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637話 時間は進むよどこまでも


〜マサルside〜




 可能な限り体力を温存して、殺し合っている敵を眺め動きを観察していると、ウグリスに付けていた護衛が報告にきた。


「マスター。ウグリスの、火耐性と物理防御力が強化されたよ! このままだと枷を破壊して逃げちゃうかもしれないから、増援してちょうだい!」



「分かった。絶対に逃げられないような姿勢をとらせて、監視役もたくさん付けてやる。行くぞ」


「うん!」



 メグミが撤退前に、ウグリスの言い訳を阻止するべく生配信用の装置を壊してくれたので、どんな残酷に見える行為だろうとおこなえる。


 重要なのは「ウグリスの命」であって、「ウグリスの尊厳」には毛ほどの価値もねぇからな。



「チッ、戻ってきやがったな! 貴様っ、ここまで私をコケにしやがって……ただじゃおかんぞ!!」


 しばらく躾役がいなかった事で、幾分メンタルが回復してしまったのか、ウグリスの不快度は増しているが、どうせもうすぐ喋れなくなるしどうでもいい。



<−−− ガチャッ、ガチャガチャガチャ…… −−−>


「貴様、何をっ……ぐわあぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!?」



 肩を脱臼させて後ろ手に縛り付けるだけじゃ、脱出しちまうリスクがあるだろ?


 だからその状態で、さらに天井から吊るすんだよ。






「塩とタバスコを擦りつけた金属フックを、ウグリスの鼻・舌・乳首・ドングリに穴を開けて通し、そのフックで天井から吊るす」


<−−− バチッ、バチッバチッバチッ…… −−−>



 神経が多く通っている部分だから、少し動かすだけでも痛みが半端ないし、外の戦いで微妙に揺れているこのダンジョンだと、常時地獄だろう。


 コイツは自らが撒いた欠損カードで自滅して、「玉無しドングリ男」に成り下がったので、残念ながら玉留めはできなかった。


 しかしドングリの方でもそれなりに効いているっぽいから、この状態で放置すれば、痛すぎて逃亡どころじゃないはずだ。



「皆。もし奴が少しでも不審な動きをしたり皆を罵倒したら、身体に錘を吊るして激痛を加えてやっていいから。千切れても死なないし手荒に扱っていいよ」


「「「「「かしこまりました」」」」」



 闇神がチートを使ってくれたおかげで、俺も邪神昇格の危険なく、楽にウグリスを扱える。


 今なら、闇神のために神棚を作り5円玉を供えてやってもいい気分だ。






「って、あれ? おかしいな。思ったより時間が経つのが早い。ミッションの残り時間が、もうこんなに短くなっている」


 これが昼寝明けとかなら、「俺の腹時計がズレている」と思うだけだが、この俺が起きているとき……


 しかも追い詰められた訳でもないのに、時間感覚のズレが生じるわけがない!



 特に自慢することでもないので、わざわざ自分からは言わねぇが……俺は<スキル図鑑>を多用していることもあり、電波時計並みに時を刻める。


 そうじゃないと、戦闘中にスキル玉・ギフト玉の入れ替え時間を把握できず、息継ぎ失敗でバフが解除されてしまうからだ。



「なのに、俺の体内時計より20分以上早く時間が進んでいるなんて……。おかしい。絶対に何かある!」


 不審に思った俺は、先輩方とメグミへ報告を入れた後、<汚物変態のダンジョン>にあった時計を使って、体内時計との時間のズレを確かめた。



<−−− チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタク −−−>


「うん、明らかにおかしい。時計は10秒進んだけど、俺の体内時計は8秒しか経っていない」



 敵の能力ではないだろう……俺が把握する限り、ここ暫く敵の増援は来ていない。


 時計がぶっ壊れている可能性も薄い……俺が見ている時計は、ダンジョンに備え付けの「ミッションで使われるタイマー機能付き時計」だから。






「とすると、敵の能力で俺が何かしらの影響を受けたか、時間の進み自体がおかしくなっているかの、二択。だが、これを証明できる物は……あっ、そうだ」


 メグミがこの前プレゼントしてくれた、日本産の電池式目覚まし時計。


 この時計なら、電波時計と違ってどこからか正確な時間を受信する訳じゃないし、この世界の物でもないので、証拠として機能するんじゃないか?



<−−− チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタク −−−>


「うん、やっぱり。この日本産時計と俺の体内時間の進みは、一致している。ズレているのは、モニターに表示された時計だけだ!」



<−−− ピロリロリーン♪ −−−>


「アスタリア先輩からの返信。なになに……先輩方が持つ複数のカウント方法で検証した結果、この世界の時間が若干早く進んでいる……と判明…………」



 これだけ世界規模の能力を、魔王や人間ごときが使えるわけない!


 そして勇者である俺もメグミも、こんな能力は持っていない以上……やっているのは神だろう。



「思い当たるのは、一刻も早く投票期間を終了させてウグリス返品の可能性を消したい、闇神? 奴の能力は、時間を操る系……なのかな?」


 そうだとしても、直接確かめる術はない。



 ないが……任意に時間を操れるとしたら、ターゲットが瀬戸際の勝負をしているときに、困りそうな時間操作をして容易く追い詰められる……ってこと。


 もしくは、拷問中の時間を極限まで伸ばしてターゲットを苦しめ……何それ、チート過ぎるって。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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「塩とタバスコを擦りつけた金属フックを、ウグリスの鼻・舌・乳首・ドングリに穴を開けて通し、そのフックで天井から吊るす」 この人欠損カードで乳首バイバイしてませんでした?
なかなかの強敵、期待できる?
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