651話 投票システムのルール
〜メグミside〜
「まず、闇神が決めた<ダンジョンポイント連動性投票システム>の説明をするよ。今後はこのルールに則って自治がおこなわれるから、丸暗記するように」
「「「「「はい!」」」」」
モンティート先輩が背筋を伸ばして説明モードに入ったので、僕等<小鬼>同盟5名も、ケンカを止めて姿勢を正し傾聴する。
親しき中にも礼儀ありだし、いくら同じ部屋でグータラする仲の先輩でも、真面目な話を聞くときに、ベッドに寝転がったりポテチを食うのはダメだ!
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〜ダンジョンポイント連動性投票システムのルール〜
その1:各魔王がもつ票はダンジョンポイントと比例し、「1票=1億ポイント」の換算レートとする。また票の反映は、毎日0時の保有ポイントを基準にしておこなわれ、1億ポイント以下の端数は切り捨てられる。
その2:議題をあげたい者は、10ポイント以上の賛成票および供託金10億ロルを集めたうえで申請をおこない、24時間以内にさらに10ポイント以上の応援票を得た議題のみ、本投票へ進む。
その3:本投票の期間は10日間であり、その期間であれば魔王は好きなタイミングで票を投じてよい。
その4:本投票の賛成が66%以上で可決決定。50.1〜65.9%だった場合、再投票期間をもうけて、そこでも過半数以上の賛成をとれれば可決となる。
その5:30%未満の賛成票しか取れなかった場合、供託金の半分を没収。20%未満の賛成票しか取れなかった場合および、本審査前に応援票を集めきれず否決となった場合、供託金の全額を没収される。
その6:一度否決となった法案および類似の法案は、1年間再提出することができない。類似性があるかどうかは通報システムによって確かめられ、一定期間に3度アウト判定を受けた魔王は、10日間ウグリスのダンジョンに強制収容され、ウグリスとの添い寝を強要される。
その7:下僕魔王であるウグリスは、魔王であるものの法案提出権・投票権を持たず、投票システムの外にいるものとして扱う。
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「要するに、汚物漬けになりたくなければ"何度も似たような議題を出して強引に通す"ような卑怯なマネはするな! って事だね」
「1億ポイントで1票か〜。あまり細かい票数にすると、先輩達みたいなトップ層が困るからなんでしょうけど、これじゃ下位の魔王に人権はありませんね」
1億ポイント以上持っている魔王なんて、100名もいないもの。
たしか皇太子の元取り巻き<ナステック>が、魔王転生した際に資産から変換されたポイントが、ちょうど1億ポイントくらいだったか。
「でも投票期間が10日あるから、手持ちのポイントを貸し付けることで、彼等でも票を捻出できるのかも。その辺りは、実際に始まってみなきゃ分からないね」
先輩のおっしゃるとおり、票が反映されるタイミングが複数回あるシステムなので、自分の票を入れ終えたら協力相手にポイントを貸し付け……
という流れで、票を水増しする勢力が現われるかもしれない。
ぶっちゃけ、そういうズルをしても数票しか動かせない末端魔王より、ズル一発で数百票動かせる上位陣の動きの方が……
投票結果に影響を与える可能性がある分、恐ろしいが。
「でも、そんな事……やる人いますかね? 一度ポイント化した資産の貸し借りは、手数料がかかりますよ」
「スティーブ。論理的に考えれば、ジリ貧になるから誰もやらないけど……ウグリスの邪神復活みたいに、採算度外視で止めなきゃいけないモノもあるじゃん」
「あっ、たしかに。それは、手数料で資産が目減りしても止めにかかるかもです」
ウグリスが下僕に堕ちた現在も、ポイントの移動や交換には手数料がかかり、その儲けは魔王界の復興のために使われることになっている。
復興という名目で、闇神が中抜きするスキームになる可能性もあるけど、証拠があがった訳でもないし……
手数料ナシになると、実質「投票でズルし放題」となり与党の僕等が困るので、よっぽどじゃなければコチラが不満を述べることはないだろう。
「僕等10人が集まっても、野党全員に結束されたりポイントの横流しでズルされると、得票率66%をとるのは難しいでしょうね」
「うん。僕等も他の魔王達も、満場一致で"通したい"と思える案じゃない限り、本投票で決まるパターンにはならない。実質的な勝負は再投票だ」
先輩の言うとおり、50.1%なら<農民><小鬼>同盟が連立すればとれる割合だし、現在のポイント状況だと、誰か一人が欠けても下回ることはない。
もちろん、全員が万全の状態で投票して「賛成66%以上」を獲得し、本投票で可決に至るに越したことないんだけど……
こういう制度にはズルと妨害がつきものだから、「投票期間に合わせて、僕等のポイントを削るようなナニカを仕掛けられる」パターンも想定しないとね。
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)