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620話 マサルも大概鬼畜


〜マサルside〜




「なっ、何故だ? 何故……っ!」


 不意打ちで手榴弾に内臓を弾かれ、煙を吐きながらピクピクしている水龍には悪いが、敵と無駄話している時間などない。


 よって、奴が回復する前に即"腑分け"に移る。



「まずは、弾かれてむき出しになったないぞうから入って心臓を切り取り、アイテムボックスへ入れる。次に肺。そして肝臓」


 ドラゴンの肝臓は高いので、できれば質のいい状態で売り捌きたいから、切り取る前に軽く回復魔法をかけ、(肝臓のみ)回復させておいた。



「仕方なかったとはいえ、大腸を弾いたのは悪手だったかな? 臓器と肉が糞便で汚れていて、後処理の手間が増えちまっている」


 とはいえ……この水龍は水魔法に長けていたため、モンスター殺しのチートアイテム<勇者の聖血>が使えず……


 それに加えて、誰に見られているか分からない状況で、メグミが提供してくれた地球産武器をぶっ放すわけにもいかない。



 ゆえに、「攻撃したこと」は分かっても「その過程」までは把握できない、体内での爆破しか選択肢がなかったのだ。


「まぁ汚れたといっても、肉は表面をトリミングするから問題ねぇし、売り捌く素材も……俺達が直接使うわけじゃねぇから」



 日本でも、中古の冷蔵庫や洗濯機を買ったら、なぜか不吉なニオイがして、実は「亡くなった方が使われていた訳あり品」だった、なんて事例もあるし……


 たどってきたルートを知らず、最終過程が綺麗な状態なら、買い手はそこまで気にしない。


 というか……ウグリスが邪神時代に作った下取りサービスで処分するなら、クソまみれだろうと構わないだろう。






 そんな不謹慎なことを考えつつ、瀕死状態の水龍の臓器を生きたまま切り取り、最低限の処理だけしてアイテムボックスへ放り込んでいると……


 ボスの仇を取ろうと、生き残っていたSランクモンスター達が、コチラへ集まってきた。



「(はい、コンニチハ。皆、いい具合に傷だらけだね〜。水龍と違って液体に対するガードも緩そうだし、これならまとめて処理できるかな?)」


<<<<<<<<<<−−−− シュバババババババッッ!! −−−>>>>>>>>>>



 彼等には、刺さった瞬間に自動で液体を注入できる針型ゴーレムで、<勇者の聖血>をプレゼント。


 俺の血は、魔王生まれで勇者の素養としては微妙だったメグミの聖血より、何段階もタチが悪いぞ?



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〜勇者の聖血〜


数多の魔王および魔王候補をほふった、規格外の勇者<マサル>が、「神聖なる儀式」の場で採取した血に聖魔法をかけたもの。


邪神のしもべであるモンスターの魂を焼き、数日かけて肉体を内側から消滅させる効果がある。


この血を注がれた雄モンスターは己の死期を悟り、最期の本能として子孫を残そうと発情してしまうため、雌が近くにいる場合は種族を問わず注意が必要。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 勇者時代は、パーティーメンバーが側にいたため使えず……メグミと戦ったときも、血管のないゴーレム系には効かないため諦めたが……


 武器も能力玉も十分にあって、その場で血液を使って自ら作る必要がない、現在のような状況なら、直接血を使った方がいい。



「(俺をナメている先輩魔王への牽制にもなるしな)」


 もっとも……必要以上に脅威を見せつけると、俺が元勇者だという事を理由に排除しにくる可能性もあるため、加減はわきまえないとダメだが。






「「「「「「「「「「グアァァ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!?」」」」」」」」」」


 碌にガードもできず、<勇者の聖血>をくらったモンスター達は、己の存在が消える恐怖で発狂し、本能に任せてハッスルし出した。



 生き残っているのは全員雄で、雌っぽいのは「フェロモン付きの御守りを腰から下げている、ウチの囮用ゴーレムだけ」なので……


 その唯一のヴァルハラを求めて、味方同士で殴り合い「誰が天に昇るか対決」を始めたのだ。



 もちろんゴーレムに生殖機能はないし、発情している雄モンスター達も、同士討ちで消耗したタイミングで全員狩るので、ウチから被害者は出ない。


 そして俺は、邪魔が入らなくなったので水龍の腑分けに集中でき、より高いレートで素材を売却するため丁寧に処理できる。



「(ただ……12km程離れたところに敵の気配があるから、まだ全て解決ってわけじゃねぇが。この気配だと、次の敵は火属性かな?)」


 でもまぁ、敵の援軍が到着する前にコイツ等だけでも潰せてラッキーだ。


 水龍が罠にハマってくれたからこそ、それを起点に残党もまとめて処理できたわけで……俺の実力ではなく、運によるところが大きい。



<−−− グリグリ……グチュゥ…………。グリグリ…… −−−>


「ギャアァァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!!?」



 いや、お前うるさいって!


 そりゃあ生きたまま目を抉り取られる以上、相応の痛みはあるだろうけど、素材の価値を最大限残すためには、"活き"の状態で処理した方がいいんだよ。


 メグミみたいに、「回復魔法で復活させた臓器の連続回収」なんて恐ろしいマネしていないんだから、グリン2回くらい黙って受け入れてくれ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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