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643話 すでに手が回っていた


〜メグミside〜




 サンドバッグにされるよりも遥かに辛い禊を課せられてしまった僕は、全力でロミオット達の汚写真を見ながら、時間をつぶし……


 賢者タイマーをリセットさせる事なく、先輩方が待つ<水城のダンジョン>に帰還した。



 すでに僕等を奇襲した魔王に対する、報復の初動も終えており……あとは引きこもりのルノーブル先輩が、全部取り仕切ってくれるみたい。


 ゆえにモンティート先輩達は、サーシャと協力してマサルが倒したドラゴンの肉を巨大テーブルに並べており、焼肉パーティーの準備をしていたよ。



「メグミ君、お帰り〜。色々大変みたいだけど、とりあえずコレを食べて元気になろう! 襲撃犯の手下のダンジョンで、いい物も獲れたしさ〜」


 風呂に入って気分をリセットした僕に、マサルから何か言われていたのか……先輩は、食べたらマズイ食材を差し出してくる。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


デリシャス・タートル


ランク:B

詳細:捕獲難度が高く希少なモンスターだが、一口食べるだけで蕩けるほど美味いため、富裕層の間で高値で取引されている。

古の勇者が「スッポン」と名付けて、色を嗜む前に好んで食べたことでも有名。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「モンティート先輩。今、僕……禊中なんですけど」


「うん、知っているよ。マサル君が、"どうせ何度か失敗するから景気良くリセットさせてやれ"って。だから、高級食材だけど食べ放題! 好きなだけどうぞ」


 ダメだ、此処はすでに敵地となっている!






「メグミ君〜。マサル君が、焼肉食べ放題だけじゃ足りないだろうって、気を利かせて良いサイトを教えてくれたの! レシピ投稿サイトって便利だね♪」


「(チクショウ! アイツに、高性能なスマホなんて持たせるんじゃなかった!! エロ動画の閲覧くらいしか、使い道ないと思っていたのに!!)」



 マサルの手はサーシャにまで及んでおり、スッポン料理・白子料理・ウナギ料理と……


 露骨に「夜が強くなる料理レシピ」ばかりが、彼女のスマホに表示されている。



「セレクト自販機の更新には、もう少し時間がかかるから……食材が揃わないかもよ?」


「大丈夫! そういう事もあろうかと、スーパーで売っている全食材を箱買いして、時間経過のない保管庫にストックしてあるから、安心して食べてね♪」



 負けた〜!


 そういえば、サーシャにその保管庫の導入を打診したの……僕だったわ。


 それで自滅しているんじゃ、世話ねぇな。



「なっ、なるほどデス。ありがとうございますデスゥ。(どうしよう? サーシャに、禊の存在を説明するわけにはいかない。そんなの、僕の尊厳が死ぬ!)」


 かといって、桜色のエプロンドレスを着たサーシャに給仕してもらい、これらの食材を大食いなんてした日には……賢者タイマーのリセットは確実だ。



「ところでメグミ君、なんか具合悪そうだね。ロックドラゴンの乗り心地、まだ慣れないの? そんなに前屈みになって……大丈夫?」


「(全然、大丈夫じゃないよ! ロックドラゴンから受けた傷は鍛えられた回復魔法のおかげで完治したけど、現在進行形でセクハラを受けていてね〜)」



 命懸けの戦いが終わった後の、場を盛り上げるためのイジリだと、分かってはいるが……もしこれで賢者タイマー・リセットの刑をくらってみろ。


 <ピー>したのが丸わかりで、サーシャには永遠に理解してもらえないエロ系黒歴史となり、マサルに好き放題からかわれてしまう!






「(せめて、この地獄を生み出した張本人に報復を! メンヘラメール大量送信で、アイツも道連れにしてやる!!)」


 ってサーシャさん、僕の口にスッポン料理を運ぶのは止めてください!


 ものすごく美味しいし幸せで蕩けそうだけど、先輩達もいる場所で限界突破して、タイマー・リセットとかなったら泣いちゃうから!!



<−−− ポチポチポチポチポチ…… −−−>


「(これで良し! マサルの電話番号とメールアドレスを、異世界にある出合い系サイトに登録。これでアイツのスマホはおしまいだ!)」


 僕からのメンヘラメールも、5分おきに自動送信されるようセットしたし……マサルのスマホにまともなメールが表示される日は、当分来ないだろう。



「(僕の禊が済んで、マサルも<インスタントチーター>をムダ撃ちして同じ禊をくらったら、許してやらんでもない)」


 まぁヤリチン過ぎてゴシップ誌に載っちゃった元エロ勇者に、僕でも苦労している禊をクリアする事なんて、できないと思うけど。



「メグミ君、どうしたの? なんか口元がニヤついていて、悪巧みしているときの顔になっているよ。もしかして、夜のイタズラとか考えついちゃった?」


「えっ?」



「恥ずかしい〜! でも最近ご無沙汰だし、メグミ君がそういうつもりなら……私は、構わないけどなぁ〜」


 ヤバイ、演技だと分かっていてもサーシャの照れ顔……惹かれる!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜警告〜


卑猥なことを考えたので、賢者タイムの経過時間はリセットされました。


期限内に3日間の賢者タイムを終えないと、インスタントチーターの使用料が未払い扱いとなり、対価を寿命から強制徴収されます。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 終わった……でも、コレで無反応な男とかいないって!


 うん、仕方ない。


 今夜は目いっぱい楽しんで、明日からまた頑張ろう!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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な、なにがしたいんだー、マサル
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