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619話 本命の針は


〜マサルside〜




 露骨にイライラしている水龍にあえて近づき、聖属性をまとわせたとはいえ、剣での勝負を挑むと見せかけた俺を、奴は嘲笑った。


「くくくっ、小童が! 小細工をろうしても、結局我を仕留めるには直接戦闘しかない。当たり前の事実に今さら気づくとは」



 もちろん俺は、クソ硬いSSランクモンスターの鱗を力任せに切りつけて、聖剣を刃こぼれで失うつもりはないので……


 予定どおり、奴の顔の前にきたタイミングで血鉄砲を発射。


 若干驚いたものの、当然のように水の支配権を奪い取り俺を逆襲しようとしてきた水龍に対して、再度支配権をもぎ取って血液を爆散させた。



「チッ。小癪な!」


 血の支配権では俺が有利なことを悟った水龍は、すぐに己が生み出した水を盾にして、防衛を試みたものの……


 一点突破の血液攻撃はその盾を突き破り、中に入っていたオリハルコンコーティング針を、奴の瞳に突き刺す。



「グッ! 目がっ、目がぁ…………!!」


 硬い鱗で護られた肉体に比べると、無防備な眼球を攻められたことで、水龍は痛みに悶えて大暴れ。


 俺の結界がなければ、壊してはいけないと厳命されているはずの<汚物変態のダンジョン>すら弾き飛ばすほど、尾をばたつかせた。






 しかし奴は、腐ってもSSランクモンスター。


 俺が、オリハルコンニードルの内側にある召喚陣から喚び出し、まぶたから侵入させようとした寄生虫モンスターを、涙を操りアッと言う間に殲滅。


 そして水魔法で生み出した手を使って、器用に刺さった針を抜き、数秒足らずで全回復してしまった。



「貴様如きでも、己の血を操作できるのだ。この我が、己の体液を操れんとでも思ったか!?」


 あ〜うん、そりゃあそうですよね。



 俺の血が、俺にとって相性抜群なのと同じく……水龍にとっては、奴の体液は相性抜群で操りやすい液体なのだ。


 ゆえに痛みで涙があふれた状況なら、その涙を使って防衛策をとるこのも容易い。



「上手くいったと思ったんだがなぁ」


「ハァ〜ッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハァ〜ッ!! 攻撃する部位を変えただけで、部下にやった攻撃が我にも通じると思うな! この愚か者」


「チッ!」



 俺の苦虫を噛み潰したような表情が、よほどお気に召したのか、水龍は大口を開けて俺を罵り始める。


 其処彼処に部下だったモンスターの亡骸が転がり、光なき瞳で俺たちを見ているが、そんなことはお構いなしだ。






「勇者としての一生を全うする事もできず、クビになって敵対した相手のダンジョンに寄生し、挙げ句の果てに"討伐相手"だった魔王に転生したゴミ虫め!」


「……………………」



「半端者のくせに、調子にのって身の程を弁えない行動をとった代償を、身をもってしかと思い知るがいい!」


「……………………」



「貴様は、全身の皮を剥いで血抜きし、見せしめとして骸を一般公開されることになる! ゆえに、皮剥ぎと血抜きが上手い我が此処へきたのよ」


「……………………」



「仲間であるはずのメグミに助けを求めたらどうだ? 寄生しすぎて、実は疎まれていたのか? さっきから、戦うことなく穴蔵に隠れっぱなしだが」


「……………………」



「惨めなものだな。自分本位にコロコロと立場を変えていた人間が、最期には仲間と信じていた者から裏切られ、そうやって泣きながら殺される」


「……………………」



「だが安心しろ。貴様の骸は永きにわたり公の場で晒され、その最期の惨めさが語られるとき、"仲間を見捨てたクズ"としてメグミの評価も地に落ちる」


「……………………」



「己を裏切った者に復讐できるのだ! もっとも、貴様の場合……裏切られて当然。自業自得だがな。クッ、クッ、クッ、グフゥッ!!!?」


<<<<<<<<<<−−− ドガァーーーン!!!! −−−>>>>>>>>>>



 ふぅ、ようやく実ったか。


 演技とはいえ、煽りにすらなっていない陳腐な罵倒を聞きながら、顔を歪ませ噓泣きするのは大変だったぞ。






 俺が操っていた"本命の針"は、目に突き刺したやつじゃない……テメェの意識が目に集中した隙を突いて、ケツの穴からブッ刺した……


 スライムジェルに包まれた、俺の腕くらいある極太針だったんだ。



 針と言っても先端が尖っているわけじゃねぇし、丁寧にスライムジェルで包んであるんだから、巨大カプセルと大差ねぇ。


 そして俺にとってはデカくても、SSランクモンスターのドラゴンにとっては、「入ったかどうか」すら分からねぇサイズの、坐薬みたいなもんだっただろう。


 そんな物が、目に意識が全集中している間に、真逆の位置にある元々空いている穴から入ったんだ……気付かねぇよな。



 そして、わざわざサイズを大きくしてまで仕込んでおいた、攻撃アイテム入りのマジックバッグを、召喚されたマイクロゴーレム達が大腸の上部に運ぶ。


 平常時なら、腹の中でモゾモゾ動かれている感じがするかもしれないが……危機脱出からのアドレナリン大爆発で、奴の感覚は吹っ飛んでいた。



 結果として、水龍は大腸の上部……重要な臓器が側にある位置に100個以上の手榴弾をセットされ、不意を突かれた状態で無防備な腹の中を爆破された。


 丈夫さも限界突破しているSSランクモンスターなので、即死ではないが、口から煙を吐き出してピクピクしている状態だ。

読んでくださり、ありがとうございます!


この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)

モチベーションUPの為の燃料……ブクマ・評価・感想・レビュー、待ってます!!

作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)

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― 新着の感想 ―
これ水龍生け取りにできればSS素材剥放題なのでは…!?敵性SSモンスターの生命エネルギーももらえるし
内蔵も貴重な素材なんだけど今回ばかりは発破しちゃってもしょうが無いかw しかし、チョット考えりゃ違和感感じるような変化だったはずなのに それに気がつかずに続けるって、よほどフラストレーションが溜まっ…
ハイドンの水龍を撃破した様に<勇者の聖血>をどのタイミングで使うか見ていたが温存中かな?もう仕込みは終わっているのかもしれないが。
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