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645話 ATMダンジョン誕生


〜メグミside〜




 努力も虚しく、サーシャの据え膳攻撃でむっつりスケベが爆発してしまい、賢者タイマーリセットのうえ干物になるまで搾り取られた僕は……


 翌朝、杖をついた状態で<水城のダンジョン>に戻って、せっかく準備してくれた「お疲れさま会」を早退けしちゃった詫びを入れ、食卓についた。



 <農民>同盟の先輩方は、無自覚ブラックなところもあるけど基本的にはお人好しなので、「お熱いね〜」とイジりつつも怒ることなく許してくれたよ。


 ちなみに今朝のご飯にも、昨日食べ残したスッポン鍋とうなぎの蒲焼が出ているので、賢者タイマーが再度リセットされる事は確定事項である。



「ベブビ〜。ボベボ、ベビ、ブィベェンバベボォ〜〜」


「えっ、鼻の穴にワサビを詰めこんで欲しいって? いいけど、ワサビを作っている農家さんに申し訳ないから、チューブ3本までだよ」


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」



 ちなみに……カラッカラの状態で<水城のダンジョン>に戻った僕を見て、いい笑顔を浮かべ「お盛んで」と言いやがったマサルは……


 <セレクト自販機>で買える道具を使って、食堂の天井から鼻フックで吊るしてある。



 普通の人にやったら間違いなく死ぬ拷問だが、元勇者で化け物じみた頑丈さをもつマサル相手にこの程度じゃ、罰ゲームにしかならないので……


 朝食の代わりにワサビやカラシを鼻で食わせて、ダメージを倍増させるのも忘れない。



「あのぉ〜。マサルさん、このままじゃ命の危機なのでは……」


「命は大丈夫でしょうが、鼻に詰まったワサビを僕等のお茶碗に飛ばそうとしてくるので、コチラに二次被害が出てしまいます」


 純粋にマサルを心配するカルマと、鼻水付きワサビに怯えるスティーブは、「食った気がしない」という顔をしているが……大丈夫だって。



<−−− カチッ! コチョコチョコチョコチョコチョ −−−>


「BaHaHaHaHa〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」


 同じく<セレクト自販機>で買った、罰ゲームグッズで足の裏をコチョコチョしてやれば、マサルでも集中力が乱れて的(ご飯茶碗)を狙えなくなるから。






「ハァ〜、酷い目にあった。メグミィ、俺の鼻の穴……微妙にデカくなってねぇか? せっかくのイケメンが台無しだぜ!」


 朝ご飯を食べた後、再度サーシャに食われて干物になり、それを3度繰り返して煩悩から卒業したタイミングで、マサルを下ろしてやったところ……


 50時間を超える鼻フックで、微妙に赤くなった鼻をこすりながら、鏡を取り出してナルシストムーブをかましやがった。



 世界中に「粗チンであること」を暴露され、性病疑惑やセクハラ疑惑等、特大尾ヒレ付きで拡散されてしまったマサルが、容姿なんか気にしても今さらだ。


 しかし……奴の感性および目のレンズの屈折率は、一般的な仕様とは随分違うようで、今でも自分をモテ男と勘違いしている節がある。



「心配しなくても、マサルの鼻は元からデカイし大丈夫だよ。どうせサイズアップするなら、ゴシップ誌でも揶揄された<ピー>の方が良かったかもだけど」


「いや、それはマジで死ぬから勘弁だぜ。ところで……けしかけておいて何だが、そろそろ禊を済ませた方がいいぞ。枯れているうちに時間を稼いでおけ」



「了解! モンティート先輩。不在時に溜まった仕事を片付けたいので、3日ほど<恵のダンジョン>に戻ります。サーシャも、悪いんだけど……」


「オッケー♪ 禊とかマサル君の宙吊りとか、カオスな空気が流れていてイマイチ事情が掴めないけど、そろそろ自分のダンジョンに戻った方がいいよね」


「うん、そうなんだよ。(禊を済ませるためにボッチになりたいなんて言えない! 情けないのは今さらだけど、サーシャにだけは説明できないんだ!!)」



 <恵のダンジョン>はもう既に成熟しているので、強大な敵に攻められたとき以外であれば、僕がいなくても配下のオートマタがうまく管理してくれる。


 しかし選挙の結果、これからは「魔王ランキングのポイント」がそのまま票になる、「力ある者が絶対的に有利な自治制」となることが決まったわけで……


 禊ついでに、その準備として魔王ランキングのポイントを増やしたり、より稼ぐための仕組みを整え、<農民>同盟の足を引っ張らぬよう立ち回りたい。






「ところで……メグミ、闇神からの連絡メールを見たか? ウグリスのダンジョン名が、<汚物変態のダンジョン>から<ATMダンジョン>に変わったって」


「ATM? 何それ?」



「あっ、そうか。メグミは、日本人っぽい能力持ちだけど元日本人って訳じゃねぇもんな。男に対するATMって呼称は、"墓場"に堕ちた烙印……なんだよ」


「はぁ?」



 言葉だけじゃイメージが湧かず、マサルの話は半分も理解できなかったが、要するにATMというのは「自動で資産を引き出せる機械」なのである。


 そして女性が結婚を意識する際、パートナーの経済力だけを見て評価する様を、「ATMとの結婚」に例える事から……


 マサルのいた世界では、「ATM扱い=男の墓場逝き」という概念が定着しており、その名称に改名されてしまったウグリスのダンジョンを憐れんだみたい。



「"今後、ウグリスのダンジョンは強盗し放題のATMです"ってことだ。臭い現場だが、週一で盗めば小遣い稼ぎにはなるだろう」


「ふ〜ん。アイツから諸々盗むのは賛成だけど、マサルのいた世界も世知辛いんだね〜」

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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