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642話 縁切り失敗




 メグミが「性なる試練」に耐えきれず発狂し、マサルが汚物慣れした己にショックを受けている頃……


 嫌がらせも兼ねて意図的に時間の流れをゆったりにした闇神は、誰もいない神殿で一人、待ち焦がれた「くつろげる時間」を満喫していた。



「ウグリスの邪神復活を阻止して、アイツを何があっても死なないサンドバッグにした。これで奴の魂が、神界に帰ってくることはない」


 自業自得とはいえ、ここしばらくストレス漬けの日々をおくり、巻き込まれることを恐れた取り巻きも皆消えてしまったので……


 ヨイショされることに慣れていた闇神は、胃に穴があくほどのダメージを受け、フケまみれになるまで頭皮を掻きむしる二次被害も出ていたのだ。



「世界が滅亡するまでサンドバッグになる事が確定したウグリスは、もう財産を貯める事すらできないし、こちらに迷惑をかける事もないはず」


 サンドバッグ生配信で貯めたポイントは、全てメグミが貴金属のインゴットに変えて引き出し、邪神の貯蓄はゼロになった。



 そして<小鬼>同盟には、<コマンダー>ギフトを持つカルマがいる。


 彼の手にかかれば、どれだけ離れた場所にも(開拓済み)ならば部下を送ることができるため……


 メグミがユアンから奪い取った<遠隔商談>ギフトと組み合わせると、ウグリスの資産を手軽にかすめ取れるのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜コマンダー〜


自分の配下を、開拓済みのポイントへ転送できる。


また彼等と思考を共有することで、離れた場所にいながらリアルタイムで指示を伝えることも可能。


特定の配下を"代理"として立てることで、自分の代わりに配下の指揮を任せ、自分は休むこともできる。


一日に転送できる配下の上限は、ランクによって異なる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「敵に回すと恐ろしいが、ウグリスから搾取させる……という一点においては、これほど素晴らしいチームもない。<小鬼>同盟よ、引き続き気張れ!」


 彼女どころか取り巻きすらいなくなってしまった、真性ボッチの闇神にとって、可愛い彼女がいるメグミは憎たらしい存在だ。



 しかし彼が役に立つのもまた事実であり、追い詰めてウグリスのように下剋上されるのも困るので、闇神は軽く嫌がらせしつつも追い詰めはせず……


 メグミと<小鬼>同盟が、<農民>同盟と協力して<サルトー区・ポルカト界>の実質的なリーダーとなり、魔王界を立て直すのを見守るつもりでいる。


 もちろん、見るだけで吐き気をもよおすウグリスは視界に入れず……適度に搾取できるところまで回復したら、また納税させリソースを搾取する前提だが。



<−−− ピロリロリーン♪ −−−>


「おや、神々からのご機嫌伺いが……。そうか。ウグリスの件が一段階したから、ふたたび媚を売り我に擦り寄ろうとしているのだな。不愉快なっ!」



 ナチュラルに他者を利用し搾取し尽くす闇神だが、自分が都合よく利用されるのは大嫌いであり、露骨な態度をとる派閥の神々を見て怒りだす。


 しかし闇神は、あくまでも「大勢の邪な神々をまとめている」からこそ強い権力を握れているのであり、それが崩壊したら彼は喰われる側に回る。


 その辺も理解している彼は、仕方なくご機嫌伺いの申し出を受けて、掃除が終わり綺麗になった神殿に神々を招いた。



「奴等の底意地の悪さは、ウグリス以上かもな。我等は<闇派閥>ゆえ、多少穢れた思考を持っていても仕方ないが……引き締めは必要だ」


 ウグリスの件によるダメージが払拭されて、再び統治体制が盤石になった暁には、大規模リストラと新規採用で空気を入れ替えてやる……と意気込む闇神。


 そんな闇神と、甘い汁だけ吸おうと彼の神殿に集まってきた神々に、予想外のプレゼントが届く。






<−−− プ〜〜ン。モワモワモワモワ…… −−−>


「何だ、この汚臭は。ウグリスがやらかした始末は、奴の部下だった悪魔共を捕まえて、全て終わらせたはず。なのに、どうして?」


 神々を出迎えるために神殿の広場に出て、そこに置かれたプレゼントに驚愕した闇神は、彼等が来たタイミングで原因に思い至る。



「チッ! そういえば、ウグリスがサンドバッグ生配信で稼いだポイントから、我等にかけた迷惑の慰謝料を天引きする……という契約だったな」


 ようやく縁が切れたと思ったのに、慰謝料の支払いが残っていてウグリスとの縁は切れておらず、汚臭付きの慰謝料リソースが上納されてしまったのだ。



<−−− ネチャネチャネバネバ…… −−−>


「クソッ! この慰謝料、粘り気のある不純物まみれで蒸留しなきゃ使えないじゃねぇか!! だが、こんな汚物を蒸留機に通すのも嫌だ。機械が穢れる」



 不機嫌なのが丸分かりの上司にゴマをする為、一張羅を着込んで闇神の居城にやってきた神々も、嗅いだことのあるそのニオイでピタリと立ち止まる。


 そして……



「失礼。私、急用を思い出しまして……」


「私も!」


「おや、急に頭痛がっ!」



 派閥主である闇神に挨拶すらせず、Uターンして各々の神殿に引きあげてしまった。


 それを察した闇神が激怒し、パワハラ召喚状で彼等を全員呼び戻して、ウグリスから自動徴収されたキモイ慰謝料を押し付けるまで……あと半日。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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作者さんは どこまでいくのだろうw イケイケすぐる
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