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630話 ペースを握るために


〜敵参謀side〜




 SSランクの大暴れを避けるために、<汚物変態のダンジョン>周辺を火魔法でじっくりと熱して、火属性ダンジョン並みの灼熱の大地に変えてやった。


 すると下の方にある層は耐えているものの、霧でできた敵陣の上層が崩れ始め、戦局が我々に傾いてくる。



「もっとだ、もっと熱しろ! 草木が全て枯れ果て、動物がミイラになるまで地中の温度を上げるんだ!!」


「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」



 これで霧の層が崩壊したら、いよいよ何で作ったか分からない層を剥がしにかかる訳だが、これまでの攻撃で判明していることもある。


 あの層には「火を消す作用」があり、空気より重く下の方に溜まる物質でできているのだ。



 つまり力任せに火魔法をぶち込むのではなく、気体の層じゃ防げない液体……「熱々に熱した油」等を垂らして、層を突き破ったり……


 あの窪地の中により巨大なクレーターができるような大規模攻撃をしかけ、そこに層を形成する気体を落としてしまうのが、現実的な突破方法となる。



「(それを、雨宿りにしか使えなさそうな洞窟ダンジョンを壊さぬようにやらないといけないのは、いささか手間だが……流れは我等にきている!)」


 ここであの層も華麗に突破して、完全にペースを掴み、マサル殺害とウグリスの口封じ……ゲフンゲフン!


 ウグリス殿に世の理を説き、皆が納得する言動をとってもらえるよう代わっていただき、その上で短い期間だけ邪神に復帰できるよう誘うのだ!



「しかし、妙に静かだな」


 もし私がマサルの立場だったら、用意していた防御層を削られてジリ貧になっている状況で、何も手を打たずなされるがままになど絶対にならないが……。






 と、妙な不信感を抱いたその時、火龍様と炎龍様が「備えろ! 敵の攻撃がくる!」と叫んだ。


「(攻撃? どういう事だ? そんな様子は見受けられない。だが敵が何もしないわけないし、あの御二方の仰ることが間違えというのも……)」



 私が戸惑った数秒足らずの間に、炎龍様が私から声を拡散するマジックアイテムを奪い取り、状況を把握できていない私の代わりに指示を出す。


「貴様等、今すぐ大地を熱するのを止めろ! 貴様等が加えた熱を敵が集めて、地中で膨大なエネルギーを使ったナニカを企んでいる!!」



「…………!!」


 その言葉を聞いて地中に意識を向けると、たしかに膨大なエネルギーが一ヶ所に集まり、敵がナニカをしている気配が。



「(エネルギーの流れを辿ると……これは、穴? 敵は地中に穴を掘っている! サイズこそ小さいが、わざわざこんな時にその穴を使うということは……)」


 そして状況把握に努め、二度と攻撃担当のモンスターに仕事を奪われぬよう、次の指示を出すべく思案していると、後方で悲鳴があがった。



『おぃ、大丈夫か!? ダメだ、コイツ死んで……ゥゥ…………』


『お前もかっ! 大丈夫か……よぉ…………』



 最後尾のモンスターがバタバタと倒れ、それに気づいて声をあげたモンスターも、言い終わる前に同じように倒れふす。


「(毒か!?)全員、声を発するな! 息を止めろ! 敵は、毒ガスを使った可能性が高い!!」


「「「「「「「「「「〜〜〜〜〜!!!?」」」」」」」」」」



 私の指示が届いたことで、後方のモンスター達はピシャリと私語をやめ、魔法に長けた者から結界を張り始めた。


「手が空いている者は、後方の毒ガス対策を手伝ってやれ! 敵は、我々の想像以上に狡猾だぞ!」


「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」






 このタイミングで毒ガス攻撃という事は、つい先ほど警戒していた「熱エネルギーが一ヶ所に集まっている」のも、これが原因なのだろう。


「熱して、無味無臭無色の毒ガスを作りだし、流れが来ていた絶妙なタイミングで一番手薄な後方に仕掛け、我々のモチベーションを削いだ」


 元勇者<マサル>……敵ながらやるな、さすがは鬼畜魔王<メグミ>に飼われていた変態だけある!



「後方部隊に告ぐ。毒ガスの影響を受けない種と、結界で身を守れる者のみで、被害現場付近に空いているであろう通気口を見つけろ!」


「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」



 だが数の力で通気口を見つけて、そこから直に火魔法を吹きこんでやれば、貴様が使った毒ガスはそっちの陣地へ逆戻り。


 そして貴様の自滅を誘い、止まってしまった流れもまたコチラに戻って、良いコンディションで戦いを続けられるはずだ。



「「「……………………」」」


 毒ガス攻撃をくらって昏睡状態に陥り、うんともすんとも言わなくなってしまった仲間については……可哀想だが見捨てよう。


 解毒ポーションを飲ませて治しても、脳にダメージがいって後遺症が残ってしまった場合、戦えず無駄飯食いとなり足を引っ張る可能性がある。



 マサルは魔王昇格戦のとき、ライバルの足を引っ張るために「中途半端な怪我人量産作戦」をとっていた。


 つまり今回もまた、似たようなことを企んでいてもおかしくないのだ!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
勇者昇格戦って魔王昇格戦じゃないですかね?
うーん、むこうの指揮官もやるねぇ。 ボチボチ詰みだろうけど。
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