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631話 汚物ナシの頭脳戦


〜敵参謀side〜




 火急という事で、本当は使う予定のなかった「使い捨ての結界アイテム」を使って、正体不明の毒ガスから味方を守る。


 倒れてこそいないものの、その場に座り込んでしまった「明らかに毒の影響を受けている奴」は、完全回復できるまで現場を離れるよう指示した。



「報告いたします! 大地を熱するのを止めたところ、敵陣近くの地中にあった"エネルギーの塊"も消失。毒ガスの脅威は過ぎ去ったものと思われます」


「分かった。再度同じ手を使われぬよう、敵が毒ガスを送りこんだ通気口を、必ず見つけ出して封じるのだ! 必要なら、アイテムを使ってもいい」


「かしこまりました!」



 クソッ……せっかく主導権を握れたと思ったのに、元勇者<マサル>の奇策で士気が落ちてしまった。


 毒ガスで戦線離脱した味方の損失もデカイが、それ以上にペースを掴み損ねたことが厄介だ。



「(反撃される可能性がある以上、通気口の封鎖と対策が済むまで、大地を熱することはできない。だが、ここまでの攻防で敵の防御層を一つ削れたのも事実)」


 ただ歯軋りしていても、敵が復活してより堅牢な防衛体制を敷くだけだから、敵に好き放題される前に再度攻勢をかけてそのまま攻め切る!






「おぃ、お前等。マジックバッグから油壺を出せ。熱々に熱して敵の頭上から降らせる」


「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」



 まさか戦場が、大きなお椀型の窪地になっているとは思っていなかったため、この窪地を埋められる量の油は持ってきていない。


「(グツグツ沸いている油を窪地全体に注げれば、それだけで俺達の勝ち。戦利品として、"元勇者の油揚げ"を持ち帰れたんだけどな)」



 とはいえ、そんな事をしたら<汚物変態のダンジョン>に引きこもっているウグリスも油揚げになり……


 ウチの主人が邪神に昇格して俺達の進退にも響きかねないので、妄想の域をでない話だが。



「(幸いにも、防御力皆無の洞窟とはいえ"一応"ウグリスは室内にいる。つまり、外にいる奴はどれだけ傷つけてもいいってことだ。くっ、くっ、くっ!)」


 熱した油だけじゃ、直接被って火傷しない限り大したダメージにならないし、油に加えて「熱々の金属ゴミ」もプレゼントしよう。






「Sランク以下の全員に告ぐ。手が空いている奴は、全員"この金属ゴミ"を熱してあの窪地に投げ入れろ! 金属が柔らかく溶ける寸前がベストだ!!」


「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」



 金属ゴミと言っても、我々が使用するのは、再加工するとコスパが悪いので投擲用に使い回している、かつて冒険者が所持していた折れた剣と槍。


 つまり鋭く尖っている刃があり、自然落下させるだけでもかなりの殺傷力をもつ。



 また質量のある金属なら、油をガードするために張られた即席の結界なんてすぐ破壊できるし、一撃でも頭に当たれば致命傷。


 そうじゃなくても、鎧の関節部に付着して可動域を狭めたり、敵を怯ませるのに役立つから、ゴミの使い回しにしては最適と言っていいだろう。



「(予想どおり、マサルは油を見て"土属性を帯びた結界"を張ってきた。油一滴一滴がダメージカウントされぬよう、工夫してはいるものの……それが致命傷)」


 ウチの部隊には、十数秒だけ無機物を見えなくする能力持ちがいる。



 もうすぐ加熱が終わり降る金属ゴミは、其奴によって落下が終わるまで見えなくなり、油に隠れて大混乱を引き起こすはずだから……


 それでマサルが混乱したら、その隙にSSランクの御二方に追撃をかけていただき、ウグリスを殺さぬよう気をつけつつ勝ち切るパターンへ持っていく!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜マサルside〜




『どうする? 敵は、壊れた剣と槍を熱して殺傷力を上げ、それを自然落下させるカタチでお主を殺そうとしておるぞ』


『幸いにも、ドライアイスの霧が濃いおかげで"マサル君以外はケガの心配なし"ってバレていないみたい。でも、貴方は危ないわよ』



 ゴースト部隊を率いるエンペラー・スペクターと、空を自由に飛び回れる風精霊のおかげで、敵より低い位置にいても正確な情報が入ってくる。


 そして彼等は実体を持たず、現在働いてくれているモンスター達も「召喚魔法で呼び出した俺の配下」なので、いつでも解除で攻撃回避可能。



 つまりドライアイスの下にいて、敵の攻撃を喰らう可能性があるのは俺とウグリスだけであり……


 俺一人なら自分の身くらい守れるので、実質無敵だ。



『悪いんだけど、一応土精霊に防御結界を張るよう伝えてくれ』


『分かったわ。マサル、その結界はブラフ?』



『あぁ。敵に、"コチラが本命の金属ゴミ攻撃に気付いていない"と誤認させておきたいからな。油だけ防げそうな簡易結界で構わねぇよ』


『了解。強度も含めて伝えておくわ』



 さてと……ペースを掴み損ねたからって、部隊全員が落ち着く前に、間髪入れず攻撃してきたな。


 だけど小回りが効かない大人数の部隊で、そんなマネをしたら、当然隙も生まれるわけで……そろそろ狩らせてもらうぞ、参謀さん。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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