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623話 チートタイム終了間際に




 モンティートの提案を受けたメグミが、戦闘に有利な環境を用意してマサルを手助けするため、ドライアイス作戦を決行しようとしていた頃……


 地獄の中心部にある己の城でその様子を覗いていた、闇神は焦っていた。



「いや、ちょっと待て! たしかにウグリスは、二酸化炭素程度じゃ死なん。だが弱りはするし、その後ふとした瞬間に死んだ場合……判定がメグミになる」


 ウグリスを殺した者を邪神に昇格させ、彼の後釜にすえるプログラムは、基本的に「トドメを刺した者」が対象者となるが……


 天井の崩落等で死んだ場合、その程度で死ぬほど弱らせた者が、死因繰り上がりで対象者にされるため、今回の場合"メグミ"が邪神になってしまうのだ。



 そして闇神は、メグミを部下にしたくはなかった。


 考えてもみてほしい。


 メグミは、神である元上司を無残なやり方で潰した一人であり、現在も「元上司の口にドライアイスを突っ込む」という、鬼畜っぷりを発揮している。



 彼の態度に関しては、ウグリスが先に理不尽なミッションを出しまくったせいもあるので、咎めこそしないが……


 この熾烈な男が部下となり、何かの拍子に叛意をもって自分にも同じ所業を繰り返す可能性を思うと、闇神は身震いするのだ。



「問題なのは、メグミという魔王の力量だ。ウグリスと大差ないバカなら、力尽くで躾けて黙らせればいい。しかし、奴はウグリスより小賢しいからな」


 たとえ1%の可能性でも、自分を「ウグリスのような惨めな状況」に追いやる可能性がある危険な部下を、側に置きたいと思うだろうか?


 陰で「パワハラ上司」と囁かれ、理不尽の権化である闇神でも、それはゴメンだった。






「それに加えて、死んだウグリスの魂もまた地獄へ舞い戻ってしまうからな。神格を失ったとはいえ、彼奴の"臭さ"は健在。同じ世界で暮らしたくはない」


 ウグリスは邪神時代に悪行を積み重ねており、もし今回の件で死んでしまった場合、間違いなく地獄へ落ちる。


 そして魂は、無意識のうちに「生前執着を持っていた相手」の元へ向かう性質があるため、地獄を彷徨い闇神の世界に来てしまう可能性もあるのだ。



 闇神にとって、己の神殿を血と涙以外のもので汚されたのはトラウマであり、二度とウグリスを神殿に入れたくないと思っている。


 それにも関わらず、魂の状態でストーカー化されて嫌悪感に苛まれるリスクは高いため……


 彼は(己のメンタルを守るためにも)、このままウグリスを死なせる訳にはいかない。



 また「接戦の末、ウグリスが邪神として復活する」などという珍事も、(汚物垂れ流し事件を思うと)決して認められないため……


 闇神は、禁忌であることを承知のうえで下界に手を入れ、「ウグリスが死ぬことなく下僕として存在し続ける」よう、小細工するしかなくなった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜メグミside〜




 もう<インスタントチーター>のギフト玉は食べちゃったし、この状況で後悔する余裕などないので、気持ちを切り替えてドライアイスを大量購入。


 そして荷物運びのためにコッチに来てくれた、マサル配下のゴーレム達に、次々とドライアイス入りの袋を手渡し……


 ダンジョン周辺を二酸化炭素漬けにするべく、動き出した。



<−−− ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォッ!!!! −−−>


「これは、マサルじゃなくてロックドラゴンの土魔法? そうか! 撤退する前に、余っているマナを使ってマサルの手伝いをしてくれたのか!」



 ロックドラゴンは、激硬で乗ると下半身に大ダメージを負ってしまう猛者だけど、ドラゴンにしては温厚な性格で情も深い。


 ゆえに<汚物変態のダンジョン>へ来るまでの僅かな時間で、マサルとも打ち解けて、チームプレーし合える仲になっていたのだ。



「僕も、撤退前に出来るだけマサルの役に立てるような仕掛けを残さないと! ドライアイスと相性がいい、攻撃性のある物質は……」


 困ったときは、なぜか検索すると何でも教えてくれるスマホさんに聞いてみる!



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ドライアイスにマグネシウムを加えると、マグネシウムがドライアイスの酸素を奪って燃焼します。


またドライアイスは、気体になるとき体積が大幅に増えるので、ペットボトルに入れて蓋をしたまま放置すると爆発します。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜






「ふむ。使えるっちゃ使えるけど……なんか地味だし、爆発のタイミングも読みづらくて手榴弾の下位互換でしかない? だったら……」


 もっと盛大に爆発する物を、マサルがいつでも使えるように地雷として仕込んでおこう!



「ヤバイ! 早くしないと、<インスタントチーター>の効力が切れて制限モードに入っちゃう! その前に、急いでブツをラインナップに入れないと!」


 だけど、このブツは「本当にヤバイやつ」だから、慎重に……慎重に…………!

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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