのだ。



「ボスから、腹まで腐ったホイッスネルは全穴からハッカ油をぶち込み浄化して殺せ! と命じられているのじゃ。それと、ほれ……」


「……………………!!!!」



「腐り果てたゴミに、友達なんか要らんじゃろ? 儂が代わりに其方等の関係性を断ち切ってやったからのぉ。感謝しろよ」


 ふざけんなっ、俺は断じてそんな事を言ってはいない!!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


人生最期に、嫌われ者のガブリから金を毟ってやった件


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


1 名前:ホイッスネル(7期)

 これだけすれば、俺も「生存している嫌われ者No.1」の座から逃げられたよな?

 ガブリにNo.1の座を譲ることさえできれば、もう死んでいいと思っているんだ。

 俺、さすがにアイツよりは好かれていると思っていたんだよ。

 なのにこの屈辱的な称号を冠したままとか、死ぬより辛い日々だった。

 なぁ皆、頑張った俺を心置きなく死なせてくれ……頼むよ!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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