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652話 野党の立ち回り




 一方、野党扱いされた<農民><小鬼>同盟以外の有力魔王も、投票システムによる自治制で生き残るべく、眷属を派遣して極秘会談を開いていた。


 <農民>同盟や<小鬼>同盟のように、メンバー同士の仲がよくパジャマ姿でゴロゴロしても刺し殺されない関係性、ではないため……


 魔王が自分から会場へ出向くことはなく、武闘派の眷属を出向かせて各自でモニターを繋ぎ、己のダンジョンからモニター越しに話す形だ。



「とりあえず、自治制反対運動をやり過ぎてモンティートに目をつけられ潰された、ホイッスネル・ガブリ・ルチルッカ・ハラスメントには死んでもらおう」


「ルチルッカとハラスメントはともかく、ホイッスネルとガブリはすでに滅亡秒読みだぞ。わざわざ俺達が引導を渡す必要なんてあるか?」



「あるでしょう。ポイント依存の自治制で、<農民><小鬼>同盟が過半数の票を持っている……つまり、その気になれば独裁をしけるんだ」


「そうそう。俺達が理不尽なルールを押し付けられて疲弊しないためにも、公にあの4名の追放を認めて、モンティート爺のご機嫌取りをした方がいい」



 現在会議に参加しているのは、堅実な立ち回りで着実に保有ポイントを積み重ね、<農民><小鬼>同盟とモメていないベテラン魔王である。


 <農民><小鬼>同盟の有力アンチは、筆頭格の4名が地獄を見たことで萎縮してしまい、現在は魔王掲示板でのみ活動中。


 そして嫉妬に狂った下位魔王は、そもそもポイント不足で1票ももらえず、投票権すらない状態なので、同じく魔王掲示板・叩き板の住民となった。






「どうせ放っておいても滅ぶ4名を生贄に捧げ、爺婆の機嫌をとるのには賛成だ。投票システムの仕様も、実際に使って把握したいしな」


「でも、常時媚び売りモードじゃマズイでしょう。短期的には延命できるけど、長期視点で見たとき、我々に待っているのは緩やかな没落だ」



 <農民><小鬼>同盟に過半数の票を持たれているという事は、どれだけ自分達に不利なルールを作られても、それに抗う術がないのと同義。


 ゆえに野党の彼等は、与党側が「66%以上賛成」で安定してルール作りできるよう支えつつ、要所要所で自分達の主張を通せるよう交渉せねばならない。



「奴等がその話を呑むと思うか? 無視しても、自分達だけで強引に"賛成多数"へ持っていけるんだぞ?」


「いけるだろう。我欲100%の魔王ならともかく、あの爺婆は"誠意には誠意で返す"タイプだ。コチラが普段協力しておけば、多少の譲歩はしてくれる」


「なるほど」



「ただヘコヘコしても意味ないけどな。1割要望を通せたところで、9割不利なら長期的に見て俺達は衰退する。いずれは、パワーバランスを変えねばならない」


「それは俺も理解している。だが、そのチャンスは来るのか? 若手の<小鬼>はともかく、<農民>の爺婆に隙はないぞ」



「そうでもないさ。現在はウグリスの不始末から復興するために免税されているが、治世が上手くいって再び"美味しいナワバリ"に戻ったら……」


「あぁ、なるほど。闇神や他の神々が"上納しろ"と口を出してきて、自治制の中核を担っている勢力……つまり爺婆と争うことになる……と」






「そうそう。俺達は、その争いで没落したモンティート達を踏み台にして成り上がるか、彼等が神に勝つようアシストして彼等に別世界へ行ってもらえばいい」


「別世界? つまりウグリスみたいな神にして、この世界から追い出してしまう……と」


「そういうこと。今の段階じゃ現実的じゃないけど、これまで絶対的な存在だったウグリスがあそこまで没落したんだ。どの業界にも栄枯盛衰はあるものさ」



 その言葉に多くの野党有力者は納得し、とりあえず<農民><小鬼>の連立政権を支えたうえで、チャンスを伺う方針で話はまとまった。


 密会の招待状すら送られず、完全にハブられてしまった、元有力者のホイッスネル・ガブリ・ルチルッカ・ハラスメントは不憫だが……


 どのみち放っておいても滅ぶので、「生贄として不利なルールでトドメを刺され、与野党の友好を示す礎ルート」を歩まされることになる。



「では、私の方から4名に不利なルールを作り申請書を出しておく。10億ロルの拠出金は……どうせ帰ってくるが、一応割り勘でいこう」


「「「「「「「「「承知」」」」」」」」」



「法案提出後の応援票および、本投票開始後の賛成票も、出来るだけ早く入れてくれ。早ければ早いほど、<農民><小鬼>にコチラの意図が伝わりやすくなる」


「「「「「「「「「分かった」」」」」」」」」



 こうしてメグミ達が束の間の休憩を満喫している裏で、初の法案提出がおこなわれ、アッと言う間に予備選考を終えスムーズに本投票まで進んだ。


 モンティート主催の勉強会が済んだ後、パジャマのまま焼肉パーティーしていたメグミ達が、それに気付いたのは……


 本投票のタイマーが作動し、<農民>同盟の縁の下の力持ちであるルノーブルから、その旨に関する連絡が入った後である。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
追い詰められた力だけはある下衆がやらかさない訳が無いんだよなぁ…
神々が野党の援護射撃で農協(農民+小鬼)止めれるなら、農協亡き後援護抜きで野党奴隷化するのなんて簡単なんだよなぁ。 「農協をうまく盾にする」くらいの発想ないならこいつらも素手駒だわ。
恐るべきノブール 思い立ったが吉日
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