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628話 マサル、カッコイイ?


〜マサルside〜




 挨拶代わりの煽りもなく速攻で先制攻撃を放ってきた敵だし、もう少し脳筋万歳で効かない火魔法を放ちまくり、消耗してくれるかと思ったけど……


 最初の一斉放火で「効果ナシ」と見るや、小規模な火魔法を散発的に放ち、コチラの防御体制を確認してきた。


 そして上の方の防御層が、冷たい霧だと分かった途端、直接炎を吹きかけるのではなく、ここら辺一帯を熱する形で防御層の破壊を試みる。



『マサル。数分は保つけど、それ以上となると厳しいわ。空気中の水分を冷やして霧を生み出しているから、温度を上げられると制御コストに耐えられないの』


『分かりました。打開策を考えますので、ちょいお待ちを!』



 俺は物理学の専門家じゃないから、熱エネルギーじゃの運動エネルギーじゃのはサッパリ分からねぇが、この状況で水精霊が不利なのは理解できた。


 敵は好き放題ここの周りを熱することができ、その余波で霧の層の温度も上がってしまう訳だけど、それを元の状態に戻すのは難しいもん。



 熱は、両者の温度が等しくなるまで、高い方から低い方へ移る。


 しかし……湯の中に氷水入りのカップを漬けて、何方ともがぬるま湯になった後、再び「熱々の湯」と「氷水」の状態に戻すのは不可能だ。



 この世界には魔法があるから、地球では不可能な事象でも、マナを積んでゴリ押すことで、無理やり出来てしまうことだってある。


 この状況で、水精霊が熱を排して霧の層を維持し続けるのもコレにあたる訳だが、そんな無茶を続けたら短時間で力尽きて戦線離脱。


 そうなるのは目に見えているし、そこまでして維持し続けなきゃいけないほど、霧の層は防衛に寄与していない。






『水精霊さん。水は俺が提供するので、その水から霧を生み出すパターンに切り替えて、あと3分だけ耐えてください。その間にドライアイスを補充します』


『了解!』



 水分補給用に、あらかじめメグミの自販機で買ってアイテムボックスに蓄えていた、天然水2Lペットボトルを……


 蓋を開けてその場に倒し、強引に場の水分量を増やす。


 そして召喚中のゴーレム系モンスターに指示を出して、ドライアイスの購入ボタンを連打し、買えるだけ買って地面にぶち撒け防衛層喪失に備える。



 防衛だけでなく、水の層が失われ敵が本格的な攻撃に出る前に、「短時間でコチラの弱点を見破った敵方軍師」が誰かも調べないといけない。


『エンペラー・スペクター、部隊全員で敵の軍師の位置とステータスを探ってくれ!』


『任せておけ』



 幸いにも、味方であるゴースト部隊は実体がたいなめ敵に察知されておらず、まだ自由に動ける状況。


 またルノーブル先輩の配下で索敵に長けているため、最初に潰しておきたい「敵の軍師」の情報を得るべく、働いてもらうことにした。



「(だけど、これじゃあ面白くない。ただ防衛層を失った形になると、敵部隊の士気は上が攻撃の熾烈さも増すからな。せめて、一発反撃を……)」


 個体差もあるものの、火属性モンスターは脳筋気質が多い傾向があり、一度調子に乗らせてしまうと手がつけられなくなるのだ。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜属性別タイプ診断〜


火属性:熱しやすく冷めやすい脳筋タイプ

水属性:落ち着いているがプライドが高い

土属性:のんびり屋で鈍感

風属性:空を飛び回る自由人


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 つまり、ここで相手を調子に乗せず流れを持っていかれないようにする為には、苦し紛れであっても何か一発反撃しなければならない。


 それも、相手に実害が出るタイプの"嫌なやつ"をだ!






「(場にあるのはドライアイスと水。それと、ウグリスが溜めこんだ汚物だけ。汚物を敵陣に投げるのは、後に取っておきたい。そもそも高低差がな……)」


 二酸化炭素を逃さぬようダンジョン周辺を窪地にした結果、敵の方がコチラよりも高い位置に陣取るカタチとなり、位置関係では不利になってしまった。


 そんな状況で汚物砲なんて放つと、敵に上空から汚物返しされて、この窪地一体を肥溜めにされてしまう。



「(そうなると、使えるのは二酸化炭素だけ……か。敵に灼熱攻撃を仕掛けられているときに、冷やす系の反撃は無理だよなぁ。つまり、コッチも高温系)」


 敵の生み出した熱を利用するカタチで、二酸化炭素……またはそれ以外でコチラが用意できる何をか用意して、敵にお返しするしかない。



「(クソッ。学生時代、もっと化学を勉強しておけばよかった! こうなったら、知識箱であるスマホ先生に頼るしか……ぅん? あっ、コレいけるかも)」


 二酸化炭素を超高温で加熱すると、分解して有毒な一酸化炭素を生み出す。


「(熱を生み出すマナが勿体ないから、一から自分でやる事はないけど、敵の熱を集めて再利用する方法なら、少量のマナで済むはずだ)」



 そして、生み出した一酸化炭素を風精霊に敵陣へ届けてもらい、彼等にプレゼントしてあげれば……


 脳筋爆発中で何も考えていないモンスターを、一酸化炭素中毒で数体屠るくらいはできるだろう。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
一酸化炭素は可燃性ですし、火が使われてる状況だとすごいことになりそうな気もしますね。
現代科学チートで水素と酸素で爆発させるヤツは多いけど、一酸化炭素で即死魔法するヤツ見たこと無いな。そういえば。 せっかくだから混ぜたら危険な洗剤とかもどうじゃろう?
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